皆さんは、既に新聞など読まれてご存知でしょうか。一人一ヶ月に300万円かかると言われる「抗がん剤の新薬」が、昨年12月に厚生労働省によって承認されたということです。
その薬の名前は「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」というそうです。どんなに画期的な薬品なのかと思って調べてみましたら、外科医の中山祐司郎氏の2016年4月27日のブログ「抗がん剤が日本を滅ぼす日」によると、免疫に作用することで効果を発揮するというところが、業界にも注目されているそうです。元々は悪性黒色腫に対する抗がん剤として使われていたものですが、肺がんにも効くということになって、適応拡大されて認可となったそうです。悪性黒色腫というがんは少ないそうすが、肺がんにも適応になると、ぐっと患者さんが増えて、医療費がかさむことになりました。
ところが劇的に効くというわけではなく、中山医師によると、肺がんに対する従来の治療法、ドセタキセルという抗がん剤と比べて、生存期間を約3ヶ月延長する(扁平上皮がんでは6ヶ月→9.2ヶ月、非扁平上皮がんでは9.4ヶ月→12.2ヶ月)というものだそうです。
たった3ヶ月の延命力しかないのに、と思うのは、がんと余り縁の無い私だからかも知れませんが・・・。
最近高齢化による医療費増大が問題になっています。がんの患者さんも増えてきています。肺がんの患者さんが第一位で、二位は胃がん、三位は大腸がんとなっています。肝臓がんが四位です(厚生労働省ホームページから)。いつの間にか、胃がんと肺がんが逆転してしまい、大腸がんが大層増えたそうです。
加えてどんな薬でも、副作用に苦しめられる場合があります。ニボルマブも少ないとはいえ、主な副作用(10%以上)は、発熱、倦怠感、食欲減退、及び発疹(承認時)だそうです。これらを考慮しつつ、本当にこのような高価な薬の投与を、保険適用にして、医療保険制度が維持できるのかと心配になって来ます。
肺癌学会のホームページによると、このニボルマブの薬価は1ヶ月で約300万円となり、これは以前使われていたドセタキセルのジェネリック薬を使えば1ヶ月で5万円以下だそうです。そう思って比べると、たかだか3ヶ月の延命の対価としては、異常に高価に思われます。
一人が12ヶ月使うと3600万円になります。これで製薬会社で推計した新規使用患者数の1万5千人分をかけると何と5400億円にもなります。同じ患者数で三年も使うと1兆6千2百万円になります。
中山医師によると、増え続ける大腸がんでは「アバスチン(一般名ベバシズマ)」を使った多剤の治療では、一ヶ月50万円となり、セツキシマブやパニツムマブを使った多剤では大体約60~80万円かかるそうです。このようにどんどん新薬が開発されるのは悪くはないのですが、このような高額ではとても医療保険でまかなえる額ではなくなり。医療保険制度は破綻することになりはしないかということです。中山医師もこのことを説いておられますし、私も同様に思います。
日本は互助システムで、国民全体の保険料で、医療費を支えて貰っている有難い国です。破綻したら医療機関にかかれない人が大勢出ます。そんな国家を希望している国民は一人もいないでしょう。
裕福な人で、この治療を望む人が、自費で使用すれば良いのではないか、と私は思うのです。
別の資料ではニボルマブは、患者の20%に効果がある、とのことでした。たった20%かと、少しがっかりしました。それでも厚生労働省から保険を適用してよろしいと認可されたのです。
実際にあった話だそうですが、新しい抗がん剤が出たのに、まだ高価なために、ニューヨークの有名な医師が「高すぎてウチの病院では使わないことにした」と公表したところ、あっと言う間にその抗がん剤は半額になったといいます。
それでも収支が合ったのですね。薬九層倍と言う言葉は昔からある言葉で、それほど昔から薬は高価だということですが、それにしても、製薬企業は国民あっての企業であり、国民を苦しめて企業だけ栄えるということは、あり得ないはずです。
確かに、患者さんには、高額医療費制度というのがあって、実際に支払う金額は、所得の差によって頭打ちになり、それ以上は医療保険が代わって支払うことになっています。しかし、それは加入者で支えられているのですから、安いからと言って喜んでいれば、まわり回って、高額の医療保険料を支払うはめになります。当然「限度」があってしかるべきで、製薬会社の開発薬品を次々に認可して、国民に高価な医療保険料を支払わせるというやり方は、どうかと思います。中山医師もそのことを指摘されています。
現在は厚生労働省の勧めで、ジェネリック薬品への切り替えがすすめられています。医療費を圧迫しないためにです。このような超高価薬品は発売後三~五年位(現在は発売後十年位と聞いています)でジェネリック薬の認可をしたらどうでしょうか。
最近人生の末期を「自然死」で迎えたいと思う人が増えているようです。私もその一人です。不要な治療をせず、食欲が無くなれば、食べられる程度の食事と水を頂ければ、次第に衰弱していって、最後は眠るように逝けるらしいです。一昨日もテレビで、それが自然の摂理なのだと放送していました。
私の90歳で亡くなった曾祖母のように、普段は日中寝ることも無かったのに、夕食時に横になって、珍しく私の母に食べさせてもらいました。翌朝は私の母の用意したおかゆと、要望に応じて水をあげたのですが、少ししたらもう呼吸がおかしくなり始めました。母は私に「直ぐに親戚に行って、おばあさんの様子がおかしいから来て下さい、と伝えて来なさい」と言いました。私が走って5分ほど離れている分家に伝えて帰ってきましたら、もう臨終のまぎわでした。分家の主が医師を連れてきた時は、すでに呼吸をしていなかったように記憶しています。安らかな死でした。母も「私もあのように死にたいものだ」と晩年になってしきりに言いました。
昔はみなこのように、自然の摂理にそった死に方をしたように思います。医学が発達して、確かにある程度延命することが出来るようになりました。若い方には素晴らしいことですが、全ての人に朗報とばかりは言えないようです。
延命の一つが薬品や人工呼吸です。肉体が死に近づいているのに、点滴で余命を伸ばすとか、食べられなくなった人には胃ろう(胃に穴をあけてすりつぶした食事を与える)にしても延命を計ります。(私の親戚も脳卒中で倒れて入院し、2年間意識がないままに胃ろうで生きていました)意識の無いままに生きていても、本人もきっと本意ではないでしょうし、家族も痛ましく苦しい思いをするに違いありません。
いったんセットした胃ろうのチューブを抜くことは、医師にとっては人工呼吸と同じく、難しい事のようです。しかし、そういう事態は何時、誰に来るとも知れず、私はそんな時のために、無用な延命治療をしないで下さい、と文書にし、家族にもよく頼んでいます。
最近は医師達も、無理な延命措置をせず、がん末期の人も苦しませず、楽に最後を迎えられるように、対処する方向だと聞いています。人間の尊厳を維持しつつ、死んで行きたいと思うのは、きっと誰もが望むことでしょう。
これからも続々と出て来る抗がん剤に、このような超高薬価がつくのかと思うと、病気の人を救うのを使命とする製薬企業が、返す刀で国を滅ぼしていくという、何とも理解出来ない存在にならないように祈るばかりです。
その薬の名前は「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」というそうです。どんなに画期的な薬品なのかと思って調べてみましたら、外科医の中山祐司郎氏の2016年4月27日のブログ「抗がん剤が日本を滅ぼす日」によると、免疫に作用することで効果を発揮するというところが、業界にも注目されているそうです。元々は悪性黒色腫に対する抗がん剤として使われていたものですが、肺がんにも効くということになって、適応拡大されて認可となったそうです。悪性黒色腫というがんは少ないそうすが、肺がんにも適応になると、ぐっと患者さんが増えて、医療費がかさむことになりました。
ところが劇的に効くというわけではなく、中山医師によると、肺がんに対する従来の治療法、ドセタキセルという抗がん剤と比べて、生存期間を約3ヶ月延長する(扁平上皮がんでは6ヶ月→9.2ヶ月、非扁平上皮がんでは9.4ヶ月→12.2ヶ月)というものだそうです。
たった3ヶ月の延命力しかないのに、と思うのは、がんと余り縁の無い私だからかも知れませんが・・・。
最近高齢化による医療費増大が問題になっています。がんの患者さんも増えてきています。肺がんの患者さんが第一位で、二位は胃がん、三位は大腸がんとなっています。肝臓がんが四位です(厚生労働省ホームページから)。いつの間にか、胃がんと肺がんが逆転してしまい、大腸がんが大層増えたそうです。
加えてどんな薬でも、副作用に苦しめられる場合があります。ニボルマブも少ないとはいえ、主な副作用(10%以上)は、発熱、倦怠感、食欲減退、及び発疹(承認時)だそうです。これらを考慮しつつ、本当にこのような高価な薬の投与を、保険適用にして、医療保険制度が維持できるのかと心配になって来ます。
肺癌学会のホームページによると、このニボルマブの薬価は1ヶ月で約300万円となり、これは以前使われていたドセタキセルのジェネリック薬を使えば1ヶ月で5万円以下だそうです。そう思って比べると、たかだか3ヶ月の延命の対価としては、異常に高価に思われます。
一人が12ヶ月使うと3600万円になります。これで製薬会社で推計した新規使用患者数の1万5千人分をかけると何と5400億円にもなります。同じ患者数で三年も使うと1兆6千2百万円になります。
中山医師によると、増え続ける大腸がんでは「アバスチン(一般名ベバシズマ)」を使った多剤の治療では、一ヶ月50万円となり、セツキシマブやパニツムマブを使った多剤では大体約60~80万円かかるそうです。このようにどんどん新薬が開発されるのは悪くはないのですが、このような高額ではとても医療保険でまかなえる額ではなくなり。医療保険制度は破綻することになりはしないかということです。中山医師もこのことを説いておられますし、私も同様に思います。
日本は互助システムで、国民全体の保険料で、医療費を支えて貰っている有難い国です。破綻したら医療機関にかかれない人が大勢出ます。そんな国家を希望している国民は一人もいないでしょう。
裕福な人で、この治療を望む人が、自費で使用すれば良いのではないか、と私は思うのです。
別の資料ではニボルマブは、患者の20%に効果がある、とのことでした。たった20%かと、少しがっかりしました。それでも厚生労働省から保険を適用してよろしいと認可されたのです。
実際にあった話だそうですが、新しい抗がん剤が出たのに、まだ高価なために、ニューヨークの有名な医師が「高すぎてウチの病院では使わないことにした」と公表したところ、あっと言う間にその抗がん剤は半額になったといいます。
それでも収支が合ったのですね。薬九層倍と言う言葉は昔からある言葉で、それほど昔から薬は高価だということですが、それにしても、製薬企業は国民あっての企業であり、国民を苦しめて企業だけ栄えるということは、あり得ないはずです。
確かに、患者さんには、高額医療費制度というのがあって、実際に支払う金額は、所得の差によって頭打ちになり、それ以上は医療保険が代わって支払うことになっています。しかし、それは加入者で支えられているのですから、安いからと言って喜んでいれば、まわり回って、高額の医療保険料を支払うはめになります。当然「限度」があってしかるべきで、製薬会社の開発薬品を次々に認可して、国民に高価な医療保険料を支払わせるというやり方は、どうかと思います。中山医師もそのことを指摘されています。
現在は厚生労働省の勧めで、ジェネリック薬品への切り替えがすすめられています。医療費を圧迫しないためにです。このような超高価薬品は発売後三~五年位(現在は発売後十年位と聞いています)でジェネリック薬の認可をしたらどうでしょうか。
最近人生の末期を「自然死」で迎えたいと思う人が増えているようです。私もその一人です。不要な治療をせず、食欲が無くなれば、食べられる程度の食事と水を頂ければ、次第に衰弱していって、最後は眠るように逝けるらしいです。一昨日もテレビで、それが自然の摂理なのだと放送していました。
私の90歳で亡くなった曾祖母のように、普段は日中寝ることも無かったのに、夕食時に横になって、珍しく私の母に食べさせてもらいました。翌朝は私の母の用意したおかゆと、要望に応じて水をあげたのですが、少ししたらもう呼吸がおかしくなり始めました。母は私に「直ぐに親戚に行って、おばあさんの様子がおかしいから来て下さい、と伝えて来なさい」と言いました。私が走って5分ほど離れている分家に伝えて帰ってきましたら、もう臨終のまぎわでした。分家の主が医師を連れてきた時は、すでに呼吸をしていなかったように記憶しています。安らかな死でした。母も「私もあのように死にたいものだ」と晩年になってしきりに言いました。
昔はみなこのように、自然の摂理にそった死に方をしたように思います。医学が発達して、確かにある程度延命することが出来るようになりました。若い方には素晴らしいことですが、全ての人に朗報とばかりは言えないようです。
延命の一つが薬品や人工呼吸です。肉体が死に近づいているのに、点滴で余命を伸ばすとか、食べられなくなった人には胃ろう(胃に穴をあけてすりつぶした食事を与える)にしても延命を計ります。(私の親戚も脳卒中で倒れて入院し、2年間意識がないままに胃ろうで生きていました)意識の無いままに生きていても、本人もきっと本意ではないでしょうし、家族も痛ましく苦しい思いをするに違いありません。
いったんセットした胃ろうのチューブを抜くことは、医師にとっては人工呼吸と同じく、難しい事のようです。しかし、そういう事態は何時、誰に来るとも知れず、私はそんな時のために、無用な延命治療をしないで下さい、と文書にし、家族にもよく頼んでいます。
最近は医師達も、無理な延命措置をせず、がん末期の人も苦しませず、楽に最後を迎えられるように、対処する方向だと聞いています。人間の尊厳を維持しつつ、死んで行きたいと思うのは、きっと誰もが望むことでしょう。
これからも続々と出て来る抗がん剤に、このような超高薬価がつくのかと思うと、病気の人を救うのを使命とする製薬企業が、返す刀で国を滅ぼしていくという、何とも理解出来ない存在にならないように祈るばかりです。