駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

秋雷の告げるもの

2021年09月02日 | 小考
         

 夜半に雷が鳴ってしばらく寝付けなかった。昨日は関東大震災のあった九月一日、もう大震災の記憶を語る患者さんは居なくなってしまったが、開業した三十一年前には何十人も関東大震災の記憶のある患者さんが居て、ここも揺れたんですよと話してくれたものだ。
 父は東京で関東大震災に遭っており、何度もその恐ろしさを聞かされたのでまるで経験したかのような感覚がある。自分は子や孫に語り継ぐ惨劇を経験しなかったが(伊勢湾台風の直接の被害は少なかった)、今共に記憶されるパンデミックに遭遇している。災害は忘れた頃にやってくると言うが、学んだはずの対策まで忘れては犠牲者に申し訳ない。勿論、賢い人は憶えているのだが、俺は私は大丈夫という脳天気が席巻しがちなのが世の中だ。
 自分は賢いなどと思ってはいないが、失敗から学ぶ心は持っている。父母先輩の注意が意味あるものだったと分かる年齢まで生きた。大事を阿呆に任せてはならない。小事だから与太郎に任せて笑い話になる。大事に俺が私がと言う与太郎与太子を登場させてはならん。巻き添えほど食って苦く詰まらないものは世の中にない。

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