私家版 宮城の野鳥フィールドノート since 1976

ミフウズラペア。サンセットを見に行き、19:19撮影。f7.1、ISO400、1/50。♂♀まったりで、手持ち撮影。

2012年1月3日(火)金華山

2012年01月03日 | 金華山・航路
■2012/1/3(火)11:10-13:46【天気】晴れ
【場所】荻浜・鮎川浜・金華山・航路
【種名】ウミウ,コクガン31(荻浜成幼計23・鮎川浜成鳥3・幼羽5計8),マガモ,カルガモ,ヒドリガモ,オナガガモ,キンクロハジロ,スズガモ,トビ,ノスリ,イソシギ,オオセグロカモメ,ワシカモメ,カモメ,ウミネコ,ハクセキレイ,モズ,カワラヒワ,マヒワ,シメ,ハシブトガラス(9科21種)
【メモ】正月の3日に金華山黄金山神社に参詣した。仙台を出発したのが9時30分で,これはいつもなら金華山に着いている時間だ。普通に行っても2時間は楽にかかるので,12時前に着けばいいと思い,三陸道を走った。コバルトラインは前回行った時に通行止めだったので,今回も石巻から浜沿いのルートを通った。復興が少しずつ進んでいる浜もあれば,前回来た時とほぼ同じ状態のところもある。荻浜を11時過ぎに通過した時,ふと海岸を見るとコクガンの群れがいたので,車をバックして停車し,羽数をカウントした。逆光だったのと先を急いでいたので,成鳥と幼羽はカウントしなかったが,あとで撮影した写真を見るとほとんど成鳥で,幼羽は23羽中10羽以下だった。大原浜や十八成浜は震災前はオオセグロカモメの大群がいたところだが,ほとんど数羽しかいない。この辺りの地区の民家や商店の様子は,もう30何年もこの道路を毎年通っているので,今でも思い出すことができるが,海岸沿いの道路は満潮時には今でも冠水するようで,建物は本当にみんななくなってしまった。鮎川浜を望む最後の峠付近には仮設住宅がある。坂を下って鮎川浜に到着したのは12時少し前だった。鮎川港自体1.5mほど沈下して,満潮時には七十七銀行あたりまで冠水するということだった。金華山も同様で,鮎川港にしても,金華山にしても現在は仮設の船着き場はあるが,金華山航路の2つの会社の定期船(ホエールとドリーム)は運行できない状態にある。代わりに小回りのきく海上タクシーが運行されており,定員12名で金華山への参拝客をピストン輸送している。また,1日から3日まで渡島による参拝が可能になったのは,多くのボランティアの方々やNPOの方々のご尽力によるのだが,その事情については,金華山黄金山神社のHPの東日本大震災ドキュメントに詳しく記載されているので,ぜひご一読願いたい。
 その後,船に乗って金華山に行った。船から見えた鳥はウミネコ,オオセグロカモメ,ウミウくらいだった。驚いたのは金華山が見えた時で,金華山灯台付近から山椒峠への登り口あたりまでの島の海岸部が樹木一本もない状態になっていた。地震,津波,台風15号で,ただでさえ環境が悪化している外洋側の惨状は相当なものと予想された。仮設の船着き場に到着し,バンで神社まで送ってもらう。神社への参道は台風15号の直撃により崖崩れで通れなくなっていたのを,神社のHPにあるように多くのボランティアの方々の作業によって通れるようになったものだ。本当に頭が下がる思いがした。表参道は台風15号の時に,沢のように水が流れ,めちゃめちゃになっている。この道はかつてはキクイタダキが多い場所だったし,芝生一帯はヤマガラ,シジュウカラ,アオゲラ,コゲラ他,様々な小鳥がいたが,今日見たのはハクセキレイ2羽とカワラヒワ10羽+,その群れに交じったマヒワ数羽と,シメの群れだけだった。神社に着くと,まず最初に本殿に石段を登って参拝した。奥の方に今年の干支の龍の彫刻が見えたが,今まで気にしなかったが,凄い迫力だ。その後,表参道を下るのは諦め,日当たりのよい裏参道を鳥を探しながら歩いたが,前述した鳥たちがいるだけだった。山頂を仰ぎ見てもノスリとハシボソガラス,トビが飛んでいるくらいで,オオワシやオジロワシの姿は見えなかった。参道を下り,桟橋に着くとたくさんのカモメ類がいたので,1羽1羽チェックしたが,その中に♀型オオセグロカモメの第1回冬羽がいたくらいだった。それより驚いたのは,いつも島の反対側に行くルートでホテル跡へ続く道だが,これがほとんど通れない状況だった。5月には来る予定だが,果たして大函崎,小函崎まで行けるか予想は不可能な状況だった。
 金華山と牡鹿半島先端の瀬戸(津波の時に海の底が見えたという)では,巡視船ほろべつが停泊していて,近くにゴムボートと小型船に海上保安庁の潜水士の方々が行方不明者を捜索していた。これにも本当に頭が下がる思いだった。帰りの航路は瀬戸は波が静かだったが,外洋に出ると風が強く,風が外洋側に吹いているので,波を乗り越えていくパターンだった。鮎川港に着くと,出発前に見つけていたコクガンを見に行った。すぐ近くにいて,海草をくわえてこちらを見ていた。成鳥が3羽と幼羽が5羽だった。帰りはまた荻浜でコクガンを観察し,最後に雲雀野でカンムリカイツブリの群れを例によって撮影し,仙台に帰ったのは5時過ぎだった。
 今日は,鳥を見に行ったと言うよりは,調査でお世話になっている方々に1年3ヶ月ぶりにお会いでき(震災後の6月に行った時にはお会いできなかったので),本当によかった。
【写真】
  
■荻浜のコクガン/くろしお号/金華山本殿の龍
  
■ホンシュウジカ。瞳孔がシバヤギ同様横スリット/裏参道芝生付近の古木/巡視船ほろべつ
  
■表参道/♀型オオセグロカモメ第1回冬羽
  
■オオセグロカモメ第1回冬羽。成鳥になるにつれ虹彩が明黄色に変化する。/コクガン成鳥2羽と幼羽1羽/コクガン成鳥1羽と幼羽3羽

■石巻雲雀野公園付近のカンムリカイツブリの群れ


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