人間ドック学会が健康診断の基準値を発表した。これは人間ドックで健康と認められる人一万数千人のビッグデータを抽出して決めたもので、高血圧学会や動脈硬化学会のガイドラインとは決め方と意味合いが異なっている。
これは各人間ドック実施機関が適宜?決めてきた正常値を基準化したもので画期的なものなのだが、例によってマスコミが未消化のまま興味本位に取り上げたため、患者さんにもう血圧やコレステロールの薬は飲まなくてはいいんではないのと聞かれるようになった。
高血圧学会や動脈硬化学会のガイドラインは住民や患者さんを長期観察したデータや様々な実験データを参考にして、実臨床で有効に使えるように多数の専門家が討論して決めたもので、5-10年ごとに改訂されている。最新のものはその時点で最も有効妥当な値を示している。勿論、ガイドラインなので、個別により妥当な値に調節することは主治医の裁量に任せられている。
人間ドック学会の基準値がどのような意味を持ってくるかは今後の検討研究に委ねられており、学会のガイドラインと矛盾したり反駁するものではない。
健康の範囲はいつもその時の暫定最適な範囲で、今までもこれからも徐々に改善改訂されて行く、金科玉条のように振り回す物ではない。
日本人は誠実丁寧勤勉なせいか、どうも権威のように振る舞うものに従順になりやすい?。マスコミは興味本位の安易な報道をすることがしばしばあるので、鵜呑みにしないようにお願いしたい。
ガイドライン作成に全く周辺業界の影響がないとは言えないでしょう。やはり間接的に多少はあると思います。勿論、微かで、歪めるようなものではないはずです。