「天災は忘れた頃にやって来る」は寺田寅彦の言葉とされている、駅前糸脈医者は「人災は忘れた頃にやって来る」と展開したい。忘れた頃というのは大体六十年前後のことで、つまり孫にはきちんと失敗が伝わっていないということだ。
どうも、失敗の教訓というのは子供には伝わっても孫には伝わりにくいと見ている。これは爺婆には残念なことだが、伝聞の限界かも知れない。それに自分の失敗と言うのは直には伝えにくいし、あまりに辛い思い出は語られないのかもしれない。失敗をした本人は語らず、被害を受けた爺婆は悲しみのあまり口をつぐむのかもしれない。
「人災は忘れた頃にやって来る」は糸脈医者の単なる閃き(他にも言っている人が居るかもしれない)で、何の検証もしていないのだが、売り家と唐様で書く三代目という言葉があるから、昔から気付かれていた真実のように思う。さてどのようにして孫に伝えるか!。