オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

浅田真央さんの引退に寄せて

2017年04月14日 09時40分35秒 | 浅田真央さん
当ブログは今年でフィギュアスケートで言えば10シーズン目を迎えていました。この10シーズンを通じて現役を続けている日本人選手は浅田真央さんだけになっていました。そして、その浅田真央さんが引退表明。何かポッカリと大きな穴が開いた気持ち。そんな気持ちが、まだ修復出来ないというのが今の私です。
浅田真央さんから私は、どこに魅かれていたかと言うと、やはり彼女の演技を見ていると強く心を動かされるものが他の選手の皆さんの演技より強かった。失敗を恐れない挑戦する前向きさ、気迫。そして、それらの気持ちを強く心の中に持ちながら繰り出されるジャンプやステップなどの技の物凄さ。けっして単にジャンプを跳びました、単にスピンを廻りましたという次元を超越したフィギュアスケートの本当に奥底に持つ美しさと厳しさを最高に浅田真央さんは私たちに示してくれたと言えるでしょう。得点や順位を超越して、私たちの心を動かしてくれる演技を見せてくれた浅田真央さん。私自身、1972年の札幌冬季オリンピック以降、ほとんどが映像ですが多くのスケーターの演技を見てきましたが、浅田真央さん以上に、これらを示してくれたスケーターはいなかったと思っています。
実は、昔、私にとって浅田真央さんは世間様の人気に反するように快い存在ではありませんでした。
私は現役時代から荒川静香さんの大ファン。荒川静香さんの現役最後のシーズンのグランプリシリーズでは、どうしても荒川さんは真央さんに勝てなかった。天才少女と言われていたとはいえシニア初登場のジュニアの選手に!どうしても波に乗れない荒川静香さん。片やトリプルアクセルを見事に決める浅田真央さん。本当に複雑な思いでした。荒川さんが引退後も、そんな複雑な思いがまだ残っていましたが、この2008ー2009年のシーズンに入って、そんな気持ちなど吹っ飛んでしまい、そしてガラリと気持ちが変わってしまいました。
理由はただ一つ。「仮面舞踏会」を見てしまったからである。
このシーズンの浅田真央さんのグランプリシリーズの初戦は、NHK杯の2週間前のフランス大会。「仮面舞踏会」の初お披露目。そこで、もうボロボロと言っていい浅田真央さんを見てしまった。「仮面舞踏会」は今、見ても真央さんしかできない、たいへん難しいプログラム。
まだまだ自分のものになっていなかったのでしょう。調整不足だったら、難しいことはせず、それなりの演技も出来たはず。しかし、この難しいプログラムに正面からぶつかり、絶対に逃げなかった浅田真央さん。本当に驚いた。そして彼女のアスリートとして物凄さを見てしまった。
そして2週間後のNHK杯。見事に立て直し、素晴らしかった「仮面舞踏会」。
本当に感服した。今、この時の映像を見ても、あの時の気持ちが、いつも蘇ってきます。
そして私は浅田真央さんの本当の凄さを見せたのはソチ冬季オリンピック以降から引退までのシーズンだったのではないかと思っています。
ケガや肉体の衰えとの戦い、そして10代の選手とのハイレベルな戦い。それらから、けっして逃げることなく自己の限界に挑戦し続けた姿。これは、しっかりと心に焼き付けたい。
これは昨シーズンですが世界のフィギュアスケート界を30年取材してきたUSAトゥデイのコラムニスト、クリスティン・ブレナンのコメント。

「今はジャンプの数も多いし難易度も上がっています。選手に限界以上のことを求めています。
25歳(当時)の真央が選手として活躍していることが重要なメッセージなのです。
真央は自分のやり方で長く活躍する方法を見つけ、カムバックしたすばらしいロールモデルです。」

同じく同時期の振付師のローリー・二コルのコメント。

「選手全体のテクニックのレベルは20年前と比べたら格段に上がっていて、トップスケーターは技術の面では差がつかなくなってきています。これからは再び「表現」の時代がやってくるでしょう」
「これまでの人生で得たすべての感情や力を、音楽と一緒に解き放ちなさい。」

これらを実践できたスケーターは世界広しと言えども、浅田真央さんしかいないでしょう。浅田真央さんの残した道しるべを今後、若い選手の皆さんが、どう目指し超えて行くのか私はきちんと見届けたいと強く思っています。
最後に現役を引退した浅田真央さんに感謝の気持ちを強く伝えたい。そして現役引退後の第2の人生が素晴らしいものになって欲しいと強く願うと共に、これからも見守っていきたいと思っています。


画像は2016年3月。世界選手権でのフリーの「蝶々夫人」の演技を終えた直後の浅田真央さんの後ろ姿。私の大好きな写真。人間の後ろ姿は時として、その人の内面が現れるものである。クラシック音楽の演奏会でも、演奏を終えて楽屋へ引っ込んで行く演奏者の後ろ姿に心を奪われる時があります。その時、感じる孤独の影。
この世界選手権での浅田真央さんの後ろ姿にも何か同じ気持ちになるものがあります。
いろいろな葛藤の中で演技を終えた瞬間、彼女の心の中に何が過ぎったのだろうか?
これは浅田真央さん自身しか分からない。その瞬間に見せた後ろ姿。浅田真央さんは、この世で一人しかいないのだ。
世界広しと言えども後ろ姿で語ることの出来るスケーターは浅田真央さんしかいないでしょう。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
浅田真央ちゃん (sasha_2006)
2017-04-19 10:07:59
素晴らしい記事をありがとうございました。
何かの記事で読みましたが、
真央ちゃんの事を100年に1人の存在と言っていました。
本当にそうだと思います。
フィギュアスケートのフの時の知らない人でさえも
真央ちゃんの事だけは知っています。
彼女がどれだけの功績を残したかは
時が経つにつれて皆が感じていくのかもしれないですね。

オペラファン様がどのあたりから真央ちゃんの事を気になっていったのか
とても読み応えのある記事でした。
私もあのフランス大会の映像は
今でもはっきりと脳裏にやきついています。
本当に言葉では言い尽くせないほど
すごいスケーターです。
スケートだけではなくその人間性というか
にじみ出る温かさ、気高さ、品格、
次元の違うところに彼女はいますよね。

彼女と同時代に生きれたこと、
彼女のスケートを長く見ることができたこと
本当に幸せな時間でした。
心から彼女にはお礼を伝えたいです。
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浅田真央ちゃん (オペラファン)
2017-04-19 22:27:32
sasha_2006様へ

浅田真央さんは残念ながらオリンピックの金メダルには手が届きませんでしたが、そんなことを超越したものを私たちに教えてくれたと思っています。
演技に対するひた向きさ、結果を恐れず挑戦することの大切さ。
そんな演技から大きな感動が数多く生まれてきました。
残念ながら、浅田真央さんは引退してしまいましたが、私たちは、浅田真央さんの現役時代の演技の素晴らしさを、これからも伝えて行かなければいけません。
私も心から浅田真央さんに感謝の気持ちを伝えるとともに、これからの長い第2の人生が幸せで素晴らしいものであって欲しいと強く願うばかりです。
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