脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

ボケ始めた人が旅の企画をする…

2014年05月20日 | 正常から認知症への移り変わり

夫から質問がありました。
「小ボケの人が、旅行の企画をしたらどういうことになるかなあ」

私の思考パターンは、だいたいいつも具体的なイメージが先行するのです。右脳優位ですね。
「ウーン。小ボケの人が、旅行の計画?」まったく、何も思いつきません。

P1000015 そこで、左脳の出番
理屈で攻めてみるわけです。

小ボケというのは、認知症の初期状態。

最近、世の中では「認知症の始まりは」とか「認知症の早期発見」などのことばが、飛び交うようになってきました。
いろいろ読んだり聞いたりしてみても、納得できる説明に出会うことがありません。

エイジングライフ研究所では、とてもシンプルな説明をしています。

脳機能のうち、脳の司令塔とも表現される前頭葉機能は、年齢とともに能力低下を起こしていくのですが(正常老化)、何らかのきっかけで、生きがいも、趣味も、交友も運動さえもしないナイナイ尽くしの生活になったら、その前頭葉機能の老化が加速されるのです(廃用性の機能低下)。
ここから認知症は始まっていきます。P1000012

それから数年かけて、読む。書く。模写するなどのいわゆる認知機能までもが徐々に機能しなくなっていき、それにつれて生活上にも問題が生じてきます。

つまり、認知症の初期状態は前頭葉機能がうまく働いていない状態と考えたらいいのです。

認知症の初期状態を知るためには、前頭葉は、どのような働きをしているのか知ることが必須ということですね。
先ほど、前頭葉機能を「脳の司令塔」と表現しました。

Photo_31 エイジングライフ研究所は、生きていくときにどのように脳を使っているかを理解してもらうために、3頭立ての馬車の例を挙げます。

前頭葉は、まさに御者役なのです。

まずことを起こすための意欲から始まり、状況を判断し、何をするか決断します。
それから、行動を起こし、注意を集中したり分配したりしながら継続していきます。

状況の変化に応じて、行動も調整し、抑制をかけることもあります。

前頭葉は、それまでの人生体験を基にした評価の脳でもありますから、その時々の決定はまさに十人十色。その人らしさの源は前頭葉にあります。

P1000013質問の答えです。

「小ボケの人は、旅行の計画なんか立てません。(だからイメージが全くわかなかった・・・)
何しろ意欲がなくなるので、慣れている日常生活ですらあれこれ面倒になって何もしなくなります。まして、結構煩雑な旅行の計画に取り掛かれるはずがないのです。

目的地を設定して、交通手段、宿、食事、休憩、見どころとか体験のチェック。
費用も、天候も大切な検討項目ですね。

参加者の希望や事情も考慮しなくてはいけません。

4月の右脳訓練ー小旅行1~3 を再読してみました。非日常である旅には、前頭葉は不可欠ということが、改めてよくわかります。
だから、小ボケの人には旅行計画は立てられないのです。


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