ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

災害に備える

2023年10月09日 | 随筆
 皆さんは「災害」に備えて、どのような対策をしておられますか。これから先30年以内に70%の確率で起こると云われている「東南海トラフ」の地震に対応して、我が家でも一通り備えています。一番困るのは「飲み水」と「排泄物の処理」(水洗トイレが使えなくなるのではないか)と思って、飲み水は一人2リットル入りの消費期限の入ったボトルを家族分備えてありますし、他に災害時の汚物入れの紙のセットを物置に常備しています。でもこれで大丈夫だとは思っていません。時期を見て買い足したり、水も順繰りに買い換えしなければなりません。

 東京の臨海副都心の高層マンションに、お姉さんが住んでいる人から聞いたのですが、地震の時はエレベーターが激しく壁にぶつかって 、揺れる恐怖は凄まじいものであり、何十階もの階段を徒歩で下りても市街地は人で埋まってしまって、途中からは下りる事も出来ないであろうと言っておられました。その様な時は、一体何処へ逃げたらよいのでしょうか。
 
 実際に私の市で過去にあった大地震の時は、大地が揺さぶられて地下水が40~50センチ位の深さまで吹き出して、中心街の一部では車も通れない位になりました。今になっても多分給水車が来る事も出来ないし、 行政もどう対応しようと計画しているのか解りません。ビルの屋上のヘリポートには、どの位の災害時の非常食が届けられるのでしょうか?またどう配ったらよいのでしょうか。全てについて物資の配達不足が考えられて不安な状態です。
 結局私達個人がどのような備えが必要か、もう少し具体的に考えて、各自家庭で備える必要があるのだと思っています。地震の災害ですと車もすぐに止まるでしょうし、スーパーで売っている水も瞬く間に無くなるでしょう。少なくとも給水車が来るまで何とか凌げると良いのですが、それがいつになるか想像も出来ませんね。道路が駄目なら全ての輸送が止まります。私は日頃から、各家庭での保存食などの備えが大切だと思っています。どう対処するかは各家庭の考え方によりますが、私はこの際しっかり考えて対応したいと考えています。
 夫の父がこの地に家を建てた後、非常時の為に庭に井戸を掘ろうと思ったそうですが、この地は大古は葦の生えた沼地のところもあったらしく、水質が悪くて飲めないと判断して諦めた経緯があります。
 また古い話ですが私の父がまだ20代の頃、東京で「関東大震災」に遇いました。会社の階段を駆け下りて踊り場に差しかかった時に、故郷の母親(私にはおばあさん)の顔が踊り場の壁にハッキリ映しだされていて驚いた、と後に父に直接聞きました。  その後約300キロの道のりを歩き通して、ようやく故郷へ戻りました。道筋には炊き出しの人達が居て、ひもじい思いはしなかったそうですが、実家にやっとたどり着いた頃は薄暗くなっていて、出て来た母親に「足が有るのか?(ゆうれではないか)」と聞かれたと言っていました。

 そのような経験をした父でしたから、時々五万分の一の地図を広げて「万一この地(私の故郷)で地震や津波に襲われたら、何処へ逃げたら良いか」という検討の相手をしました。結論は「少しでも標高の高い処へ、まずは逃げる」という極めて当たり前の結論でした。その道筋を確認してホッとした事を思い出します。
 故郷の家は、海から直線距離で1㎞くらい平野を進んだ辺りでした。幸い地震などに遇うことはありませんでしたが、「万一地震の時は、標高を考えて少しでも高いところに逃げる事」が大切な事、そしてそれは具体的に何処かと言う事が解り、今になって考えると良い勉強になりました。でも今は平野の真ん中に住んでいますから、近くのビルの屋上になります。
 日頃から逃げる場所を家族で共有しておくことは、東北の大地震に遇われた人達にも思いを巡らせると家族で話し合って置くことは大切ですね。
 此処は県都の平野の真ん中ですが、過去にはこの地でも大きな地震がありました。夫は我が家に帰ることが出来ず、勤め先に泊まり込むしかありませんでした。私は職場から徒歩でやっと帰宅しました。逢うまで家族が生きているのかどうか、全く解らなかったのでした。
 夫の勤務先の前に市立の中学校があって、大地が揺れると地下水が吹出し(水道管の破裂ではなく、大地が揺れることによって地下水が噴き出すのです。)中学校の全校生徒が道路に避難して、女子生徒達が泣き騒ぐので恐怖感を煽られたらしいです。道路は膝下くらい迄地下水が吹き出て、辺り一面水浸しになってしまったようです。大地が揺れるとその裂け目から地下水が湧き出すらしく、間もなく辺り一面水浸しになったと聞きました。
 何はともあれ命の確保が最優先です。その為にも「水と食料と熱源」の確保を、各家庭で日頃から常備したいものですね。
 以前長い時間が経ったので処分した卓上コンロなども含めて、もう一度備えをしっかりしたいです。
 こうしてブログを書いている間にも、巨大地震が起きるかもしれないと思うといたたまれない気持ちになりますが、ふと良寛禅師の言葉が頭をよぎります。

 災難に逢う時節(トキ)には逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。 是(コレ)はこれ災難をのがるる妙法に候。 良寛 


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