創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

湯のみ作り

2013年02月20日 | 日記

まだ作る時間があると思い、「 湯のみ 」の制作に入った。
この湯飲みは貫入=ヒビ入りの湯のみである。

まず、私独自の土の調合から行った。
希望する細かい貫入を表現する為、山から採取した粘土等を正確に計量。
それを均一に混ぜる為に、たたき揉みを行った。

冷え切った工房の中、粘土を揉むと次第に体がポカポカしてくるので、
あえて暖房は入れなかった。

4キロを調合した青磁用粘土、全部で四つの塊だから16キロ。
ちょっときついかな?と思ったが、やり始めたら最期までやり通すのが私の信条。
一つ目は無理なく揉むことが出来たが、二つ目には息が弾んできた。

Photo

   たたき揉み


オイオイ、まだ一つの塊しか揉んでいないぞ、と自身に言い聞かせ、
二つ目に取り掛かった。

暖房をつけていないのに、体から汗が噴き出してきた。
このたたき揉み、ただ粘土を均一にするだけではなく、
揉むと同時に、空気を抜かなくてはならない。

同一方向に100回あまり揉み、
たて横を変えて100回。 たてよこ、縦横と400回くらい揉む必要がある。
これでほぼ完全に空気も抜け、調合した粘土も均一になったはず。
ふ~っと、おお息をついた。

Photo_2

   菊揉み


たたき揉みで完璧だと思うが、万全を期して菊揉みも行った。
このとき気を抜くと、せっかく揉んだ粘土の中に空気が混ざってしまう。
息を殺して一気に50回揉んだ。

もち手を変えて、反対側からも50回、これで完了。
ようやくロクロに粘土を載せることが出来る。
ああ、土練機が使えればなぁ・・・と。

Photo_3

   湯のみ


私の作る日常作品、その殆どが大きい作品ばかり。
我が家や、個展に来てくださる女性の方々からは手に入るような大きさを、との事で、
手に持った感じが違和感なく、てのひらにスッポリと収まる大きさの湯のみを作った。

小さいばかりが良いとは限らず、男性の方々にも使っていただきたく、
同じ形の、一回り半大き目の湯のみも作った。

Photo_4

   湯のみ


いつもの癖で、作り始めるまでに時間が掛かってしまう。
まずデザインをどうするか、削った後の処理をどうするかを考えている内、
時間だけが私を置き去りにしてサッサと過ぎ去ってしまう。

これではイカン、とデザインを決め粘土を揉んで湯のみを作り始めた。
作業に取り掛かると慣れたもので、体が勝手に動いてしまう。
これも若い頃、時間も忘れ必死になって修業したお陰、と思っている。

よく質問されるお言葉、
「 一つの作品が生まれるまでに、どれくらいの時間がかかりますか?」。
「 数十年と数時間くらいでしょうか。」。 「 ??? 」 
「 デザインを考えるのに物凄いエネルギーが必要で、作り始めると早いのです。」。

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   トラちゃん


しばらく雪も降らなく、トラちゃんが工房のドアの所に来てはニャ~ン、ニャ~ンと。
「 中に入るのか?・・・・ん、どうしたいんだい?」と聞いても、ただ甘えるだけ。

雪が降っていないとはいえ、北風が吹き渡って寒い、
「 一体どうしたいんだい、抱っこするか?」と手を伸ばすと体をかわすトラ。

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   玄関で


仕方ないなあ、「 じゃあ、おやつを上げるからおいで、」と家に向かうとついて来た。
玄関の中まで入ってきたトラ、でもそれ以上決して家の中には入ってこない。
おやつを与えるまでニャ~ン、ニャ~ンと呼んでいるトラ。

「 さあさあ、おやつを食べなさい 」とニャンコのおやつを与えた。
喜んで食べているトラ、背中をなでながら、「 こんなに太ってしまって!」と私。
心配をよそに、美味しそうにゴロゴロ言って食べているトラ。
「 さ、また湯のみ作りをするよ、」と、トラの横をすり抜けて工房に入った。


コメント
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