駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

登校拒否から

2010年01月26日 | 世の中
 Sさんは五十歳。このところ夜半に眼が覚め、朝方ふらつく感じがある、日中でも立ち上がった時などどうもすっきりしないと訴える。神経学的な診察では頭蓋内病変は考えにくく、血圧を測ると191/105と異常に高い。いつもは130/80程度だ。ははあ、これは何か強烈なストレスがあるなと聞き質すと、冬休み明けから学校に行くのが辛い。子供達に苛められると告白する。三、四ヶ月休めないだろうかと言う。何年生の受け持ちかと聞くと五年生とのこと。内容を詳しくは聞かなかったが、どうもお前は駄目教師のように騒ぐらしい。
 五十歳と言えばベテラン教師、若い教師を指導しながら先頭に立って活躍かと思ったらそうも行かないらしい。自分の守備範囲ではないので、降圧剤を調整し専門医を紹介した。
 登校拒否は根が深く一筋縄では行かず一般化の難しい問題で、とても数百語で解説ができる問題ではない。
 ただどうしても自分が小学校生だった頃を思い出してしまう。五十五年前には考えられないことだ。単に自分が恵まれていただけだろうか。そうではないような気がする。恩師と呼べる人なくして、今があるとは思えない。時代による変容変遷はあるにせよ、学んで人が成長するのは決して変わることはないだろう。
 学ばない学べない子供達の存在は国の将来に関わる最重要課題であると多くの政治家は気付いているはずだが、例えに出して猿に申し訳ないが猿芝居から抜け出せない。勿論、猿政治家猿記者ばかりというわけではない、国民が辛くも真贋を見極めるのを願うばかりだ。
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