ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

夏祭りと風鈴

2021年08月12日 | 随筆
 子供達や若者にとって、夏祭りは心弾む思いかも知れませんが、高齢者にはエアコンの利いた部屋から出るのが躊躇われる様な日々です。でも風鈴がささやかな音を立てたりすると、ふと懐かしさも湧いて来ます。 窓外の朝顔のカーテンも朝夕には天然の涼しい風を運んでくれています。しかし、今夏は花火も密になるからと自粛のようで、音も聞こえずやや寂しくもありまます。祭りの宵宮の出店も最近は全く見えなくなって、あの沢山の人混みも何処へ消えたのか、神社の参道を通りかかってもかつての賑わいはありません。
 夏祭りと風鈴といえば、私には生涯忘れることの出来ない想い出があります。それは20年ほど前、私が短歌を習い始めた頃NHKの短歌教室に投稿した一首が採用となり、教育テレビで放映された時の感激です。

 ビードロの風鈴の音と共にある浴衣桐下駄綿飴金魚

 岡井隆先生の選でした。以来岡井先生のご指導を頂く幸運に恵まれ何とか詠い続けましたが、先生は文化功労賞を受賞された数年後、異界へと旅立たれました。私にとっての夏祭りと風鈴の音色は、短歌の原点だったと思っています。
 テレビではオリンピックを楽しみましたが、日本は金27個、銀14個、銅17個で計58個のメダルを取得しましたが、これは新記録だそうです。日頃から慣れ親しんだ場所だと平常心で競技に出場でき、実力が発揮出来るのかも知れません。オリンピックの選手として頑張って来られた人達には、その努力に拍手を送りたいです。侍ジャパンの野球選手にも大きな拍手を送りたいです。
 次は高校野球で、全国の都道府県の高校が参加していますから、故郷の高校の応援に勢い力が入ります。

 故郷の盆提灯の薄あかり蛍も連れて墓への野道  (あずさ)

 薄闇の中を子供一人が一つずつ、ローソクを点した赤い花柄の盆提灯を下げて、ご先祖様のお墓参りに行くのは私の故郷の習わしでした。墓地の石灯籠に紙を貼って灯を点すのは男性の役目、お墓に沢山のお花を生けてロウソクを点すのは女性の役目でした。子供達は浴衣を着て、一つずつの提灯を下げて墓地へと行くのです。ゆらゆらと一列に並んだ幾つかの赤い提灯が揺れて、とても幻想的な眺めでした。
 故郷の家に甥姪を伴ったきょうだい達が集まれば、たちまち大家族になりますので、その食事作りは大抵私の役割でした。海辺のお魚屋さんから新鮮な魚を買ってきて、お寿司を握りました。それはとても賑やかで楽しい一時でした。
 食後は花火です。年齢にふさわしい花火を上げたり点したり、パチパチという線香花火も美しく、ジーッと鳴ってポトリと落ちる火の玉を見つめたり、打ち上げる花火の模様や音を楽しんで、夏の一夜を楽しみました。池には大きい鯉が泳ぎ、庭の木々では蟬の羽化も見られました。
 先日我が家の庭の松の木の下に、蟬が羽化した後の穴が幾つか見られました。そういえば油蝉の声が聞こえます。夕方カナカナが鳴いたのは何時のことだったか、最近は専ら油ゼミばかりの気がします。これも地球温暖化の一つなのでしょうか。ひぐらしもつくつく法師も折々は聴きたいものです。
  
 今日はお仏壇に、盆菓子を供えました。新しいお花を飾って仏飯を供えロウソクを点せば、ご先祖さまの供養の準備が整います。今年も今日まで元気に生きて来られたお礼を込めて、13日にはお盆の供養をしたいです。
 どうぞ皆様もよいお盆をお過ごし下さい。 

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