駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

絶えないニセ科学の存在

2020年02月11日 | 医療

  

 

 今月号の文藝春秋に医療を歪める「ニセ科学」という特集が載っている。文藝春秋は半世紀以上前から時々あるいはしばしば読んできた。幅広くバランスのとれた総合雑誌とし評価している。勿論、文藝春秋と雖も書いてあることがいつも間違いないとは言い切れないのだが、自分の専門領域のことはよく良くわかる。この特集を興味深く読んだのだが、内容に濃淡と多少の誇張はあるけれど本当のことが書いてある。

 なぜ科学的な根拠のない法外な高額自由診療が蔓延るのか、不思議な気もするがそこに人間の心模様が浮かんでいる。藁にもすがりたい自分だけはという人と自分の利益しか目に入らない人が居る限り、こうした怪しげな診療は無くならないだろう。

 私にも経験がある。三十年前、末期肺がんでこうした治療を受けていた患者さんが居られた。最初歩けていたが見る見る衰弱され杖歩行ついには車椅子で秘かに通われ、四ヶ月ほどで亡くなられたのだが、ご家族の話では行くたびに良くなった!?と言われていたそうだ。亡くなった時には貯金も尽きていたそうで、なんとも釈然としない気持ちがしたのを憶えている。

 どうしてと言われても、科学が全てではないのが人間世界で、我欲がある限り騙し騙される世界は続いてゆくだろう。

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