ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

人間だもの

2009年06月08日 | 随筆・短歌
 「つまづいたって いいじゃないか にんげんだもの」これは皆さんも良くご存じの 相田みつをの本にある言葉です。私の手元に1997年発刊の一冊があります。今は閉店した近くの本屋さんで手に入れたものです。
 「にんげんだもの」と云う言葉が好きで、更にその筆跡のかもしだす、何とも云えない優しさ、素朴さ、正直さ、そういった感じが好きで、求めて来て以来時々出して読んでいます。そしてその度に安心するのです。
 私は自分を、とても生きるのが下手な人間だと思っています。あれこれと気を遣って疲れたり、腹を立てて怒ってから悔やんだり、後ろばかり振り返って後悔する事が多いのです。後悔とは済んでしまった事を悔いる事ですから、極めて非生産的な行為です。そして嘆いたり悲嘆にくれる事になります。
 私は夫と毎日一時間程のウオーキングをするのが日課で、雨でも雪でも歩きます。私がうつ状態の時に、無理矢理夫がウォーキングに引っ張り出して呉れて、それが立ち直りのきっかけになった事は先に書きましたが、歩きながら私は先立った娘や義父母に充分な事をしてやれなかった事などを思い出して、度々後悔を口にしていました。そんな私に夫は、精神科医の神谷恵美子がその著書「こころの旅」に、「過去を切り捨てられないことの不決断こそ人生後半を悔いの多い、ぐちの多いものにしてしまう恐れがある」と書いているが、そう後ろばかり向いて生きていては、悲惨な老後を過ごす事になる、とさんざん注意しました。
 何時もその通りだな、と思うのですが、翌日にはもう後悔や愚痴を口にして歩いているのです。何ともどうしようもない人間でした。
 鬱が去った今ではそのような事は少なくなりましたが、気が弱くて、神経質なのは生まれつきですので、なかなか開き直るという事が出来ないのは今も同じです。
 やがて元々好奇心が人一倍強かった私が、夫に勧められたり、息子に励まされたりして、短歌を詠む、クラシック音楽を聞く、随筆を書く、通信講座を学ぶなど、そしてフィットネスクラブに通うようになって、ついにこのようなブログまで手を伸ばすようになりました。
 どれも半人前なのですが、とても楽しくて、つい夢中になりすぎてしまいます。今日実行したい仕事をメモにして、終わると消していくのですが、毎日のように残ってしまって、なかなか予定通り完了しません。それでも「にんげんだもの、いいじゃないの」と思って、自分を許せるようになりました。
 「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる うばい合えば憎しみ わけ合えば安らぎ」
これも相田みつをのことばです。今の世の中は、お金を多く稼ぐ人が勝者だと信じる人が多くなって、その為には奪うことに心が走り、与えたり分け合ったりすることは、価値観に逆行する行為だと思っている人がとても多いように思います。かつて貧しかった時代に、私達は分け合って暮らして来ましたし、自分がひもじくとも、もっとひもじい人に分ける優しさを持っていました。その心は何処へ行ってしまったのでしょう。私ももっと優しい人間であるように努力したいと思っていますが、今一番人間を愛する優しさが欲しいのは、政治家であり、官僚の皆さんだと思っています。彼等がもう少しでいいから、優しくなってくれたら、この国はどれ程生きやすくなることでしょうか。相田みつをの本を開いて、今日もまたそんなことを感じています。

  振り向いてばかりの自分が情けなく玉葱刻むみじんに刻む
  あるがままそのままがいいと君はいふ鬱を抱へし我に優しく
  めぐりゆく日日は平穏に過ぎれども秘めたる悲しみ時折還る 
              (全て実名で某誌に掲載)





1 コメント

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同感です。 (はまぐりん)
2009-06-09 23:45:18
相田みつを携帯の待ち受けです。みんなが愛と感謝の気持ちをもてるとよいですね
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