駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

言葉を診る

2008年03月16日 | 診療
 駅前のせいか、周辺にはアパートが多い。数十年前までは農業が多い土地柄だったのだが、今は専業農家はほとんどなくなった。田畑がアパートに代わり、脇に残った狭い田畑をじいさんばあさんが細々と面倒見ている。アパートの住人には転勤族が多く、時々腹痛や風邪で受診される。見慣れない名字と言葉の違いで、土着の人でないのがわかる。診察の終わりにどこから来たのか、当てるのを楽しみにしている。県まで当てるのは難しいが、地方は7割方当てることができる。アクセント、なまり(発音)、地方特有の言葉がその手がかりだ。若い人は標準語に近い人が多くわかりにくいが、それでもなにげない語尾や単語で出身地がわかることがある。年配者にはもう越してきて30年、40年経っていても故郷の言葉が明確に残っている人がおられる。よく言われることだが、関西の人は自分のなまりをほとんど気にされない。東北の方は気にされる方が多く、当てても余りよい顔をされない。誰が聞いてもなまりがあるのがわかると思うのだが、ご自身はほとんどなまりがなくなったように思われており、怪訝な顔をされるから不思議だ。
 自分は特別音感にすぐれているわけでもないし、旅行も好きだが何処へ行っても一カ所に長く居るわけではないので、どうして地方の言葉に詳しくなったのかよくわからない。ただ、故郷を離れた所に落ち着いたせいか、土地柄には非常に興味あり、住んだことのない土地の話を聞くのが好きだ。でもまあ、あまり根掘り葉掘り聞くのは感じの良いものではないので、反応を見て、よくわかりましたねと乗ってくる人にその土地のことを聞かせてもらうようにしている。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 赤福問題 | トップ | 医療費の不思議 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

診療」カテゴリの最新記事