あられの日記

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小石川植物園その2

2009年11月23日 06時48分59秒 | 漫画の日々
小石川植物園の本館受付にやって来た。
スーハーと深呼吸。
前回、ここのパソコンのデーターベースに探している木が入力されていないのは確認済み。でもでも、何か手がかりだけでも~と、先行き暗い状況で質問せねばならないのよ。
私「あの~、所在の知りたい木があるんですが…」
と、これこれこういう木を探している旨主張する。
係員のおじさん「う~ん。棗の木ねえ。あったかなあ…」
パチパチとパソコンに向う。
案の定、出て来ない。
係員のおじさん「ないねえ。うちにある棗の木は分類標本園にある1本だけだよ」
私「いえ、あの木は探してる木じゃないんです。あれ、若い木ですよね。私の探してるのは、戦後すぐにここに移植されてるから、少なくとも50年前にここに入って来てます」
係員のおじさん「…50年前?」
ええ、それがネックなんです。
50年前に植えられた木ともなると、データー化されてないんですよ。
私「棗の木は中国原産なんで、それが集まってる区画を教えて下さい。後は自分で探しますから」
係員のおじさん「気の毒だけどねえ。昔はね、原産地や樹木の種類によって植える場所を決めて植栽してなかったんだよ」
私「ええっ!!」

そ、そんなあ~…。
最後の望みだったのに…。
係員のおじさん「もしかしたら、非公開の方にあるのか?そしたら、データーベースに出て来ないし…」
小石川植物園には、一般立ち入り禁止区域なあるのです。主に本館周辺と北側の温室とシダ園の周辺。それと分類標本園の南の斜面。
私「それはないと思います。運行寺の住職が以前訪れて見たっておっしゃってましたから…」
係員のおじさん「……もしかして、手入れしている職員さんに聞いたらわかるかも?」
!!本日始めての朗報です。
私「ほ、本当ですか!?」
係員のおじさん「彼等は日々この植物園を手入れしているからね」
私「ど、どどどこへいけばいいですか!」
係員のおじさん「いつもそのへんに…。あ、あそこ」
と、教えられたのは、剪定した木を荷台に積んだ軽トラックです。
私「ありがとうございました。尋ねてみます!」
いそいそと先を急ぐ。
私「すみませ~ん」
と、再びこれこれこういう云われのある棗の木を探している旨を説明し、植物園で見かけたことはないか尋ねる。
職員さんその1「棗の木?」
私「分類標本園に1本あります。こう小さい赤い実が今なってます。あれと同じ木があるハズなんですよ」
職員さんその1「う~ん。見た事ないなあ…。私まだここ浅いんだよねえ。古株の人なら知ってるかも?もう休憩時間だから、戻ってくるよ。ちょっと待っててね」
と、職員さんその1は古株の職員さんに尋ねるために控え室がある場所へ行ってしまいました。
うう、あんなに特徴的な木を覚えてないはずはない。
もしかして…。
もう、か、枯れてしまってるの?
嫌な考えが脳裏を霞める。
グルグルしていると、そのうち、古株の職員さんも戻って来た。
3度、これこれこういう云われのある棗の木を探してます。園内で見かけたことないですか?
古株の職員さん「棗の木ねえ~…」(沈黙)
うう…。やはり、や~は~り~、ないの??
古株の職員さん「ちょっと待ってて」
と、古株の職員さんは本館へ。そしてデーターベースに当る。
古株の職員さん「あ、B-5にサネブトナツメがあるけど」
私「それ、別の木です。あれって、吉宗の時代に入って来たやつですよね」
小石川植物園は8代将軍徳川吉宗の時代、小石川養生所が設置されてまして、植物園には旧養生所の井戸の跡があったり、青木昆陽が甘藷試作をしたりしたんですよ。
で、漢方として植えられたのがB-5にあるサネブトナツメでして、実物はこんな感じ。

一辺木は倒れてしまいましたが、頑張って生きています!って感じだよねつ
植えられた時はそんなことなかったのでしょうが、今や周囲は巨木に成長。お日様が充分に届いておらず、可哀想な感じです。
吉宗由来の木ですらこんな有様ですから、探している木がどんな状況で植えられているのか…。
確か住職は「周囲の木が立派で樹齢が50年以上経っていてもあまり大きくない」木だとおっしゃっていたような…。

結局、30分くらい粘って、結論は「うちに棗の木はない」しかし、「分類標本園にある木はだいたい園内で採取した種や挿し木で増やしたものだから、元々はあなたが探している木だったのかもしれない」とのことでした。
うう…。
色々予想していた中で、悪い予想が当ってしまいました…。
取りあえず、ひょっこりやって来た単なる客に30分も時間を割いて探していただいたお礼を言って本館を離れました。
がっくり…。
肩をかかとまで落とし、とぼとぼと向った先は分類標本園。

樹高約3.5メートル。
やっぱりこれは若木だ。とても樹齢50数年には見えない。第一、運行寺の住職が言っていた「日当りの悪い所に植えてある」に合致しない。…でも、もしかしたら、この樹は私が探している木の子どもかもしれないんだね…。
しばらく眺めてたらお腹が減って来た。そこで昼食に。
ええ、お昼はとっくに回ってますが、区切りが着くまで食べる気にもならなかったんですよ。
桜並木に並ぶベンチの一つに腰掛け、いつものパンとお茶で腹を満たす。
カアカアカアと、カラスがエサを奪い合って追いかけっこしている。
(ねえ、園内を自由に飛び回るアンタ達なら知ってるよね?棗の木を知らない?
赤くてね。梨とリンゴを足して2で割ったような味なんだよ。絶対知ってるよね。教えてくれたら、私のお昼ごはん全部あげてもいい…)
(知ってる?こういう実なんだけどね)

と、ドリームなことを考えてみたり…。

さて、小石川植物園にある有名な木を紹介しましょう。
撮影は2008年5月の訪問時。今回は落ち込みが激しくて、まともな写真がないの。
まずは●メンデルのぶどう

中学か高校の生物で一度は勉強したことがある。植物の優性遺伝。そこに登場するのがメンデル先生。
かのメンデル先生が実験に用いた由緒ある葡萄を分株したものです。
このぶどうは小石川植物園第2代園長の三好学教授が、大正2年(1913)にチェコスロバキアのブルーノにメンデルが在職したケーニギン修道院を訪ね、旧実験園に残っていたブドウの分譲を申し出、その翌年に送られて来たものです。
つまり、本物なんだね。
へえ~。
次。●ニュートンのリンゴ

ニュートンと言えば「万有引力の法則」です。
それはニュートン先生がりんごが木から落ちるところを見て発見したんですよ。
その木は接ぎ木され、世界の科学に関係ある施設に分譲されました。
小石川植物園にあるりんごは、その中のイギリスのものを日本の柴田雄次博士に贈られたものを接ぎ木したものです。
…木はいいよな。接ぎ木でどんどんコピー出来るから。偽物じゃないんだよ。だから「ニュートンのリンゴの木」は小石川植物園にもあります。
次。●明治29年に精子を発見したイチョウ
あれ?しゃ、写真はどこだ!写したと思ったのに…。な、な~い!
実はイチョウって植物学上では貴重な木なんだって。日本には大量にある普通の木なんですけどね。

それでもまだ諦め切れず、私はなんとなく気配を感じるC-5&C-6地点を中心に辺りをうろうろしてみる。
あるなら、この辺りの気がしきりとするんだ…。
手がかりがなにもないなら、勘に従ってもいいだろう?と、根拠なしで棗の木を探しまわったのですが、やはり簡単に発見出来るものではなく…。
ちっ!
今年も完敗だぜ。
と、敗北宣言をして帰宅すべく坂を下りました。

秋の夕暮れはつるべ落とし。
早く戻らないと、帰る頃には真っ暗な時間帯です。
でもススキは綺麗です。
へこたれた心を癒してくれます。



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