半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

本:百姓物語・「生活を選び直す」

2010年05月01日 | 素敵な本
この前、図書館で借りてきた本の紹介です。

 この「百章物語/著者:小泉英政」は、以前私が読んだ「みみず物語」の前に書かれた本です。→ここ



 「みみず物語」は、農的生活をしながら「原始帰り」とまで診断された超化学物質過敏症のお客様の為に、山の自生のものをわざわざ採ってきてお送りした、というお話とか、もらってきた廃鶏が、平飼いにしたらたくましく、元気になって卵を産み出したお話など、結構感動的で、かつ自然と一体に暮らしている昔のイメージの「農民」の姿が書かれていて、非常に私としては面白い本でした

 で、この「百姓物語」は、「みみず物語」の前に書かれた本で、1970年代からのお話が載っています。なので、古い時代の成田空港周辺の農家の暮らしぶりがわかります。

 内容としては、トラクターなど無かった時代に、農家さんが鍬一本もってたくましく畑を耕している風景や風情がこうだったんだ、というのがわかります
 また、著者が養子に入った「小泉ヨネ」さんという昔ながらのおばあちゃんの生き方、生き様や、成田空港が開設されることで、その土地を開墾して住み着いた農民にとってはどういった問題が降りかかったのか、が農民の視点でわかる物語となっています。私は、成田に住んでいましたが、いわゆる「空港問題」ってからっきしわかりませんでしたからね ちょっとだけですが、そういうことだったのか、ということがわかりました。

 
 あと、おばあちゃんのお話を口語体で書いた章などは、まさにおばあちゃんの昔の暮らし方や考え方がわかるので、興味深いです。一方で、方言などが入っているのでわかりにくいといえば、わかりにくいです。好きな人は好きだし、好きじゃない人は読みずらいんだろうな~。

 でも、何よりもどうしてこの著者の「小泉英政」さんが、ここに住み着いたのか、という「背景にある考え方」、「百姓になっていく過程で感じていること」などは、古臭く昔臭いですが、鍬をもって畑を耕したい私には、彼らの姿は非常に刺激になりました。


 特に、一番のメッセージは「暮らしを選びなおす」という言葉です。

 
 分業化された生活、、、つまり、昔は、食べるものを作り、着る物を織り、住む家を建て、、、という事が、まさに「暮らすこと」だったわけです。それが、高度経済成長の時代から「他の人・企業に分業化」され、「お金」に換えられてしまいました。

 「生活すること」が、今は「お金を稼ぐこと」に置き換わり、その「お金」によって、「どんな食べ物を食べるか?どんな服を着るか?どんな家に住むか?どんな教育を子供に受けさせるか?などが、国や企業が与えてくれる選択肢から選ぶ」生活が当たり前になってしまっています。

 よく、世界的に仕事が「世界分業体制」になった、といわれますが、個人の生活も「分断・分業化」されてしまっているんですよね。そういったことがこの本で気づくことが出来ました。

 で、この小泉さんは、1970年代に「暮らしを選び直した」わけです。百姓になることで、「自分の暮らしを自分で行う」ようになったのです。


 この本を読んで、改めて考えてみると、私や同世代がなんとなく「農」にあこがれているのは「生活実感」が無いからなんでしょうね。
 ちょっと前までは、「会社で働く」ことがスリルがあり、ゲーム的要素があり、また、お金を稼げるという実感、給料が上がっていくという仕組みへの信頼が持て、結果的には、更なるお金を使える生活が出来るという実感があったわけです。

 でも、もはや、給料が上がり続けるという実感は失われ、働ければ働くほど更に使えるようになっていく実感がもてなくなっていますよね。そうすると、やっぱり、生活を豊かにするための必要なお金が増えていかないので、今後の子供のことや老後のことを考えると、生活が豊かになっていかない感覚を持ち始めて、なんだか働いても生活が豊かになっていく感覚が薄れているので、このまま働いていてもな、、、でも、将来のことを考えるとそう簡単にドロップアウトして会社を辞めるのもな、、、といった思考回路に入っているのではないでしょうか?

 私の大学の同世代の話を聞いても、大体、こういった感じなんですよね~。

 でも、それも「国や企業から与えられた情報」に乗っかって、「与えられた選択肢からしか選べない生き方」になっちゃっている気がするんです。

 私は奥さんに「何をまた一人で妄想しているの?」と突っ込みを毎日もらっているのですが、釣りをして狩りをして、家を建てて、野菜を作って、、、という生活にあこがれるているんです 農家民宿みたいなのもしたいんです

 実際、家を建てている人達、古民家を改築して住んでいる人達に「いいな~」と憧れを抱きます。昨年、機織り(はたおり)をさせてもらって「無茶苦茶楽しい」と思いました。でも、まずは出来ること、として「家庭菜園」で食べるものを作っています。梅干や味噌作りにもチャレンジしています。

 食べるものを作り、着る物を織り、住む家を建て、、、という事が、まさに「暮らすこと」と、最初に書きましたが、そういったことをしていくと、あんまりお金がいらないんですよね~。まあ、実際は、親と同居するために家をどうする?といった近々の問題があるんですが、最近は「お金があったら成田のニュータウンに家を買っていたけど、無かったからこそ、家を買わずにお金がかからない家をどうするか?といったことで考えられるようになっているんだ 良かった良かった。」と思えるようになっています
 
 稼げる人は、稼いで2地域居住をするのが一番良いと思うんですよね。東京にマンションをもって、でも、週末は田舎の別荘みたいな古民家で暮らして畑をいじる、、、みたいな暮らし 定年した方々でちょっとお金を持っている人達は、クラインガルデンとか、地方に家を買って、楽しい生活をしていますもんね
 
 でも私はそういったお金を稼げる状態(身体も、心も)ではないので、ビジネス最前線から降りて、【自分の生活を自分の手で作り上げていく新しくも昔ながらの生活】、にあこがれて、1つずつ行動を起こしています

 この小泉さんの本を読んで、私も「生活を選び直す」生き方をしたい、だからこっちに引っ越してきたんだな~、ということがわかりました
 
 最低でも、世の中で流通している食べ物の過半数が、怪しいものばかりで、そんな事言ったら何も食べれなくなるじゃん、と思って、そう考えると「本当だ、人生の大きな根幹を成す食べ物のほんんどが、大企業から与えられたものを選択しているんだ」という、恐ろしいことに気が付いて、「論理的に考えても、直感的にも、自分で作るのが一番じゃん!」という結論に達した2年前を思い出します。

 今でも、有機農家さんの現状を見ると、有機農産物も本当に大丈夫なの?と思うものがほとんどだし、そうなると、やっぱり自分で作るのが一番なんだよな~、と思います。

 徐々に、こういった意識は広がっていって、半自給的生活をする若者が今よりももっともっと増えていくんだろうな~、と思いました。

 また、だらだらと長文になってしまった。。。

 とにかく、この著者の小泉さんに早く会いに行こうっと
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