初詣はいつも国立市の谷保天満宮で、もう30数年以上欠かしたことがない。谷保天満宮の「谷保」の正しい読み方は、「やぼ」である。ところがJR(旧国鉄の時代であろうが)が、「谷保駅(やほえき)」と付けたことで、地名まで「やほ」になってしまった。
東日本最古の天満宮であり、亀戸天神社、湯島天満宮と合わせて関東三大天神と呼ばれる。菅原道真が太宰府に配流されたとき、子の道武も武蔵国多摩郡分倍庄に流されたことに遡るから、この天満宮の歴史は古い。
社宝の後宇多天皇の木造扁額と村上天皇奉献の狛犬一対が、国の重要文化財であるのも由緒正しい証拠である。
融通が利かないことを「野暮天」というが、谷保天満宮(通称:谷保天神)の神像から生まれた言葉である。駅名を付けた職員は、多分に天神様に学問のお参りもしなかった野暮な男であろう。
元旦の朝は快晴で、多摩川を渡る電車から、白い富士山がくっきりと見えた。天満宮の梅の花は、数輪しか咲いてなかった。これではおみくじの句に比べ、余りにさびしいので、寄せ植えのカンギク(寒菊)、ヤブコウジ(藪柑子)、シュンラン(春蘭)の応援を頼んだ。
『大吉』 桃桜(ももざくら) 花とりどりに 咲きいでて
風長閑(かぜのどか)なる 庭の面哉(おもかな)