駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

本当のこと

2012年02月19日 | 町医者診言

     

 天皇陛下が冠動脈バイパス手術を受けられ、手術は無事終了した。手術ティームに招かれた順天堂大学の天野篤教授は慣れない環境でも存分に力を発揮されたものと推測される。

 なぜ天野教授が呼ばれたか不思議に思う方が居られると思う。それは単純な理由で冠動脈バイパス手術でプロが認める好成績を挙げているからだ。成る程と思われただろうか。

 技能には必ず力の差があり、合格点を超える多数の中に一握りの名人が居る。

 気を付けなければならないのは、いつも名人が最善というわけではなく、名人が力を発揮できる仕事を選んで名人に提供しなければ名人も凡打に終わるという点だ。好結果となればその影には好判断が潜んでいるのを忘れてはなるまい。

 町医者は危惧する。

 一人の人間が出来る仕事量は限られているので、我も我もと押しかけては、名人も危うくなる。それに名人というのは特定の仕事の名人であって、その他のことでは並以下のこともあるので、そっとしておくのが礼儀というか社会の智慧だ。人間は平等と言っても、何万人もの人が手術の無事を祈って記帳に訪れる方と、札束で道を開けようとする輩とは違うように思う。

 

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4 コメント

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Unknown (cake)
2012-02-19 10:21:27
手術が無事に成功したと聞いて、本当に良かったと思いました。皇后様も安堵していらっしゃいますでしょう。
天野教授の年間の手術数を聞いて、一日に2回以上こなさないと、この数にはならないのではと驚きました。ゴッドハンドと呼ぶのが正しいのでしょうが、私の脳裏に浮かんだ言葉は職人技でした。なかなか自分のテリトリーから抜け出せないでいます。ただ、この職人さんは人の命が係っている点で、責任は重いと感心するばかりです。
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Unknown (arz2bee)
2012-02-19 17:45:32
 職人芸なのかもしれません。外科医ではないので、正確な感覚は分かりませんが。
 並の神経でないのは確かでしょう。本物なんだと思います。
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手術事例  (柳居子)
2012-02-20 06:54:25
 同種の手術をどの位経験(手術実数)しているかは、大きな判断基準になるかも知れません。只 海外の同業から見た時 一桁違う経験者が執刀医の経歴・実績(手術件数)を見た時、首を傾げるでしょうね。外人に陛下の心臓を委ねるは、100パーセント有り得ないことです。
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どうでしょう (arz2bee)
2012-02-20 08:27:18
 日本人医師が欧米に比して手術技能が劣ることはないと思いますが、新しい手術手技の開発では、まだ一歩及ばないようです。スポーツの分野などでは海外で手術を受ける選手もいるようです。
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