駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

平生往生

2008年12月18日 | 小験
 毎年六、七名の患者さんを自宅で看取る。その平均年齢はついに九〇歳を超えた。有体に言えば、臨終はドラマのようではないし大往生というに相応しい別れは半数に満たないと思う。
 死は最も私的なことで、町医者ごときが臨終のあり方にについて何かを言うことは適当でないかもしれない。しかし死に巡り会うことは一般の方には稀なことと思うので、お願いしたいことがある。これは職業上経験したことに基づいているが守秘義務には触れないと思う。
 それは、死は何よりも御本人のものであると云うことと、長く看病された方の気持ちを尊重していただきたいと云うことの二つである。当然のことのようで、そうした配慮に欠ける方が、別れの時と場をかき回されることがある。家族のことに口を出すのは差し出がましいので、黙っているが。
 メメント・モリリと云うが、平生往生なのだ。
 
 
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