駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

馬鹿野郎と言われて

2009年01月17日 | 診療
 ほとんどの人は馬鹿野郎などと言われたのは遠い昔のことだろう。あるいはそんなことを言われたことのない方もおいでだろう。私は今でも時々、往診先で寝たきりのお爺さんやお婆さんに採血や注射をしようとして「なにする。馬鹿野郎」と怒鳴られている。怒鳴られるのは危険ではないが、手が出るのは大いに困る。さっと避けたり、家の人が押さえてくれたりして、パンチを受けるのは免れているものの、はっきり申し上げればやめて頂きたい。
 後期高齢者のパンチはおそらくさほどの威力はないだろうが、恐ろしいのは針刺し事故に繋がる恐れがあることだ。患者さんの中には本人にはさほど害はないが人に感染した場合重病を引き起こすウイルスを持っている人が居る(まさか後期高齢者にエイズはいないと思うが)。叩かれた拍子に患者の血の付いた針を自分や看護師に刺したら大変だ。だからパンチには細心の注意を払う。
 「馬鹿野郎」にもいろいろあるだろう。侮蔑や叱責から密かな思いに気付いてくれない人への哀切なつぶやきまで。しかし自分の名前も覚束ないあなたが、なぜ手を差し伸ばして診療しようとする私に「馬鹿野郎」などと言うのか。たとえ痴呆があったとしても、そんなことを言われると、それでは私はおいとまさせて頂きますと言いたくなる。
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2 コメント

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大変ですね、先生・・・ (晴薫)
2009-01-18 21:44:22
ご苦労様です。
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よけるのが上手くなりました (arz2bee)
2009-01-18 22:44:58
 ありがとうございます。
 爺さんばかりでなく、婆さんにも要注意です。噛みつこうとする人が居ますからね。
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