光陰矢の如しというのだが、この矢には加速度があり段々速くなるから厄介だ。え-もう八月の二日というので、驚いている。私の乗っている戦後一号に、もう少しゆっくりお願いしますと頼んでもちっとも遅くならずえらい勢いで前へ前へと進んで行ってしまう。これでは壁にぶつかったり崖から落ちたりしそうで行く末が心配になる。
幸いというか、私も含め殆どの人は、不可知のことにいつまでもあれこれ思い煩うことがないように出来ているらしく、そういえば親爺もそう言っていたなあとお茶を飲んで濁すことになる。
まあそれでも長く生きていると、何某かを学びいくらかは真贋を見分けることが出来るようになる。いつも書くのだが安保法制からTPPまで、語られてきた言葉を時系列で思い起こせば、語る人の狙いと中身が見えてくる。事実と真実よりも歓心を買うことに終始する言い回しに巧言令色鮮し仁を思い出す。
学んで思わざれば即ちくらし、思うて学ばざれば即ち危うしは今も変わらぬ要の教えだ。物忘れが始まる年齢になって、より一層英知に敬意を払わねばと思うようになった。