恒例の小布施町へ。
今年は、まず都住地区の10周年記念のお茶会にお邪魔しました。ここのところ伺うたびに毎回、どこかの地区の教室の10周年!よく継続してきたものだと感慨深いものがあります。
持ち寄りの、お漬物のオンパレード。はなまめ、むかご煮。
特筆すべきはシフォンケーキ。都住地区コミュニティセンターの相談員をされているK田さんの手作り。
小布施町の認知症予防教室、脳のリフレッシュ教室は地区それぞれの特徴があります。それは教室を支えたり、引っ張ったりする人材が多様だということです。
集まっている高齢者の中から、ごく自然にリーダーの役割を担う人がいたり、地区の婦人会がとてもよく協力してくださったり、ここ都住地区のようにコミュニティセンターの相談員の方が心配りをしながら教室がスムーズにいくように動いてくださるところもあります。
(まず写真を見てください。写真の下に説明を書いています)
私はこの紫色のセーターを着たおしゃれな方の左隣に座りました。
するとすぐ「私、88になるの!」
そこで 私もすぐに「お若い!ということは生きがいとしてやっていることがあるでしょう。何ですか」と返します。
会話はボールのようにはずみます。
「あのね、4人家族の食事をまだ私が作ってるの。腰が痛いんだけどね。まあ一緒に住んでるのが娘だから、すぐに口げんかもするけど、おいしい時にはおいしいって言ってくれるから、やりがいはあるわねえ。脳にいいことしてるってことよね」
左の方は、教室最高齢91歳。居合わせた皆さんが自慢そうに「91歳なんだから、すごいでしょ」と。
ご本人の声も飛んできます。
「私も、料理作ってるよ。そうすると、テレビを見てたり何か読んだりするときに『 これなら作れる!』って見つけて、作ってやるの。それって楽しみ」
そこで私。「『珍しいでしょ!おいしいでしょ!』って威張りながらね。そうでしょう?」
笑顔で肯いてくださいます。
ハキハキした声で「自転車でね、先生の講演会には行くんだよ。去年は横町だったでしょ」そう、当りです。当たりですが、91歳で自転車を乗り回しているなんて!
「気を付けてくださいよ。気持ちに体が付いて行かないことがあるといけないから」とつい過保護な発言をしてしまいました。
右の方は1歳年下とか。このお二人は家が隣同士で、毎日会っておしゃべりしてるそうなのです。
ご当人たちはもちろん、ここにいる全員が「だから二人ともこんなに元気なんだ」と自信を持っているのが伝わってきて、楽しいやら、うれしいやら。
その通りです。楽しくイキイキと生きるときに、一人は無理、友達がある人は幸いです。
最高齢91歳の方とお隣同士の、左真ん中の方が「嫁に行って大家族だったもんで、3升のご飯を炊くようになったときは 重くて持ち上がらなかった」といえば、すぐに声が続きます。
「何かの時には、頼りにしてるから。ほんとにたくさんのお米を炊くのが上手なもんだからね」
「おかげさまで、たくさんのお米の炊き方を教えてもらったの、娘さん経由でね。子どもたちのキャンプでどれだけ助かったか」これは包括支援センターから来たスタッフの発言です。
こういう話が飛び交う時、みんなの顔が笑顔になります。同じ時代を生き、苦労も喜びも実感しあえるからですね。
認知症が進んだ人たちに「回想法」を使うことがありますが、この教室での会話は本質的に違います。「昔」の話をしていても「今」を生きているからです。たとえ90歳の声を間近に聞こうとも、脳は現役で働いていますから。
右真ん中の紺色セーターの方は腰が痛いそうですが…なんといい笑顔でしょう。
病気をしたり、家業を息子さんに譲ったりが重なって、ほとんど何もしない生活が続いていたらしいのですが、お友達に誘われてこの教室に参加し始めたら、「楽しくて」。今はもう一つ別の脳のリフレッシュ教室にも参加していると!
よかったですね。脳が喜んでいますよ。
この真ん中の手編み風(確認したら「手編みにみえるでしょ!でも手編みじゃないの」と笑われました)グレーのカーディガンの方は、おいしいおやつを作ってきてくださいました。最初の写真の左真ん中の揚げ物ですが、何と干し柿の皮のかき揚げ。
「どうやって戻すのですか」と尋ねたら
「お湯で洗うとそれだけで大丈夫。どうせ揚げるから」
皆さん口々に「柿の皮は お漬物には入れるけどね・・・」とか「この食べ方、知ってる。でも懐かしいわあ」とかおしゃべりしながら、ちゃんといただきます。
結局、皆さんでお皿いっぱいをいただいてしまいましたよ。作り甲斐があるというものです。
私に対面して座られた皆さん。
真ん中の方が、一番の新人。
「どうですか?楽しいでしょ?」と尋ねたら破顔一笑。答えはいりませんね。
右の方。このやさしそうな笑顔が印象的です。なんだか都住の方たちは穏やかなやさしさにあふれていました。
「自分一人が元気ならいい」ではなくて「みんなで手を取り合って、脳も体も元気でいようね」という気持が伝わってくるようでした。
一枚前の写真は元気がなさそうでしょう?でもこのアップの写真はどうですか?花丸、キラキラです。
K田相談員が「おひとりでいて、楽しくなさそう」だったので教室に誘ってくださったんですって。
小布施では各地区に「脳のリフレッシュ教室」が立ち上がってるので、参加されている皆さんは脳を元気に保っていくことができていらっしゃいます。
「家にこもっている人に『この教室は楽しくて、脳の健康を守ることができるから遊びに来てごらんなさい』と誘うのは皆さん方のこれからの務めです」とお話ししましたが、多分わかっていただいたと思います。
ただ、実行ができるかどうか???
そういう時に、相談員さんでも民生委員さんでも、「元気な人を元気なままに」という脳のリフレッシュ教室の意味をよく知ってもらって、地区の教室を勧めることができるような町になるといいですね。
余りにもおしゃれなベストでしたから「お手製ですか?」と聞いてみました。
当たり前のように、肯いてくれましたから「教えてあげたら・・・」というと、「もちろん」と即答。
今までにいろいろな作品を皆さんと作られたそうです。このように一芸に秀でた人がいると、ごく自然に教えあうことができるものです。
次のステップとしたら、教室間での教えあいにつながるといいですね。もちろん遊びあいでもいいのですよ。
楽しいひと時はあっという間に過ぎていきました。