脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症が回復してくると、もてなし方が変わる/佐藤玲子

2006年09月15日 | 正常から認知症への移り変わり

P1000046_4  「先日訪問しましたら、とても良くなっておられました。すばらしいご主人です!そして、マニュアルどおりというところに改めて感激です!」控えめな佐藤さんがうれしそうに電話をしてきました。
生活指導してきた方について、テスト結果や生活改善の内容についての確認を電話でしていたのですが、興味深い発見を佐藤さんがしていたのでその報告をします。
脳機能の改善につれて、もてなし方が変わっていったと話してくれたのです。
まず、経過を簡単に紹介しましょう。
最初は去年の秋。

かなひろいテスト:(11、0+3、不可)
MMS評価点:20点
30項目(夫評価):中ボケ
主訴:日付があいまい・冷蔵庫に賞味期限切れのものがたくさんある。本人は「安売りだとつい買ってしまう」という食事の後片付けをしない。本人は「あまり主人がうるさいから逃げるのよ」という。
「ウマイ!座布団一枚持ってきて!」ではありますが、こういう発言に保健師さんたちはだまされるんじゃありませんよ。

生活歴の確認をしたら、元来は地域のリーダーも務まるほどの活動的な生活を楽しんできたのに、まさに4年前ショッキングな出来事が起き、そのためイキイキとした生活ができなくなっていたということが判明。(A=B=C。マニュアルB参照)
実はこの確認ができたからこそ、生活指導が効を奏したのです。ここが生活指導の要です。
具体的になされた指導は、カレンダーの丸付け・夫婦二人で楽しく散歩・趣味の復活でした。

P1000035_1 3ヵ月後の再検査結果。

かなひろいテスト:(19、2+6、不可)
MMS評価点:20点
30項目(夫評価):小ボケ、⑪⑭

夫の発言「もともとやっていた趣味は喜ばないが、ふと歌を口ずさみ出したのでカラオケを購入し楽しんでやっている。表情が出てきた」
生活指導は、カラオケは効果的なので継続。
さらに脳活性化ゲームの紹介をしたそうです。

P1000026 さらに6ヵ月後の検査結果。

かなひろいテスト:(15、1+12、可)
MMS評価点:27点
30項目(夫評価):小ボケ、⑭

夫の発言「以前のようにわからん状態じゃないよ」
佐藤さんが受けた印象も、表情がよく、反応もよく「もてなし方も今までとは違っていた」というのです。さてここからが今日の話題です。

もてなし方の変遷

1回目:砂糖たっぷりミルクの入ったコーヒー(本来ならば、ドリップ式のコーヒーが出てくるような人だけに違和感があった)
2回目:マグカップに番茶
3回目:コーヒーに砂糖とミルクが添えられていた
4回目:ブドウのシャーベット。器にも気が配られていて、佐藤さんは「ウワー、おしゃれ!」と感動したそうですが、夫がTVでブドウのシャーベットの作り方を見て話したら、後は自分で作り、もてなしてくれたのだそうです。

小ボケ人のうちを訪問すると、予告していたにもかかわらず台所からなかなか出てきません。
「お茶はいいですからこちらにいらっしゃってください」といってもしばらく待たされて、ようやくお茶が出てきます。が、「あれだけの時間をかけて!」とびっくりさせられるのが落ちです。

ぬるいお茶
大きなお皿にほんの少しのお菓子orその逆
お菓子と漬物がひとつのお皿に
切られた羊羹の厚みが、薄すぎor厚すぎor混在
あまりにも配慮のない食器etc

日常生活をうまくこなしていく際にも、いかに前頭葉がその本領を発揮しているかわかりますね。
テスト結果という客観的なものさしと、自分の目や耳で実感したこと(今回はもてなし方。他にも洋服の着方。部屋の片づけ方。家族の説明。ニュースの説明などさまざまな観点が考えられます)をつき合わせていくと、脳機能と生活実態が実に並行していることが早く納得されるはずです。

ところで、今日の写真はディズニーランドのパレードです。実はディズニーランドとディズニーシーに行きました。二日連続9:00~22:00楽しんだら、風邪を引いてしまいました。年ですね・・・