駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

日曜祭日には病気にならない方が

2018年02月16日 | 医療

   

 殆どの病院は日曜祭日は休診で当番病院だけが緊急患者に対応している。何時でも誰でもと謳っている徳洲会病院も、断らず診てはくれるがスタッフが揃っているわけではなく、休日体制の対応になるようだ。有体に言って祝祭日には病気にならない方が良い。とは言っても病気はいつ何時出てくるか分からないので、運不運と言えば語弊もあるだろうが、手薄な時に重病になるのは不運ということになる。 

 先日新年会でベテランの眼科医と話していたら、暮れの30日に網膜剥離になり正月明けに手術のできる眼科開業医の所へと言われた患者を診たんだが、ちょっと手遅れでねと嘆いておられた。言外に総合病院は緊急対応して欲しいというニュアンスを感じた。彼が修行時代には夜中でも出てきて手術をしたとのこと。ところが今じゃあ医者はともかく看護師をはじめとするスタッフが、時間外労働をしなくなってどうすることもできないらしい。

 彼によれば、AIが導入され、もうすぐ白内障や緑内障の手術を機械がやる時代が来るとのこと、手術がうまいと評判の彼が言うのだから間違いない。眼球というのは細かい測定が可能で0.4ミリとか微細な動きができる機械が上手く導入できるらしい。AIは何千何万のデータを蓄積しているから、ベテラン以上の判断ができ正確に動くので最高水準の手術ができるそうだ。

 それではこれから医者が余ることになりそうだと言うと、今でも十分足りているんですよ、地域と科に偏りがあるので足りないだけだと言う。大都市圏に医者が集中し、3Kの科が嫌われ、外科に進む医者は一桁ですよ、眼科皮膚科などは希望が多すぎて人数制限しているところもありますよと笑っていた。

 彼は私より三、四歳若く、この頃は副院長に仕事を回すようにしていると言う。そんな年配だから笑いながら話していられるが、働き方改革の言葉を躍らせる内閣の下でAIが出現するこれから、今を盛りの医師や研修医はどうなるのだろう。

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