半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

都市と農村の仕事の差

2022年06月14日 | 自分の時間

NHKスペシャル「夢見た国で〜技能実習生が見たニッポン〜」というのを見ました。

NHKのHPを見るとこう書いてあります。

「3年半にわたり取材してきたベトナム人技能実習生たちが、コロナ禍の日本で次々に姿を消した。何が起きているのか?SNSコミュニティ“ボドイ(兵士)”では、実習生たちが闇金融や犯罪組織にからめ捕られていた。さらにビザに関する国の特例措置で無保険になる人が続出。借金を抱え、命の瀬戸際に追い詰められる人も。憧れを抱きやってきた「夢の国」の過酷な現実。それは、日本の未来に何をもたらすのか。調査ルポから迫る。」

 

私は農村に身を置いているので、この内容を見て「なるほどな」と思いました。

何が「なるほどな」と思ったかというと、「農村と都市部の差、立場の差でこうも変わるのか」というものです。

例えば、私が東京に住んでサラリーマンしていたら、「酷い話だ」と思っていたと思います。

しかし、私は農村の農家さんとおつきあいをしているので、「農村と都市部はこんなに違うのだな、なるほどな」と思ったのです。

 

番組内で技能実習生制度に関わった元官僚の話や繊維業界の方の話も出てきましたが「建前は国際貢献だけど、実体は労働力確保です」と言っている通り、いわゆる「出稼ぎ労働者」なわけです。

昔は日本でも東北や貧しい農村から、冬の仕事が無いので都市部に出稼ぎにお父ちゃんは行っていたのです。

それが日本が近代化し、仕事もあるので、出稼ぎも少なくなってきました。

そして少子高齢化で人手が少なくなってきたので、国が制度として作ったのが「技能実習生制度」です。「日本の技術を学んで自国の発展に寄与出来る人材になろう」という建前で、昔は中国、今はベトナム、フィリピン、モンゴルといった辺りから技能実習生がやってきます。

その斡旋団体、企業というのがいて、海外から人を集めて日本に来てもらい、1ヶ月の日本語研修などをして、静岡や愛知の工場、千葉や茨城の農家へ送ります。

そこで受入れた工場や農家が、「労働力」として技能実習生に働いてもらうのです。

これは農村では周知の事実、誰もが知っていることで、私も何人かと話したことがありますが「離婚して子ども残してきている。ここで稼いで家を建ててみんなで暮らせるようになりたい」とか、2年とか3年頑張って、「自分の村で楽に暮らせるようになりたい」という覚悟を持ってくるのです。

ベトナムやフィリピンの農村というのは、都市部よりまだまだ貧しいわけで、首都に出稼ぎに行く人が多いわけです。昔の日本と同じですね。どうせ出稼ぎに行くのなら、日本に行った方がお金が違うので、日本の来たがるわけです。

実際に同じ村で「家を建てた人」がいると、なおさら「私も日本に行きたい」という人が増えるわけです。

これは「国の所得格差」なので、例えば中国で貧しい村が発展してくると、もうそこは日本にわざわざ行かない、あるいは中国の都市部で十分、となるので、まだまだ国の所得格差があるところから出稼ぎとしてやってくるのです。

 

ここで問題があるとしたら

1:斡旋団体、企業が悪質かどうか

2:受入れ先の工場や農家が悪質かどうか

だと私は思います。

 

私がおつきあいしているのは農村の農家さん達ばかりなので、はっきりいって働き者ばかりです。悪質な農家というのは私は会った事がありません。農村ではそういった人はあっという間に噂が広がって、みんなから「あいつのところは」となって、おつきあいが出来なくなります。

あえていえば「儲け主義の金銭主義」というレッテルを貼られる人が悪者扱いされますが、やっかみであって、外国人労働者を家畜のように扱うなんて人は、私の周りでは聞いた事も見た事もありません。

むしろ「今回の研修生は外れだな。言ってもきちんと働かない」といった感じで、研修生の質の善し悪しがある、と思っているぐらいです。それほど貴重な労働力で、真面目にきちんと働く人は、農村では重宝されるわけで、日本人であろうと外国人研修生であろうと構わないわけです。むしろ外国人研修生の方が確率としては今の日本人よりよっぽど真面目にきちんと働いてくれるわけです。

また、令和2年までは「母国に住んでいる研修生の家族も扶養家族なら保険対象となり、雇い主が面倒をみなくてはいけない」という法律がありました。これに憤っている農家さんもいました。「俺の知っている人のところで働いていた中国人が、家族を呼び寄せて病院に通わせて。それを俺たちの税金でまかなってあげる必要があるなんて、馬鹿らしくないか?」。この制度は令和2年で無くなったそうですが、確かに農家さんの憤りも一理あると思いますよ。

そして、研修生の手取りが月8~9万と言われますが、これも実際は月給が18万としたら、斡旋企業に数万、また研修生用のアパートと水道光熱費や食費で数万など払うと、手取りは10万以下になることも別におかしくないのです。

それでも「自国で働くよりよっぽど良い」という研修生が来るのです。

 

こんな感じで、私の周りの実態を知る限り、研修生が無くてはもはや農業は回りませんし、特に茨城は全国の確か3割ぐらいの農業研修生を集めているはずで、日本人の国産野菜は食べられなくなるのが実態です。

繊維工業や労働集約型の業種は、外国人技能実習生が無ければストップしてしまうのが実態で、これは良くも悪くもお互いのためになる制度でもある、とは言えると思います。

 

ところが、さっきも書きましたが

1:斡旋団体、企業が悪質かどうか

2:受入れ先の工場や農家が悪質かどうか

というところに問題が発生しているわけです。

 

こういった権益ビジネスには怪しい人達が入りやすく、そういったところにお金や人材を国は直接まわしません。というか、国家として中小企業や工場、農村といったところの人手確保をどうするか、という解決策を打てなく、この研修生制度が一つの解決策となってきた、というのが今までの歴史です。

 

そして、海外から日本に来る研修生はとても不安で何もわかりません。そこの全てを握る斡旋企業が悪意があれば、いくらでも悪いことが出来てしまいます。斡旋企業が悪ければそれを受入れる企業側も差別的意識を持って外国人労働者を扱うこともあります。

でもこれって、日本人労働者にも当てはまるな、と思いました。

都市部でたまたまブラック企業に入社してしまって、でも正社員でいたくてぼろぼろになるまで働いて、最後は体を壊して辞めざるをえなくなり、さまような日本人が実際にいます。そこにつけこむ闇ビジネスも多数あります。

 

そう思うと、都市部と農村のそもそもの差があるよな、と思います。

農村ではちょっと一昔の考えというか、本来の生きること、つまり衣食住が足りれば人は生きている、という当たり前の思想、生活が残っています。

都市部はお金が無いと生きて行けません。食べ物はお金で買うものです。

この差は体験したことが無い人にはわからないほど、生き方に大きな差があります。

例えば、体が動くのであれば、半日農家さんのところで働ければ、バイト代と食べ物が頂けます。食うに困っている人で、真面目な人なら農村では誰かが助けてくれます。食べ物が手に入ります。

実際に、家賃1万円、食べ物の半分はもらったり自給、あとは光熱費やちょっとした買い物で月10万あれば普通に生きていける、というのが農村です。

そういった生活に居心地差を覚え、農村でそういった暮らしをしている元都市部人間は結構います。まあ、私もその1人なのでしょうが

 

ちょっと話がずれましたが、外国人研修生も日本人もそうですが、都市部で過酷な環境で働かされているのと、農村で自分以上に良く働く農家=雇い主の下で働くのでは、全く意識が違うよな~、と思いました。

ほんと、農家は良く働きます。そこで働いていると仕事によっては5倍速いのです。まとま人なら「自分が戦力になっていないな」と思うわけで、それでもお金をもらえる、もっと仕事を早くやれるようにならなくちゃ、と思えるわけです。

工場などで指示だけ出されて偉そうにしている雇い主の下で働かされる環境とは、地道な繰り返しの仕事ばかりであっても、決定的に違う精神状態になるんじゃないのかな~、と思いました。

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