駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

微妙な距離

2008年04月04日 | 診療
 バードワッチングの趣味はなく、鳥の名前には詳しくないが、朝方雀にしては大きめの鳥が何羽か並んで電線に留まっているのを見かける。夕方になると可愛げのないカラスが近くの林から飛んできて、無線のアンテナに数羽留まって、がやがやとうるさくしている。面白いことに、ほとんど等間隔に並んでいる。これには動物学的な意味があって、個体間の距離は縄張りと親近感といったもので決まるらしい。実は人間にもそうした距離感がある。多少人種によって違うようだが、関係で距離はだいたい決まっている。まあ15cmの距離で相手の目を見つめ合う事のできるのは、知り合いや友達ではない。それは何よりの恋の証だ。
 患者と医者の距離も微妙だ。この場合は物理的な距離よりも心理的なものに気を配らねばならない。今の世の中は、優しさ?を求めている。この辺りの事情を正確に表現するのは難しい。というのは優しさというのは何だろうかを吟味する必要があるし、優しさは求めて得られるものだろうかとゆう疑問もあるからだ。しかしまあ、取りあえず粗く医療には優しさが求められているとしよう。訴えをよく聞いて適切な指導をしてほしいというのは当然の要求で、多くの医師はできる範囲のことをしていると思う。できる範囲というのは文字通りのことで、最善と言ってもよい。ところが困ったことに、人間は特別扱いを好み、25歳を過ぎても自立していない人が結構いる。こうした傾向、こうした患者さんにどのように対応すればよいか、医者としては難しい。たぶん、付かず離れずがよいのかなと、30年の経験から思っている。
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