先日行った、窯変鉄耀(天目)作品の焼成、
窯の温度も50度くらいに下がり、窯開きを行った。
祈りこめ、天高く魂が届くようにとデザインした、蓋付き壷、
空に輝く星々のように、きれいな結晶が全面に出ていることを願いながら、
恐る恐る窯の扉を開けた。
丁寧に、そ~っと一つ一つ窯から取り出し検品。
祈りこめた蓋付き壷、すべて上出来の焼き上がり。
これ等の作品がうまく焼きあがっていれば今回の窯焚きは成功。
他に、大壷、小壷、これ等も6割から7割の出来で焼きあがった。
中には結晶が出ていなかったり、釉薬が溶けすぎて垂れてしまったり。
窯変鉄耀、別名天目、やはり難しい。 一つとして同じものが焼けない。
それが魅力で焼き続けているが、望み通りの焼き上がりになっている作品をなで、
その姿に一瞬の幸せを感じた。 そう、ほんの一瞬だけ。
次はさらに良いものをと、準備開始。
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白磁釉薬 |
透き通った美しい水色の青磁、そして氷河の氷を思わせる、私独自の白磁、
その釉薬がけの準備に取り掛かった。 今回は日常使っていただく作品達。
私の白磁は真っ白ではない。心もち水色がかっている。
そのほうが真っ白より品が良く、美しい白色に見える。
青磁と同じく、釉薬を厚くかけて白色を発色させている。
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角小鉢 |
釉薬を厚く掛けるのは至難のわざ、
いかに釉薬を厚く掛けるかと、何度も何度も試行錯誤し、
現在は何とか厚くかけることが出来るようになったが、
毎回毎回その度合いに難儀しているのが現実。
青磁、白磁も厚くかけなければ美しい発色となって焼きあがらない。
水が深くなるごとに色が濃くなっていく、その原理である。
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素焼きと 釉がけ後 |
何の道具も釉薬の濃さを測る機材も持たぬ私、
いつの間にか身についた「 感 」で釉薬がけを行っているが、
何十年も行っていても、どういう訳か完璧な仕事は出来ない。
同じようにしているはずなのに、焼き上がりを見れば未熟さが露呈してしまう。
先日焼いた窯変鉄耀作品にも同じことがいえる。 慎重に行ったはずなのに、
6~7割の焼き上がりとなっている。 もちろん窯の火の回り方も関連するが、
それもこれも私の計算が完璧でない証拠である。
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貴船菊 |
小鉢、平皿、煎茶碗、マグカップ、などの釉薬がけが終了したのは日曜夕方。
ほっと一息つき、まだ明るい庭先に出てみた。
となりの空き地には秋明菊(貴船菊)が満開。 風が止んで楚々とした姿が美しい。
以前この花をデザイン化して作品として発表したことがあるが、
何となく、もう一度描いてみたくなった。
その内、何とかしよう。
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窯詰め |
さて、いよいよ窯詰め開始。
炎が全体に回るよう、バランスを考えて作品を詰めていった。
窯詰め作業を終えたのは昨日の日曜午後6時半頃。
徹夜の窯焚きを行うため、早速窯に火を入れた。
風も無く、静かな夜、空には星々がキラキラと輝いていた。
次の窯焚きの準備を進めながら、徹夜で作業を行った。
徹夜作業で眠くなる時間帯は午前3~4時ころ。
眠くなるたび、外に出て空を眺めたり、
煙突の様子を確かめたり。
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15日、月曜日 午後8時過ぎ 本窯(高温)焼成 |
いま焼いているのは、分厚く釉薬を掛けた青磁と白磁。
ゆっくりと温度を上げていき、ようやく1200度を越えた。
ただいまは月曜午後8時過ぎ、あと数時間で目的の温度に達成する。
窯の火をとめる少し前には、窯の中の雰囲気を確認をしなくてはならない。
今回の窯焚きも良い出来であることを願いながら、気を抜かずに窯を焚こう。