オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

ボリショイバレエ公演「白鳥の湖」

2014年12月02日 08時14分20秒 | バレエ


先週11月28日の金曜日、大阪フェスティバルホールへボリショイバレエの公演を見に行きました。
バレエの公演を見るのは、指を折って数えてみると、約10年振り。10年も間隔が空いたのはアイスショーが忙しかったからかな?
あの時はマリインスキー・バレエの「白鳥の湖」の公演だった。
さて出発前に一昨年の全日本選手権・女子シングルのフリーから浅田真央さんと本郷理華さんの「白鳥の湖」の演技の録画を見て自分自身の気持ちを高揚させて出発する。
意気揚々と大阪に到着して大失敗。地下鉄の淀屋橋駅の出口を間違ってしまい、方角の感覚がなくなり大阪フェスティバルホールの場所が分からない状態になり右往左往する。何度か脚を運んだホールなのに、こんなことは初めて。どうも逆方向に出てしまったようだ。
やっとこさ大汗をかきながら会場へ到着。一息入れるためラウンジで飲んだコーヒーが本当に美味しかった。
昨年春、新装となった大阪フェスティバルホール。赤じゅうたんが本当に眩しい。そして落ち着きの中にも何か高級感があり、こんな素晴らしい会場でコンサートなどを聴ける都会のファンがうらやましい。地方は本当に、つまらん。

さて今回の公演の最大の目的は現在、ボリショイバレエのプリンシパルダンサであるスヴェトラーナ・ザハロワを初めて見ること。
私はザハロワがミラノ・スカラ座で演じた「白鳥の湖」の公演のDVDを持っていますが、神々しいほどの美しさで、今回、実際のステージを見ることができるのを楽しみにしていました。
久しぶりのバレエの舞台、本当に美しかった。
第1幕から第2幕、そして第3幕から第4幕への宮殿から湖へのほとりへの舞台転換が素晴らしさ。照明だけでステージを変えてしまう見事さ。まさにボリショイ劇場の底力であろう。
また第2幕、ステージの奥から白鳥たちの群集が現れた時の息を飲むような美しさ!
これこそ劇場空間の持つ劇場芸術の醍醐味でしょう。
そして遂に見た実際のステージでの スヴェトラーナ・ザハロワ。
さらに美しかった!
とにかく「美しかった」としか言葉が見つからない。
何か荒川静香さんと通じるものを感じました。
ちょっとした手の動きからも繊細な感情が伝わってきて本当に素晴らしかった。
一番、楽しみにしていたのが第3幕でのオディール(ブラックスワン)の演技。
「白鳥の湖」で私が一番大好きなところは王子とオディールによって踊られる「黒鳥のパ・ド・ドゥ」と「コーダ」(浅田真央さんのプログラムの後半の部分)。
これをスヴェトラーナ・ザハロワで見ることが出来た!まさに至福の時でした。

ただ今回の公演で一点だけ疑問に感じたこと。
第四幕のエンディング。
曲のつながりを変更していた。全てのことは王子の夢だったと伝えるためだと思いますが、やはり聴きなれた音楽でのエンディングでなかったので何か最後になって自分自身の気持ちが乗らなかった。
エンディングに関しては、いろいろな解釈がありますが、音楽は、そのままにして欲しかったというのが私の率直な気持ちである。

帰りは強行軍。
21時10分過ぎにカーテンコールが途中ですが未練を残しながらホールを飛び出て大阪駅まで走る。そして新大阪まで出て、21時45分発の新幹線に飛び乗るという忙しさ。
本当は、もっと余韻を楽しみたかった。やはり一泊したかったのだが仕事の関係で無理であろう。
ホールで買ったパンフレットを見ると来年の11月末はマリインスキーバレエが来日予定である。
プロコフィエフ作曲の「ロメオとジュリエット」が公演に含まれている。
チャンスがあれば、ぜひ行きたいものである。








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5 コメント

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遅ればせながら… (そぴあ)
2014-12-21 19:07:40
こんばんは!
ボリショイバレエ、御報告ありがとうございます。やはり素晴らしかったのですね。次の来日は2017年とか。次の機会を待ちます。
ところで、オペラファン様が違和感を感じられた終幕の曲順ですが、グリゴローヴィチ氏の、2001年改訂版からだそうですね。悲劇を強調するため、もともとの終曲を使用せず、導入部の最後の部分と第2幕情景の曲を使用してのエンディング。私は改訂版の前の演出、つまり終曲の曲順に変更のない方のビデオ(1989年A.ミハルチェンコのもの)を繰り返し見ています。あの、美しい終曲をカットするとは、随分思い切ったことを…とびっくりしました。
そして、王子の夢であったとのことですが、夢だったというのは、悲劇ですらないのでは?という疑問がわいてきました。夢なら、怖い夢だった、でも現実じゃない、安堵しなさいよ、という解釈にならないのでしょうかという心配(?)です。
そもそもあの終曲は現世的なハッピーエンドを示唆していないはずです。純粋で美しいもの、あるいは憧れ、理想。そんな夢は、現実の中で、決してかなうことはなく、そんなものを追い求めても、その先に待つのは死しかないのだと、そんな風に語りかけてくる曲だと思っています。現世的な幸せは、真の幸福ではないのだと言う点においての悲劇。だからこその終曲ではなかったのかなと。
従来の解釈では、死を超えた先の天上での幸福を表現しているものもありました。そもそも氏ご自身の最初の演出がそうでした。そのイメージがある限り、この終曲をつかうと、真性の悲劇というグリゴローヴィッチ氏の演出意図を表現できないということだったのでしょうか。もっとも最初の演出自体が、ソ連当局からの圧力を受けて歪められたものだったそうですが。

そうして、次に浮かんだのは、グリゴローヴィッチ氏の悲劇の意味が、ある種の虚しさにあるのではないかという考え方です。全ては一抹の夢、虚しいただの夢…。水の泡となって消えてしまうような。
これこそ、実はとても恐ろしい悲劇です。人間にとって、特に芸術家の方にとって、虚無に消えていくことほど、恐ろしいことはないのではないかと思います。
長年ボリショイで辣腕を振るってこられたグリゴローヴィッチ氏の結論が、虚無であることの悲劇だとすれば、それこそ、これほどの悲しいことはないかも知れないですね。

とと、長々と失礼いたしました。

いずみホールのリサイタル、本当に素晴らしかったです。アンコールが何と9曲もあるという、前代未聞?(笑)のリサイタルでした。本プログラムの意味がない!もっとプログラムを大切にしろ!とか、いわゆる有識者の皆様には怒られそうですが…至福の2時間半でした。
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Unknown (オペラファン)
2014-12-22 23:14:49
そぴあ様へ

コメント、ありがとうございます。
「白鳥の湖」の演出には、いろいろな解釈があり、そのつど刺激を受けるものがあります。
以前に見た「白鳥の湖」の公演では、最後のオデットと王子が湖の中に消えていくという演出があり、公演後も深い余韻を残った経験があります。
今回のボリショイバレエの公演で、会場にて購入したパンフレットにグリゴローヴィッチ氏の解説が記されていて改めて読み直しました。

>「白鳥の湖」の新しい台本を作るにあたっての狙いのひとつは、この物語をおとぎ話のジャンルからいわばロマンス小説のジャンルに移すことだった。チャイコフスキーの原曲の4幕(場)からなる構成は変えていないが、2幕ごとに分けて間に休憩が入る形にした。そしてどちらの2幕も、現実の世界の後には空想的な理想の世界が交替して続く。この二つの世界の間にほとんど時間の壁はなく、人間の意識の問題、または主人公のジークフリート王子の意識の中で起きた出来事であるかのように、すぐに移行できる。
チャイコフスキーはこの曲を「白鳥の湖」のために書き下ろしたのでだが、私は台本を刷新して、特に悲劇的なフィナーレの部分において曲のつながりを変更した。(偉大な作曲家が私を許してくれることを願う)

最後の音楽を変えてまで、グリゴローヴィッチ氏が訴えようとしたこと。おそらく、そぴあ様が、おっしゃる通り、水の泡となって消えてしまうような虚しさなのでしょう。
ただ通常のエンディングの音楽は、私自身、ハッピーエンドとは感じていないので、やはり通常の音楽で押し通して欲しかった。その方が、感銘深いものが残ったのではないかと今も思っています。それも、前述通り最後のオデットと王子が湖の中に消えていくという演出を見た経験があったからかもしれません。
とにかく今も、いろいろと考えさせられる公演でした。

さて、私も長文になりましたが、いずみホールのリサイタルが素晴らしかったとのことでよかったですね。
いずみホールはまだいったことがありません。素晴らしいホールということを聞いているので、一度、行ってみたいとかねがね思っています。
次のボリショイバレエの公演は2017年。次回もぜひ行きたいと思っています。
返信する
白鳥の湖の演出 (そぴあ)
2015-02-14 11:42:00
今頃のコメントで申し訳ございません。
貴重なパンフレットからの、引用ありがとうございます。とても興味深く拝読いたしました。
そして、グリゴローヴィッチ氏の言葉の最後の(偉大な作曲家が私を許してくれることを願う)という部分に、何か少し、安心もいたしました。
それにしましても、この演出になった2001年というと、ちょうど、ボリショイ劇場の音楽監督にアレクサンドル・ヴェデルニコフ氏が就任された年です。そして2009年まで音楽監督として、ボリショイ劇場の改革を断行されました。
ヴェデルニコフ氏はN饗を指揮された時(オペラファン様もご覧になられた、2014年1月の定期、「眠りの森の美女抜粋」等の公演です。)、若い頃ボリショイでバレエの指揮をしていたと仰っていました。
氏が、この演出の「白鳥の湖」の指揮をされたかどうか、また、音楽監督という立場がバレエの演出に関わるものなのかは、わからないのですが、この演出について、ヴェデルニコフ氏は、どのように思われたのかなと、ふと気になりました。氏の感想を聞いてみたいです。

余談ですが、実はこの1月の定期の放映を聞いて、私はヴェデルニコフ氏のファンになりました。初めて氏の演奏を聴いたのは、3年ほど前のN饗アワーの番組中に流れた、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲です。2011年にサントリーホールで指揮した時のものでした。
この時の演奏がとても印象的で、是非また聴きたいと思っていたのですが、その後めぐり会えず仕舞いだったところ、昨年3月の放映でやっと、聴くことができました。今ではすっかり大ファンです。その後購入したDVDでのヴェデルニコフ氏の指揮するボリショイオペラ「オネーギン」でも、演出のドミトリー・チェルニャコフ氏が、今までにない解釈で斬新な舞台を作り上げています。チェルニャコフ氏はコメントの中で、こんなのはチャイコフスキーじゃない、とも言われるかも知れないが、今我々が生きているのはこの現代である、そのために、現代社会に生きる我々が共感できるものに、台本を作り変えたと仰っていました。
斬新と言っても奇抜なものではなく、人物の内面の描写に力点をおいた、とても抒情的な舞台です。ヴェデルニコフ氏も、このオペラの主役はあくまで、歌手なのだと、歌を大切に、歌を引き立たせる演奏をされています。

先のNHKの番組の中で、「眠り」の選曲の意図についてヴェデルニコフ氏は、バレエの舞台で、あまり演奏されていない、交響楽的な名曲を選んだとコメントされていました。これはつまり、舞台での演出の陰で、原曲が割愛されたり変更されたりすることを認めつつも、指揮者として、やはり、本来の素晴らしい音楽を演奏したいのだということなのだと思います。
森田稔氏の著書『永遠の「白鳥の湖」』の中でも、原典の原曲のまま、今日上演されることは不可能だろうと書かれていました。また、作曲家自身が、この「白鳥」の作曲当初はまだ、作曲家としても未熟であったとも。

オペラファン様が仰られた「今も、いろいろと考えさせられる公演」とのお言葉に、総合芸術たる、バレエの奥深さをあらためて感じました。
そして、それだけに、本当に素晴らしい舞台であったのだろうと想像しております。優れた芸術は鑑賞するものを高い次元に引き上げてくれるものだと思います。「考えさせられる」公演であったことも、その証左ではないでしょうか。
次回の来日公演がどういう演出になっているのか…。今度こそ是非とも観たいです。


そうそう、いずみホールですが。近くですのに恥ずかしながら11/28日のリサイタルで初めて行ったんです。素敵なホールです、音が素晴らしくよく響いて…。その後、1/13日に樫本大進さんとエリック・ル・サージュさんのヴァイオリンとピアノのデュオリサイタルに、またいずみホールに行きました。もう素晴らしいとしか言いようのない、まさに別世界に誘われる演奏でした。翌日演奏会ボケ(?)で仕事にならなかったくらいです(笑)。来月3/19日にはやはりいずみホールで小菅優さんのピアノリサイタルです。プログラムはベートーヴェンの後期のピアノソナタでとても楽しみです。因みに4月には、11/28日のリサイタルの演奏者(ニコライ・ホジャイノフ氏)が出演する、サントリーホール他の3つのコンサートに行きます。全て東京ですので、こちらは交通費が大変!でも生で聴けるならと!…えーと、これはもはや”追っかけ”です。既に有給も申請済です(笑)。

またまた長くなってしまいました。まずパンフレットの転載のお礼をと思ったのでしたが、すみません。


フィギュアスケートや、ベームはもちろん、クラシック関係の記事も楽しく読ませていただいています。
どうか、またお邪魔させてくださいませ。




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追伸 (そぴあ)
2015-02-14 11:56:43
あ、でも、2017年の公演の演目に「白鳥の湖」があるとは限らないですね(笑)。
でも、日本で人気のチャイコフスキーのバレエの、どれかはあるのではと期待しています。
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Unknown (オペラファン)
2015-02-15 22:14:25
そぴあ様へ

コメントありがとうございます。
さてヴェデルニコフ指揮NHK交響楽団による「眠りの森の美女」の演奏、本当に良かったですね。
本当は、もっとN響の指揮台に立って欲しいのですが、来シーズンの定期演奏会にも、名前が無いのが、非常に残念です。
先週、歌劇「ペレアスとメリザンド」の時に、やはりオペラは音楽。しっかりと音楽として聴き込むことの大切さを、コメントしたのですが、バレエも同じことが言えると思います。ヴェデルニコフ指揮のN響による「眠りの森の美女」演奏は、正に、いい例だったと思います。
私自身、バレエもオペラと同様に、しっかりと音楽を聴き込んでいきたいと思っています。そうすることで、実際にバレエの舞台を見た時の感じ方が深くなるものと信じています。
さてヴェデルニコフ指揮の歌劇「エウゲニー・オネーギン」のDVDは、まだ持っていませんが、ぜひ見てみたいと思っています。
タチアーナのオネーギンに対する憧れとオネーギンの屈折した性格が、どのように絡み合っていくのがが、どの様に表現されているのか興味深々です。
そして次回のボリショイバレエの来日公演で、もし「白鳥の湖」が上演されるのなら、どのように演出が変革しているのか確かめてみたいと強く思っています。それこそバレエ上演の面白さでしょう。

ところで、私は土曜、日曜が仕事なので、なかなかコンサートへ行く機会がなく残念です。
大阪にはシンフォニーホールなど素晴らしいホールがあるのでチャンスがあれば、ぜひ!と思っています。
これから行かれるコンサート、楽しみですね。感想など、どんどんコメントしてください。大歓迎です。楽しみにしています。

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