駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

臍をかむ音痴

2013年07月23日 | 小験

          

 私の医院は予約制ではないので、来院患者数の予測が難しい。曜日による傾向はあるが外れることも多い。天候は関係があり、荒天だと三割くらい少ないことが多いが、好天だから多いとは限らない。

 昨日は月曜日でまずまずのお天気だったのだが患者さんが少なく、午前10時半過ぎには手持ちぶさたになってしまった。書類を書こうかと思ったが、医師の意見書は先週末頑張って書いたので残っていない。訪問看護指示書は、まだ期限までに余裕がある。

 それではと診察室内に散在する薬屋が持ってきたパンフレットや奇妙なグッズの整理を始めた。これは捨てようこれも要らないと調子よく種分けをしていたら、テンポがあったのか、なんだかメロディが浮かんできた。一小節だけが壊れたレコードのように繰り返される。何とかするよりも・・・、と若い女性が歌っている。

 歌詞がもう一つはっきり聞こえない。あれこれなんだっけ、手を休めて歌詞を聞き取ろうとするが、聞きとれない。そうだメロディを職員に聞いてもらえば曲名が分かるかもしれない。

 信じがたいと言われるかもしれないが、心に浮かぶメロディは正確?なのだが、それを口ずさもうとすると似ても似つかぬ曲になってしまう。受付に出向いて、鼻歌を歌って、これなんだっけと言おうものなら「何ですか、それは」。と笑われそうだ。

 困ったと思っているうちに、心の中に流れていた歌はだんだん小さくなり、遂に聞こえなくなってしまった。悔しい、悲しい。

  まさか、ひょっとしてそうやってもどかしく、浮世から消え去ってゆくんじゃあ、あるまいな。

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