高校同期の書家、幕田魁心さんが、フランス政府から勲3等の叙勲を受けその記念展覧会をフランスで開きます。
そのお知らせの手紙がすてきでした。この頃活字体のお知らせばかりを読んでますから、目に新鮮。
パリ日本文化会館(11/2~11/12)
アトリエ ヴィスコンティ(11/15~12/10)
パリにお友達やお知り合いがいらっしゃる方はお知らせしてあげてください。
お手紙にある「和楽器に合わせて書を書く」というのは、おもしろい試みです。以前琴、笛、和太鼓、フルート、ピアノなどを流しながら「響」を、字体をみごとに変えて表現するビデオを見たことがあります。音のイメージと字体のイメージがシンクロするのです。パリの人の感性はどう反応するでしょうね?
Kaishin Gallery フェイスブックのサイトですが、ここに「響」パフォーマンスがあります。作品や、制作過程などもたくさんありますから、見られる方は是非お目通しを!
2~3日前、同じ勲章を北野武監督も受賞という新聞記事が、かなり大きく報道されていました。北野監督は勲4等でしたけど(笑)
ここ訂正します!北野武監督に授与されたのはレジオン・ドヌール勲章。幕田さんへはフランス社会功労奨励勲章でした。申し訳ありません。
書家は、誰かに師事したうえ展覧会に応募しては自分の立場を作り上げていくものだそうです。
幕田さんは大学卒業以来、孤高の立場で自分の書風を確立することに心血を注いできたと聞きました。その姿勢が実って、今回のフランス政府からの叙勲につながったのでしょうし、去年はアメリカでの展覧会も実現しました。
今年の夏には、中尊寺に作品を奉納しました。 中尊寺ともなると作品を受領するか否かは会議で検討されるそうですが、めでたく奉納できることになりその法要が行われました。
ご本尊の前の、中尊寺山田俊文管首さまと幕田さん
夏草や 兵どもが 夢の跡
春雨の 降りのこしてや 光堂
幕田さんは「荘厳な式で感動しました」といっていました。このみずみずしい感性が縦横無尽な作品や繊細優美な作品に昇華していくのでしょうね。
「書」は単に「字を書く」のではなく、白地に黒という素材を使って、「字=意味」をもちろん伝えますが 、それ以上に大切なことは、「濃さ、カスレを含めて、どういう造形、バランス」を表現することではないかと思います。
「字を書く」ことから左脳との関連が強いと思われがちでしょうが、作品としての「書」 は、まさに右脳の領域を羽ばたいています。
一番最初に掲載したお手紙。幕田さんにかかると、実用に徹してよいはずの手紙でさえ、どこか美的です(笑)