東京御茶ノ水で臨床心理士の研修会がありました。
(今日の写真は3/27の庭の様子。ベンバナトキワマンサク開花)
テーマは「高次脳機能障害を神経心理学的に理解する」というもので、これは結構珍しいことなのです。
「心理」は「心」をあつかうもので、「脳の働き(の結果)」という考え方には、なかなかお目にかかることがありませんでした。
「話せない」状況があるとしたら
1.「話せない」か「話したくない」状況があるので、心理的に「話さない」。
2.「声帯に問題が生じた」のように、発語するためのからだの器官が機能できない。
3.「2」が起きる原因が、「脳」にある。
(友人Y子さんから頂いた野菜苗寄せ植え)
最低でも上記3点は考えないといけないはずです。そして緊急性やよりベーシックなことに配慮すれば、むしろ3→2→1の順の対応が必要だと思いませんか。
従来は、1が心理の対応すべきこととされてきました。そしてもちろん今後もその必要性は変わりはしないと思います。
(ペチコート水仙を下から。アレッw)
ただ、私はこの流れに強く違和感を覚えてきました。その理由は、担当した仕事が、病気やけがで脳に損傷が起きた人達の脳の機能(神経心理機能)を調べるというものだったからでしょう。脳が壊れてしまったときには、その機能はどのような心理的援助をしても戻ることはありません。
そこの場所そのものではなく、近くが助っ人のように働き始めることはありますが。
(夏アジサイがこんなに大きく、少し水色っぽくなってます)
講師の中島先生が何度も何度も「このようなことをするのは…そう心理でしょう!」というフレーズを繰り返されたのがとても印象的でした。
このようなことというのは、心理テストをすること。その結果を読み取ること。置かれている状況を理解して、適切な援助をすること。患者さんの訴えに耳を傾けること。適切な励ましをすること
etc.
(キバナイカリソウがひっそりと)
大脳皮質の左半球や右半球の話よりも、脳幹や辺縁系の説明の方に重きを置かれたのは、基礎的な勉強という意味だったのでしょう。
感情や情動などを重視しがちになることは、従来の心理の手法と関連付けるには必要なことかもしれませんが、本当の認知能力まで説明されたら、脳機能に目を開かれることになるのではないでしょうか?
もう少し損傷された症例を左右に分けて解説していただけたらと思いました。その方が「脳機能」ということがもっとわかると思います。今回の研修会では、二度の落馬を超えて現役復帰した常石騎手のDVDを見せていただきましたが、右脳障害後遺症が今ひとつわかりにくかったと思います。
勉強しながら、私は脳機能を測った多くの患者さんたちのことを思い出していました。
(シャクナゲがもう咲いていました)
と、言うのは「左視野欠損と左空間失認」についての質問が質問タイムの時にでたからです。
「左視野欠損」は、「左の視野が見えない」という後遺症です。視野が狭まっているのですから、欠けている方に目を動かしてみると、今まで見えなかった場所は見え、その更に先の左方が見えなくなってるのです。
「左空間失認」は「左空間が認識されない」という右脳障害後遺症です。目を動かしても、左空間は常に認識されません。
「脳機能検査から右脳障害を知ってあげる」を見てください。
こういう後遺症が起きたら、例えば本を読む時にはページの左端に定規を当てて、そこを触ることを必ずやると指導します。それで脳機能は改善されなくても、日常生活に問題がなくなればいいのです。
こういう考え方が必要です。
手足のマヒでも同じ。リハビリをやっても後遺症が残ったらそこを補う工夫や装具や機器を使って、日常生活をできるだけスムーズにやっていけるようにしていくことになります。
(ランも戸外でけなげに)
その時、最も気を付けなくてはいけないのは脳の司令塔である前頭葉機能には問題は起きていないかどうかです。
前半部・後半部という分け方をし、刺激が入るのは後半部のみ、前半部が後半部に指示を送るという説明がありました。にもかかわらず、前頭葉機能を最高次機能と位置付けていないような気がしました。世の中全体の理解が進むのはもう少し時間がかかりそうです。
(貝母)
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