この四、五日秋らしい好天が続いている。肌寒いのが心地よい。医院のごたごたも徐々に落ち着き、エンジンの回転がスムースになってきた。人間の組織も機械もうまく動いている時は静粛で音がしない。雑音は要注意のサインだ。時々ざわつく程度は問題ないというかやむを得ないが、摩擦や軋轢があると音がし始め効率が落ちる。雑音から振動が始まると、重症で故障が目前の徴候だ。
たかだか十人の組織でもトラブルはつきもので、何年かに一度雑音がし始める。今回は雑音から振動まで進行し大きなトラブルだったのだが、人間の組織の場合は相性が悪いと言うか主導権争いというかそうしたことが原因のことが多い。機械の場合は摩耗や金属疲労といった経年的なものから、螺子のゆるみ錆び、根源的な設計ミスまで色々あり、中には人間がらみのものもある。
人間の組織のトラブルも機械の故障も、直すことができることが殆どだが、経験があってもそう簡単ではない、まして未経験の事態だと難渋することになる。機械にはそうした力は乏しいようだが人間には自浄作用というものがあり、お互いの協力努力で回復することも多い。これはまさに人間の身体の中で起きていることで、マクロの人間がミクロの白血球やホルモンから学んだわけではないだろうが、トラブルに対し似たような動きをするのは面白い。