土地柄を垣間見る

　夢は人さまざま。子供の頃持っていた世界を旅する夢が、年を取り現実の中で少しづつ変化し、旅だけでは知り得ない風景名所旧跡の背景にある土地柄に興味を持つようになった。
　実際にあちこちにの土地に住むことは出来ないので、映像や活字で想像していたが、ブログという物を知って世界のあちこちに住む日本人の生活報告から、別の角度で見る土地柄を知ることができるようになった。
　どういう訳か、たぶん女性が結婚して夫の土地に住むことが多いせい、圧倒的に女性のブログが多く、しかも全世界から発信されている。人様の生活を覗く趣味はないのだが、女性は身辺のことを書かれる方が多く、家庭生活から見た土地柄が垣間見えてきて面白い。視点が家庭にあるせいか、異質の中に共通な部分が見いだされている場合が多い。食べ物や行事はさまざまなのだが、都会を離れるほど伝統が色濃く残っているようで、独特の風習や食べ物が出てきて、ふむふむと思う。食べ物など、出来ればご相伴したい美味そうな物がでてくる。
　一年住めばある程度、五年住めば相当その土地を理解できると思う。もちろん住まなくても何度も訪れれば何となくその土地の感触が掴めよう。歴史というものは不思議なもので、五百年千年の昔が今に影を落としている。歴史によって作られる陰影は微細多彩で味わい深く飽きることがない。アメリカやオーストラリアにも歴史はあるのだが、百年二百年は昨日のことのようで影というより光となって生活を彩っている。日本人には宗教的な背景から、ヨーロッパユーラシア中東の文化を体感するのは容易ではない気がするが、さまざまな国の土地柄を浅薄でなく、いくらかでも味わうのが、今も見果てぬ夢である。