庭の雑草を抜くのは高齢女性の得意技というか半ば仕事のようで、嫁に家事一切を明け渡した八十代の女性がよく庭の草取りをしていますと報告される。身体を動かしてきた女性はじっとしていられないようで草むしりに精を出されるようだ。
よく雑草のように逞しくなどと言うが雑草は抜いても抜いても生えてきて中々手強い。尤も、雑草にしてみれば喩えられて嬉しいようでも雑草という草はありません、十把一絡げにしないで下さいと抗議しているかもしれない。しげしげと観察することもなく、申し訳ないが草の名前を知らない。名前を覚えると親しみを覚えて抜きにくくなるかもしれない。
私も時々、妻の十分の一程度であるが草をむしっている。十五分程で止めて家に入るとどこからか「ちゃんと手を洗って」と声が掛かる。