駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

王様の耳はロバの耳、その一

2008年04月01日 | 世の中
 どうも話してはまずいことを知ってしまうと、特別おしゃべりな人間でなくとも、どこかむず痒い感じがするものだ。いつの時代にも話さない方が良いことはあるようだが、その内容は時代によって変わってゆく。なんだか矛盾した言い方だが、言論の自由を謳歌?する今だと、なかなか公言しにくいことがある。
 民主主義とはなんぞやなどと言い出すと、何百ページもある本を何冊も紹介され、挙げ句の果てに読んだがどうもよくわかりませんと告白する羽目になるので、言い出さない。
 病院に勤務していた時には気が付かなかったが、駅前に開業し町医者になってわかってきたことがある。それは貧困、無知、家庭不和が病気を招くということだ。今の日本に、などと思う人がいたら、世の中をご存じないと申し上げる。
 開業して近くの中学校の校医になったのだが、校長が挨拶の時、このあたりは低所得者が多くてと教育者らしくない直裁な発言をされ、驚いたのを覚えている。暗に、だから校内暴力が多くで困っていると言いたかったようだ。その時はそうなのかと特に気にも止めなかったのだが、腰を据えて患者さんとお付き合いをするようになって、校長の発言を深く理解するようになった。
 メタボリック症候群退治に、厚生省が新機軸を打ち出したが、手続きと決まり事が煩雑で、まるでお役所仕事のようだ。単なる指導でどれだけ実効(費用対効果)があるか、大いに疑問だ。メタボリックよりも、もっと根元的な貧困、無知、家庭不和が病気を招いていることに気付いている医療関係者は多いと思うのだが、対策が難しく、差別のように響くので黙っているのだろうか?

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