かれこれ20年くらいにわたって春秋の二回は、何とか旅行を楽しんで来ました。そんな旅先の思い出の中に、おいしかった食べ物の記憶があります。おいしくて忘れられない、となると、その後も買ったお店に電話やファックスまたはインターネットで取り寄せたりします。
年金暮らしの私たちにも手に入る食べ物の中で、とりわけ記憶に残るものを思い出してみたいと思います。秋田の稲庭うどんと、とても大きくて柔らかい醤油せんべい(今ではいろんな所から似たような様々な形の柔らかせんべいが売り出されています)岩手県大船渡市のさいとう製菓の「かもめの玉子」があります。この「かもめの玉子」には、深い思い出があります。去年の大津波の3年ほど前でしょうか、東北へ車の旅に出ました。釜石市の市立図書館に調べたいことがあって、立ち寄りました。そこの司書の方に何かと親切にして頂いて、お陰で調べ物が済んだ後で、この辺で一番おいしいお土産は何でしょうとお聞き致しました。「東北では「かもめの玉子」がよいでしょう」と親切な司書の方から教えて頂いたのです。
帰宅して早速家族で味見をしましたら、とてもおいしくて、今でも毎年何回か取り寄せて、きょうだい達にも届けたりしています。去年の大津波の後、私は直ぐにこの大船渡のお店が気になって、ネットで住所をひいて見ましたら、まさに津波で消えたと思われる市街地だったのです。家族で「もうあのおいしいお菓子も食べられないのか」と残念がっていました。そして釜石市のあの親切な司書の方はご無事だろうかと案じていました。
しばらくしてから、現在は製造中止していますと言う知らせがあり、可成り経つてからお陰様で再開しました、という案内が届きました。以後は又お願いして取り寄せが始まりました。東北の代表的な銘菓なので、ご存じの方も居られると思いますが、口いっぱいの玉子の黄身餡がおいしくて、大災害を乗り越えて変わらない味を提供して下さることに感謝しながら頂いています。
他に取り寄せまで行ったものに、長崎県の平戸島に「あごくん」というトビウオの燻製があります。少し固いのですが、良く噛む程に味わい深く、あご出しやかまぼこなど他の海産物と一緒にまとめて何年か取り寄せました。平戸島のすばらしさと共に思い出深いものです。又鹿児島に行った時に食べた薩摩揚げがとても美味しくて、本場の味とはさすがにちがうものだと感動しました。以来鹿児島の月揚げ庵とのお付き合いが何年か続きました。
遍路で高知へ行った折に、鰹のたたきの本場だから何処かにおいしいお店はないですか、とデパートの店員さんにお尋ねしたことは以前書きました。その折りに「司」と言うお店を教えて頂ました。さすがにおいしく、鯖一匹のお腹に寿司飯を入れた鯖寿司と共に堪能しました。お店の案内により、それから何年か、たたき専用の調味料を取り寄せ続けました。
春の旅行は、平均して一週間は行っていましたので、ホテルは夕食は付けずに、ご当地のおいしいものをなるべく頂けるように計画しました。長崎の本場のチャンポン、高松の讃岐うどん、などはその代表的なものです。讃岐うどんは農林大臣の表彰を受けた店から、何年か取り寄せて、友だちや親戚にお裾分けしたりしました。
お昼は大抵ちゃんとした食事ではなく、例えば奈良東大寺二月堂の前の有名な大きなおはぎとか、京都の鞍馬寺の前のお餅や、奈良の女人高野で有名な室生寺の橋の近くの草団子、長崎県の五島のかんころもち、愛媛県今治のじゃこ天、平戸島の川内(せんだい)かまぼこ、仙台の笹かまぼこ、防府のかにかまぼこなど、格好なお昼の代用食になったりお夜食になりました。遠い所では青森県の鰺ヶ沢の焼きいかも、おいしかったです。長野県の鬼無里村(きなさむら)のおやきとか、奈良の柿の葉寿司、南紀巡りに行った時に橋杭岩を眺めながら食べためはりずし、夕食としては、珍しかった岩手のわんこそばや下関のとらふく、津和野のガイドブックにあった小さなお店の老夫婦手作りのいなり寿司、それに四国は宇和島の鯛飯も忘れられません。鯛飯についても事前に調べて行ったのですが、とても美味しくて見よう見まねで帰宅してからも作っていたのですが、たまたまJAFの冊子にレシピが載っているのを夫が見つけ、以来我が家のメニューの一品になりました。
通りすがりの何気ないお店のおまんじゅうが忘れられなかったり、珍しいお菓子や食べ物の記憶も、食いしん坊の私たちには、旅の楽しい想い出を増幅してくれます。
現在も取り寄せが続いているのは、「かもめの玉子」だけになりましたが、これはまだ当分続きそうです。でもつい先日あるスーパーで、全国銘菓展として、「かもめの玉子」のミニサイズが売っているのに出会い、買ってたべました。注意してみていると意外に身近で全国の銘菓が手に入るようになって来ているようです。
じつは失敗談もいろいろあるのです。嵯峨野の清涼寺で、国宝の釈迦如来を毎月8日の午前11時から拝観出来ると知って、4月8日に行ったのです。時刻どうり見せて頂き、その美しさに感動しました。霊宝館で、その釈迦如来の胎内から出て来た布製の五臓六腑のレプリカを見た時は、仏像の制作時にこんな事まですでに解っていたのか、と驚きました。やっと長年の念願が叶って拝見できましたので満足しました。折も折お釈迦さまの誕生日でありましたので、本堂脇で甘茶のお接待がありました。喉が渇いていましたので、私は、三杯も頂いたのですが、やがて少し気分が悪くなり、夫に「欲張りだから罰があたった」とからかわれたりしました。
今回は手当たり次第に旅にまつわる美味しかったものの羅列になってしまいました。年金をやりくりしての私たちの旅行ですが、元気な内にせいぜい許される範囲の贅沢をと考えています。お笑い下さい。
年金暮らしの私たちにも手に入る食べ物の中で、とりわけ記憶に残るものを思い出してみたいと思います。秋田の稲庭うどんと、とても大きくて柔らかい醤油せんべい(今ではいろんな所から似たような様々な形の柔らかせんべいが売り出されています)岩手県大船渡市のさいとう製菓の「かもめの玉子」があります。この「かもめの玉子」には、深い思い出があります。去年の大津波の3年ほど前でしょうか、東北へ車の旅に出ました。釜石市の市立図書館に調べたいことがあって、立ち寄りました。そこの司書の方に何かと親切にして頂いて、お陰で調べ物が済んだ後で、この辺で一番おいしいお土産は何でしょうとお聞き致しました。「東北では「かもめの玉子」がよいでしょう」と親切な司書の方から教えて頂いたのです。
帰宅して早速家族で味見をしましたら、とてもおいしくて、今でも毎年何回か取り寄せて、きょうだい達にも届けたりしています。去年の大津波の後、私は直ぐにこの大船渡のお店が気になって、ネットで住所をひいて見ましたら、まさに津波で消えたと思われる市街地だったのです。家族で「もうあのおいしいお菓子も食べられないのか」と残念がっていました。そして釜石市のあの親切な司書の方はご無事だろうかと案じていました。
しばらくしてから、現在は製造中止していますと言う知らせがあり、可成り経つてからお陰様で再開しました、という案内が届きました。以後は又お願いして取り寄せが始まりました。東北の代表的な銘菓なので、ご存じの方も居られると思いますが、口いっぱいの玉子の黄身餡がおいしくて、大災害を乗り越えて変わらない味を提供して下さることに感謝しながら頂いています。
他に取り寄せまで行ったものに、長崎県の平戸島に「あごくん」というトビウオの燻製があります。少し固いのですが、良く噛む程に味わい深く、あご出しやかまぼこなど他の海産物と一緒にまとめて何年か取り寄せました。平戸島のすばらしさと共に思い出深いものです。又鹿児島に行った時に食べた薩摩揚げがとても美味しくて、本場の味とはさすがにちがうものだと感動しました。以来鹿児島の月揚げ庵とのお付き合いが何年か続きました。
遍路で高知へ行った折に、鰹のたたきの本場だから何処かにおいしいお店はないですか、とデパートの店員さんにお尋ねしたことは以前書きました。その折りに「司」と言うお店を教えて頂ました。さすがにおいしく、鯖一匹のお腹に寿司飯を入れた鯖寿司と共に堪能しました。お店の案内により、それから何年か、たたき専用の調味料を取り寄せ続けました。
春の旅行は、平均して一週間は行っていましたので、ホテルは夕食は付けずに、ご当地のおいしいものをなるべく頂けるように計画しました。長崎の本場のチャンポン、高松の讃岐うどん、などはその代表的なものです。讃岐うどんは農林大臣の表彰を受けた店から、何年か取り寄せて、友だちや親戚にお裾分けしたりしました。
お昼は大抵ちゃんとした食事ではなく、例えば奈良東大寺二月堂の前の有名な大きなおはぎとか、京都の鞍馬寺の前のお餅や、奈良の女人高野で有名な室生寺の橋の近くの草団子、長崎県の五島のかんころもち、愛媛県今治のじゃこ天、平戸島の川内(せんだい)かまぼこ、仙台の笹かまぼこ、防府のかにかまぼこなど、格好なお昼の代用食になったりお夜食になりました。遠い所では青森県の鰺ヶ沢の焼きいかも、おいしかったです。長野県の鬼無里村(きなさむら)のおやきとか、奈良の柿の葉寿司、南紀巡りに行った時に橋杭岩を眺めながら食べためはりずし、夕食としては、珍しかった岩手のわんこそばや下関のとらふく、津和野のガイドブックにあった小さなお店の老夫婦手作りのいなり寿司、それに四国は宇和島の鯛飯も忘れられません。鯛飯についても事前に調べて行ったのですが、とても美味しくて見よう見まねで帰宅してからも作っていたのですが、たまたまJAFの冊子にレシピが載っているのを夫が見つけ、以来我が家のメニューの一品になりました。
通りすがりの何気ないお店のおまんじゅうが忘れられなかったり、珍しいお菓子や食べ物の記憶も、食いしん坊の私たちには、旅の楽しい想い出を増幅してくれます。
現在も取り寄せが続いているのは、「かもめの玉子」だけになりましたが、これはまだ当分続きそうです。でもつい先日あるスーパーで、全国銘菓展として、「かもめの玉子」のミニサイズが売っているのに出会い、買ってたべました。注意してみていると意外に身近で全国の銘菓が手に入るようになって来ているようです。
じつは失敗談もいろいろあるのです。嵯峨野の清涼寺で、国宝の釈迦如来を毎月8日の午前11時から拝観出来ると知って、4月8日に行ったのです。時刻どうり見せて頂き、その美しさに感動しました。霊宝館で、その釈迦如来の胎内から出て来た布製の五臓六腑のレプリカを見た時は、仏像の制作時にこんな事まですでに解っていたのか、と驚きました。やっと長年の念願が叶って拝見できましたので満足しました。折も折お釈迦さまの誕生日でありましたので、本堂脇で甘茶のお接待がありました。喉が渇いていましたので、私は、三杯も頂いたのですが、やがて少し気分が悪くなり、夫に「欲張りだから罰があたった」とからかわれたりしました。
今回は手当たり次第に旅にまつわる美味しかったものの羅列になってしまいました。年金をやりくりしての私たちの旅行ですが、元気な内にせいぜい許される範囲の贅沢をと考えています。お笑い下さい。