2020年3月18日のドイツ首相の演説をお聞きして、とても感動しました。日頃からメルケル首相を尊敬していましたが、この度の新型コロナウィルスについての演説に、リーダーたる人のあるべき姿の一端にふれた思いがして、一層尊敬の念を深くしました。
日本語訳の全文をゆっくり読みました。コロナウィルスの対応について、ドイツ国民に理解と協力を求めるこの演説は、恐らくドイツ国民の隅々まで届いたことと思います。このように日本人の私も感動するのですから、ドイツ国民は聞いた人全てが感動した事と思います。その文の感動した部分を、心に留め置く積もりで引いてみたいと思います。
『何百万人に渡る、出勤出来ない・学校や保育所へ行けない、その上劇場や映画館・お店は閉まっています。いつもなら当たり前の親しい人たちとの触れ合いも出来ません』と困難な状態に置かれる国民を思いやり、この演説で、「政治的決断を透明にして説明すること」、「行動の根拠をできる限り示してそれを伝え、理解して貰う事」を力説しておられます。
首相は『国民一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献が出来るか、についてもお伝えしたい』と述べています。私はこの「国民一人一人が必要とされている」というところに目がとまりました。確かに国をつくっているのは、国民一人一人ですが、「必要とされている」と云われたことがあるでしょうか?そして「どのような貢献が出来るか」と投げかけられると「権利のあるところには義務がある」ことにも思いが至ります。国民一人一人の存在意義を肯定し、同時にそれに伴う義務を自覚させる論理はさすがなものと頭が下がります。
コロナウィルスの治療法もワクチンもまだ開発されておらず、この状況が続く限り『唯一出来ることは、ウィルスの拡散のスピードを緩和し、引き延ばして薬やワクチンを開発する時間を稼ぐ事』だと云います。
メルケル首相は更に『医療施設で働いている方全てに言葉を贈りたい。あなた方は私達のためにこの戦いの最前線に立っています。あなた方の仕事は偉大です。そのことに私は心から感謝します。』医療施設で働く人たちはこの言葉をどんな気持ちで聞いたでしょう。
『重要なのは、ドイツ国内のウィルスの拡散スピードを緩やかにすることです。公的生活を可能な限り制限すること。人を危険にさらす可能性があるものすべてを、今、減らす必要があります。
人から人への感染リスクを可能な限り抑える必要があります。イベント、見本市、コンサートは中止、学校も大学も保育所も閉鎖。遊び場でのお遊びも禁止です。
こうした制限は未だかつてありませんでした。 経済全体にとって、今は非常に困難な状況です。今後何週間かは一層困難になるでしょう。』とこれからも困難に直面していく事を明確に説明し、それをもとに次のように約束しています。
『私は皆様に約束します。連邦政府は、経済的影響を緩和し、特に雇用を守る為に可能な事は全て行います。』
これは力強い約束で、国民も安心出来ます。食料品提供が常時確保されている事に触れて、『買い占めは無意味ですし、連帯意識に欠けた行動です。』と注意も怠りません。
又『普段滅多に感謝されることのない方達にもお礼を言わせて下さい。このような状況下で日々スーパーのレジにすわっている方、商品棚を補充している方は、現在ある中でも、もっとも困難な仕事の一つを担っています。同胞のために尽力し、言葉通りの意味でお店の営業を維持してくださりありがとうございます。』この社会が日々円滑に回っているのは、こういう目立たない人達の努力があってのことなのだと、今国家の危機に直面して国民に訴えることで、国民に自信を取り戻させたことでしょう。なんと心に響くことばでしょう。
この部分は日本のテレビでも放送されました。振り返って私はこのような温かい言葉を、日本の首相からとしてテレビでも新聞でも見たり聞いたりしたことがありません。今更のように、身近でこうした目の前の働く人たちの仕事ぶりを「当たり前」のこととして見過ごして来た自分を恥じます。
メルケル首相は続けます。
『さて、今日私にとっても最も緊急性の高いものについて申しあげます。私達がウイルスの早すぎる拡散を阻止する効果的な手段を投入しなければ、あらゆる国の施策が無駄になってしまうでしょう。その手段とは私達自身です。誰もが皆協力する必要があります。不要な人など誰もいません。私達全員の力が必要なのです。
私達がどれだけ脆弱であるか、どれだけ他の人の思いやりのある行動に依存しているか。つまりどれだけ私達が力を合わせて行動することで自分自身を守り、お互いに力づけることができるか、ということでもあります。一人一人の行動が大切なのです。
ウイルス学者の助言は明確です。握手はもうしない、頻繁に手を洗う、最低でも1.5m人との距離を取る、特にお年寄りは感染の危険性が高いので殆ど接触しないのがベスト、私達は好意を身体的な近さやスキンシップとして理解しています。今は距離だけが思いやりの表現なのです。
おじいちゃんやおばあちゃんと孫は今一緒にいてはいけない。不必要な接触を避けることで、病院で日々増え続ける感染者の世話をしている全ての方々を助けることになります。
誰も一人にしないこと、声かけと希望が必要な方たちの世話をすることも重要になってきます。私達は家族として、また社会として別の相互扶助の形を見つけるでしょう。』
素晴らしいリーダーとしての一語一語に感動しています。かなり抜書きになりましたが、お許し下さい。
家に籠もっていますと、このような良い演説もテレビで見聞きする機会に恵まれて、一日はアッと言う間に過ぎて行きます。
コロナウイルスには感染したくないし、私自身が感染者として他人にうつす事も絶対にしたくないです。皆さんも同じことを感じておいでかと思いますが、日々の精一杯の注意が、それを実現してくれるたった一つの方法だと改めて思い知らされました。
メルケル首相の演説の一言―言が、日本人に対しての演説と捕らえて何の矛盾もありません。我が国でも、先日総理の「緊急事態宣言」に際して演説がありました。大意は同様でした。しかし、国民一人一人に対する温かい愛情はあまり伝わってきませんでした。ならば一層私達は助け合って、この国難を乗り切っていきたいものだと思っています。
日本語訳の全文をゆっくり読みました。コロナウィルスの対応について、ドイツ国民に理解と協力を求めるこの演説は、恐らくドイツ国民の隅々まで届いたことと思います。このように日本人の私も感動するのですから、ドイツ国民は聞いた人全てが感動した事と思います。その文の感動した部分を、心に留め置く積もりで引いてみたいと思います。
『何百万人に渡る、出勤出来ない・学校や保育所へ行けない、その上劇場や映画館・お店は閉まっています。いつもなら当たり前の親しい人たちとの触れ合いも出来ません』と困難な状態に置かれる国民を思いやり、この演説で、「政治的決断を透明にして説明すること」、「行動の根拠をできる限り示してそれを伝え、理解して貰う事」を力説しておられます。
首相は『国民一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献が出来るか、についてもお伝えしたい』と述べています。私はこの「国民一人一人が必要とされている」というところに目がとまりました。確かに国をつくっているのは、国民一人一人ですが、「必要とされている」と云われたことがあるでしょうか?そして「どのような貢献が出来るか」と投げかけられると「権利のあるところには義務がある」ことにも思いが至ります。国民一人一人の存在意義を肯定し、同時にそれに伴う義務を自覚させる論理はさすがなものと頭が下がります。
コロナウィルスの治療法もワクチンもまだ開発されておらず、この状況が続く限り『唯一出来ることは、ウィルスの拡散のスピードを緩和し、引き延ばして薬やワクチンを開発する時間を稼ぐ事』だと云います。
メルケル首相は更に『医療施設で働いている方全てに言葉を贈りたい。あなた方は私達のためにこの戦いの最前線に立っています。あなた方の仕事は偉大です。そのことに私は心から感謝します。』医療施設で働く人たちはこの言葉をどんな気持ちで聞いたでしょう。
『重要なのは、ドイツ国内のウィルスの拡散スピードを緩やかにすることです。公的生活を可能な限り制限すること。人を危険にさらす可能性があるものすべてを、今、減らす必要があります。
人から人への感染リスクを可能な限り抑える必要があります。イベント、見本市、コンサートは中止、学校も大学も保育所も閉鎖。遊び場でのお遊びも禁止です。
こうした制限は未だかつてありませんでした。 経済全体にとって、今は非常に困難な状況です。今後何週間かは一層困難になるでしょう。』とこれからも困難に直面していく事を明確に説明し、それをもとに次のように約束しています。
『私は皆様に約束します。連邦政府は、経済的影響を緩和し、特に雇用を守る為に可能な事は全て行います。』
これは力強い約束で、国民も安心出来ます。食料品提供が常時確保されている事に触れて、『買い占めは無意味ですし、連帯意識に欠けた行動です。』と注意も怠りません。
又『普段滅多に感謝されることのない方達にもお礼を言わせて下さい。このような状況下で日々スーパーのレジにすわっている方、商品棚を補充している方は、現在ある中でも、もっとも困難な仕事の一つを担っています。同胞のために尽力し、言葉通りの意味でお店の営業を維持してくださりありがとうございます。』この社会が日々円滑に回っているのは、こういう目立たない人達の努力があってのことなのだと、今国家の危機に直面して国民に訴えることで、国民に自信を取り戻させたことでしょう。なんと心に響くことばでしょう。
この部分は日本のテレビでも放送されました。振り返って私はこのような温かい言葉を、日本の首相からとしてテレビでも新聞でも見たり聞いたりしたことがありません。今更のように、身近でこうした目の前の働く人たちの仕事ぶりを「当たり前」のこととして見過ごして来た自分を恥じます。
メルケル首相は続けます。
『さて、今日私にとっても最も緊急性の高いものについて申しあげます。私達がウイルスの早すぎる拡散を阻止する効果的な手段を投入しなければ、あらゆる国の施策が無駄になってしまうでしょう。その手段とは私達自身です。誰もが皆協力する必要があります。不要な人など誰もいません。私達全員の力が必要なのです。
私達がどれだけ脆弱であるか、どれだけ他の人の思いやりのある行動に依存しているか。つまりどれだけ私達が力を合わせて行動することで自分自身を守り、お互いに力づけることができるか、ということでもあります。一人一人の行動が大切なのです。
ウイルス学者の助言は明確です。握手はもうしない、頻繁に手を洗う、最低でも1.5m人との距離を取る、特にお年寄りは感染の危険性が高いので殆ど接触しないのがベスト、私達は好意を身体的な近さやスキンシップとして理解しています。今は距離だけが思いやりの表現なのです。
おじいちゃんやおばあちゃんと孫は今一緒にいてはいけない。不必要な接触を避けることで、病院で日々増え続ける感染者の世話をしている全ての方々を助けることになります。
誰も一人にしないこと、声かけと希望が必要な方たちの世話をすることも重要になってきます。私達は家族として、また社会として別の相互扶助の形を見つけるでしょう。』
素晴らしいリーダーとしての一語一語に感動しています。かなり抜書きになりましたが、お許し下さい。
家に籠もっていますと、このような良い演説もテレビで見聞きする機会に恵まれて、一日はアッと言う間に過ぎて行きます。
コロナウイルスには感染したくないし、私自身が感染者として他人にうつす事も絶対にしたくないです。皆さんも同じことを感じておいでかと思いますが、日々の精一杯の注意が、それを実現してくれるたった一つの方法だと改めて思い知らされました。
メルケル首相の演説の一言―言が、日本人に対しての演説と捕らえて何の矛盾もありません。我が国でも、先日総理の「緊急事態宣言」に際して演説がありました。大意は同様でした。しかし、国民一人一人に対する温かい愛情はあまり伝わってきませんでした。ならば一層私達は助け合って、この国難を乗り切っていきたいものだと思っています。