私が作っている陶芸作品、その種類によって温度がすべて異なる。
今回焼き上げた青磁、白磁作品、1300度に近い温度で焼き上げている。
前回焼き上げた窯変鉄耀作品(天目の一種)は、さらに温度が高い。
温度が高くなればなるほど、管理が難しく重要になってくる。
5~10度、または3~5分の差で作品の出来がガラッと違ってくる。
わずかの温度と、あっという間の数分間、その瞬間の間に釉薬が動くのである。
窯の火を止めるのに、何度も窯の中を覗き込んだり色味を出して確かめたり。
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大モミジ マンゲツ |
先日窯焚きを行った作品、
どのような焼き上がりかと心配しつつ、居間のカーテンを開けてみた。
窓辺の大モミジ、マンゲツも赤みを帯びてきて、朝日を受けて美しい。
しばし見惚れていたが、窯の事が心配になってきた。
いつものことながら、窯開けをするときは本当にドキドキする。
たのむから、お願いだから、と心に祈りをこめて窯を開ける。
まだ熱くて素手で持てないので、軍手をはめて作品を一つ取り出してみた。
ああ良かった、青磁の色がとても美しく、希望の発色をしていた。
冷め割れすると困るので、とりあえず扉を閉め、次の作業を始めた。
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窯開け |
そして今日、50度まで温度が下がったので扉を全開にした。
下段、中段、上段と、作品を一つずつ取り出してみた。
何とか希望の色合いに焼きあがっていた。
まだすべてを取り出していないが、
あすは作品の検品を行わなくてはならない。
その後、すぐに窯焚きの準備を行う予定でいる。
それにしても何故にこんなにドキドキするのか、
完璧に準備をして窯焚きを行っているのに、焼き上がりの率が極めて低い。
出来るなら全部の作品が合格点であればと願っているが、
私の作っている作品にそれを望むのは無理というもの。
そのような思いで窯焚きをし、ハラハラ、ドキドキして窯の扉を開ける瞬間、
そして最初に飛び込んでくる作品の焼き上がりと色合いに一喜一憂している。
あす取り出す青磁、白磁作品、何とか6、7割の成功率であってほしいと願っている。
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うろこ雲 |
作業の手を止めて外に出てみた。 我が家の上空には「 うろこ雲 」。
こんなにも立派なうろこ雲を見るのは久しぶりの気がした。
モクモクと、とても立体感のある、うろこ雲。
我が家の周りや、その近辺は農地が広がっている。
随分前より、赤とんぼの姿が見えなくなってしまった。
農薬散布の影響と思うが、小さな命が消えてしまう現実、
その内に我々の体にも何らかの影響が出るかと心配をしている。
けれど、はるか上空の雲は秋の風情。
うろこ雲も以前ほど頻繁に見られなくなってしまった。
せめてもう一度、赤トンボの飛び交う環境に戻って欲しいと願いながら、
首が痛くなるほど、うろこ雲を眺めていた。