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オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

ヴェルディ 歌劇「ドン・カルロ」(5幕版)

2011年05月18日 10時23分19秒 | オペラ
やっと、私のスピーカーから鳴り響いた。この時を、どのくらい長い年月待ち続けていたか!
ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の5幕版による全曲CDから第1幕の「フォンテンブローの森の場」
フラヴィアーノ・ラボーのドン・カルロ、アントニエッタ・ステッラのエリザベッタ。そしてガブリエーレ・サンティーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団による演奏。
ドイツ・グラモフォン原盤の1961年の録音。
歌劇「ドン・カルロ」は「フォンテンブローの森の場」を省いた4幕版での公演、また録音が多いですが、私は、このオペラは5幕版でなくてはと強く思っています。
フォンテンブローの森の場でのカルロとエリザベッタとの出会い、喜び。そしてエリザベッタとカルロの父フィリッポ2世との婚約が決まった知らせ、悲しみと絶望。
この長大な人間ドラマのオペラの全ては、ここから始まっているのである。私の変なこだわりかもしれませんが、これを聴かなかったら、私にとって、このオペラを聴く喜びは半減である。
そして、このオペラの5幕版の魅力を私に伝えてくれたのはサンティーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団による録音のレコードでした。それも、たった1組の中古レコード。

私が大学生の時、カラヤン指揮による全曲レコード(4幕版)が発売され、フレーニ、ギャウロフ、カップッチルリという大好きなオペラ歌手が勢揃いだったので当時貧乏学生の私にとって大出費でしたが、カラヤン盤を購入しました。まだまだ、このオペラに関して知識がほとんど無かった私はカラヤン盤の解説書を読んでいて5幕版のことを知り、ぜひ聴いてみたい強く思いましたが、何せ金欠病!
それでも、どうしてもと思い、当時、数奇屋橋にあった中古レコード店の「ハンター」でサンティーニ指揮のグラモフォン盤(国内盤)を捜しだして購入。しばらくは、金銭面では、たいへんな生活だった!
余談ながらCDの時代になって、ネットで往年の名演奏の録音がたいへんな安価で手に入る時代になりましたが、私の学生時代を思い出すと、たいへん複雑な気持ちになります。
購入した中古レコードはケースに薄い布が貼られた立派なアルバムで、おそらく、このレコードは、この録音が我が国で初めて発売された時のアルバムのようである。
そして、この中古レコードは思い入れも強いですが私の宝として大切に聴いてきました。そして、この録音はイタリア・オペラの数多い録音の中で最上位の録音であると、私は固く信じています。
CDの時代になって、私の持っていた、ほとんどのレコードは我が家の物置部屋に移してしまいましたが、この中古レコードは現在までCDと一緒にいます。
しかし、CDの時代になったからには、ぜひともこの録音もCDで聴いてみたいと思っていましたが、何故か発売されない!いや、発売はされましたがドイツ・グラモフォンのスカラ座でのヴェルディのオペラ全曲録音の全てをセットにした膨大で高額なセット物だった。内容的に私が持っているCDと重複している録音も多く、手が出しにくい、手が出ない不親切な代物だった。そして、この20余年、単独で発売される気配は全くなくレコード会社に怒りすら感じていました。
そんな状態でしたが、最近、ネットでいろいろ見ていたらイタリアのレーベルでグラモフォンのライセンス盤がリリースされているのを大発見して、直ぐに手配し、そしてCDが届きました。価格は1900円だった・・・

歌劇「ドン・カルロ」は主役が揃ってはじめて緊迫したドラマになる難しいオペラですが、歌手が揃った時の迫力、物凄さは言語に絶するものがあります。このオペラの長さを忘れさせてくれるものがあり、ヴェルディのオペラの醍醐味があります。
この録音ではボリス・クリストフ、アントニエッタ・ステッラ、フラヴィアーノ・ラボー、フィオレンツァ・コッソット、エットーレ・バスティアニーニと言った名歌手たちが最高のヴェルディの歌唱を聴かせてくれます。そしてミラノ・スカラ座のオケとコーラスの輝かしい演奏!

私にとって、かけがえのない録音。
正に私の一生の宝!

ヴェルディ万歳!

ヴェルディ、万歳!

2011年05月16日 22時37分11秒 | オペラ
本日の夜、帰宅すると財務大臣閣下と大臣補佐官(娘らしい)の冷たい視線。その冷たい視線の先に運送便で送られてきたCDの入ったケース。冷たい視線に負けずに開封してみると、約20年来、欲しくて欲しくてたまらなかったCDが入っていた。
ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の5幕版による全曲盤。演奏はサンティーニ指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団及び合唱団、キャストはクリストフ、ラボー、ステルラ、コッソット、バスティアーニという大変な顔ぶれ。1961年ドイツ・グラモフォンによる録音である。私が持っているオペラの全曲録音の中で大のお気に入りの一つである。
私はこの録音のLPレコードを持っていますが、CDが発売されたら、ぜひ購入したいと思っていましたが、何故か単独で発売されない理不尽な状況。いつもドイツ・グラモフォンのミラノ・スカラ座での録音を全てまとめたセット販売ばかり。私が持っているCDと重複している録音も多く、そして高額。とても手が出なかった。
年月のみ、いたずらに経っていましたが、最近、何とイタリアのレーベルで、もちろん単独で発売されているのを発見!そして本日、やっと手元に届いたしだい。家族の冷たい視線などクソ食らえである。
この録音は5幕版なので第1幕は当然、カルロとエリザベッタが出会うフォンテンブローの場面である。オペラ全体に流れているカルロ、エリザベッタ、そしてフィリッポ2世の苦悩は、この場面を知らなくては理解できないものがあると私は思っています。
このCDを聴くのは次の公休日までお預けですが、手にしただけで満足感で一杯である。

やはりオペラはヴェルディ!
最近、手にしたヴェルディに関する本で、じっくりと読んでいる本があります。
高崎保男氏著の「ヴェルディ全オペラ解説①『オベルト』から『マクベス』まで」である。
3巻まで発売予定ですが、なんと①には初期のヴェルディのオペラがしっかりと解説されていて涙が出るような思いである。ヴェルディのオペラでも「アイーダ」や「オテロ」の解説した本はいろいろとありますが初期の作品に関してはさっぱりである。この本に巻かれている帯に「これ以上の精細な解説書はありません!」と書かれていますが、正に、その通り!
処女作の「オベルト」から始まって「ナブッコ」「十字軍のロンバルト人」を経て「アッティラ」そして「マクベス」へ。「マクベス」までの10作品はけっして、ヴェルディの初期だからといって絶対に軽くみてはいけない作品ばかりである。逆に後年の「アイーダ」や「オテロ」「ファルスタッフ」などにはない魅力に満ちた作品ばかりである。
私はヴェルディのオペラの魅力の原点は初期の作品にあると信じています。それだけに、この本は今後のオペラに関する私の指針になるのは間違いありません。

オペラは、やっぱりヴェルディ!
ヴェルディ、万歳!

「私のお父さん」

2011年04月21日 22時51分04秒 | オペラ
O mio babbino caro - Mirella Freni (Gianni Schicchi)


私がフィギュアスケートを見ていて何が一番嬉しいかと言うと、やはり大好きなオペラやバレエの音楽が使用された時です。そして私の好きな曲だったら、なお嬉しい。その究極の歓びがトリノ冬季オリンピックでの荒川静香さんの歌劇「トゥーランドット」でした。
さて今シーズンでは西野友毬さんがSPで演じたプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」が嬉しかった!私の大好きな曲である。
恋人と結婚したいと望むラウレッタが父親に心をこめて歌いかける美しい歌である。

「おお!私のやさしいお父さま。
 私は、あの人がすきなのよ、とてもすてきな人なのよ(後略)」

私がこの美しい曲を初めて聴いたのは高校生の時。ミレッラ・フレーニのオペラアリア集の1枚のレコードでした。
マリア・カラスは別格として、フレーニは私の一番好きなオペラ歌手です。
ひまわりの大輪の花を思わせるような輝きに満ち、そして温かみのある声。何度、聴いても胸が一杯になります。
オペラ界から完全に退いてしまいましたが、いつまでもお元気でいて欲しい。

朝からチャイコフスキー、その2

2011年01月14日 10時14分19秒 | オペラ
またまた誰かさんの影響で朝からチャイコフスキー。
歌劇「エフゲニー・オネーギン」から第1幕第2場の「手紙の場」を聴く。
歌っているのはアンナ・ネトレプコ。オケはゲルギエフ指揮のキーロフ歌劇場管弦楽団である。数年前ドイツ・グラモフォンから発売されたロシア・オペラのアリアを集めた「ロシアン・アルバム」の最後に収録されているものである。


チャイコフスキーと言えば交響曲や協奏曲が有名ですが私にとってはバレエとオペラの人。私にとって劇場の人である。
そしてチャイコフスキーのオペラの代表作と言えば「エフゲニー・オネーギン」です。
このオペラでは第3幕冒頭に演奏される「ポロネーズ」が有名ですが、私はやはり、この「手紙の場」が、このオペラの中で一番好きです。
この場面で、このオペラのヒロインであるタチアーナのオネーギンへの激しいまでの思い、はりつめた感情の嵐を聴くたびに胸が痛くなります。
このオペラの全曲CDは持っているますが、一番大切な録音が欠落している。名盤と言われているロストロポーヴィッチがボリショイ歌劇場で指揮した全曲録音(EMI)のCDが無い!LPレコードは中古レコード店で購入出来ますが、私の記憶では一度もCD化されていないはず。何故だ!?
さてネトレプコの歌。最近のネトレプコはイタリアオペラばかり歌ったいるようですが、彼女の母国語で歌ったロシアオペラももっと聴きたい。
「エフゲニー・オネーギン」のタチアーナ役をオペラ劇場で歌った話は、まだ聴いたことがない。これも何故だろう?私としてはヴィオレッタよりタチアーナを聴きたい(見たい)と言うのが本音です。

再びメトの歌劇「トゥーランドット」

2010年11月26日 10時25分25秒 | オペラ
今週の月曜から四夜に渡って、NHKのハイビジョン放送で、メトロポリタン歌劇場の昨シーズンの公演が放送されました。
私のような地方在住の者には、都会での海外の一流歌劇場の贅をつくした高額な引越し公演を見に行く事は夢のまた夢なので、こういう放送は本当に嬉しくなります。
深夜の放送だったので、録画して一生懸命、見ているところです。

第一夜はプッチーニの歌劇「トスカ」だった。
映像を見てゲッソリする。メトでもこんな演出の公演もあるのだな~。第2幕では裸の女の人が出て来たりしてスカルピアの変質的な性格を強調したかったのだろうが、やはり演出家は音楽をよく聴いて欲しいな~。音楽と合わないよ。演出家の発想の貧困さに最後まで見ているのが辛かった。

そして口直しに第三夜放送のプッチー二の歌劇「トゥーランドット」の録画を見る。
演出は以前からのフランコ・ゼッフィレッリのもの。
ハイビジョンの映像で見るこの公演は本当に輝かしい。やはり凄い公演である。まさに豪華絢爛!そして安心して、この作品に身をゆだねることが出来る。
実は、今年の8月、フレンズ・オン・アイスを見るために上京した時、東銀座の東劇でMETライブビューティングの上映で、今回の放送と全く同じ映像を見ている。
トゥーランドット役のマリア・グレギーナが素晴らしく、もう一度見たいと思っていたので、こんなに早く再び見る事が出来ようとは思いもよらなかった。
私は同じ演出による1987年の公演のDVDも持っているので歌手達の立ち位置や表情の違いなどを、見比べていきたい。
歌劇「トゥーランドット」は私にとって一番大切なオペラの一つ。
そして私と荒川静香さんを結ぶ本当に大切な作品。
トリノ冬季オリンピックの後、2ヶ月程は、「トゥーランドット」の音楽しか受け付けなかったのが今は懐かしい。
私のCD棚に目をやると歌劇「トゥーランドット」の全曲CDは10組ほどある。一度、全て聴き直してコメントしたいと思ったりしているが時間がないのが現実である。
ただ、時間の許す限り、聴き直していきたいと思っています。



飲んだくれ

2010年11月18日 23時17分33秒 | オペラ
今、かなりアルコールが入っている状態。今日も激しい一日であった。
以前、放送されたメトロポリタン歌劇場でのプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」の公演の録画を見ながら飲んだくれている。
ミミは私の大好きなアンジェラ・ゲオルギューが歌っている。
ミミ役と言えばアンナ・レトレプコも得意としている。レトレプコがミミを歌っている映像ももっている。こちらも美人で見ていてうっとりします。
ただ私は少々年増(失礼)ですがゲオルギューの方が好きだな。
第2幕の舞台装置。やはり凄い。
それにしてもプッチー二の美しい音楽は疲れている時、本当に身に浸みます。
このあと、フィギュアスケートGPシリーズ・中国大会での鈴木明子さんの「屋根の上のヴァイオリン弾き」の録画を見て寝ることにしましょう。

歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」

2010年11月17日 17時33分17秒 | オペラ
昨日、またまた予約しておいたCDが届いていた。2組のオペラ全曲盤を含んで4158円で、私自身は良い買い物をしたと自画自賛しているが、財務大臣閣下を筆頭に家族は、反対の思いらしい。
今回購入のCDの中でアバド指揮ベルリンフィルによるムソルグスキーの歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」の全曲盤(3CD)が何と驚きの990円と超お買い得だった。
良い演奏を、いかに安く購入するかが、私のCD購入の大切なテーマである。
さっそく歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」のCDに手が伸びる。どうしても「戴冠式の場」から聴いてしまった。
「ボリス・ゴドゥノフ」は私にとって思い出のオペラ。生れて初めて生で見たオペラが「ボリス・ゴドゥノフ」だった。作品に食いつく様に見ていたはずである。
東京文化会館での二期会の公演。指揮は小澤征爾氏。もう30余年も前の事である。あの頃の小澤征爾氏は長髪で蝶ネクタイの代わりにビーズの首飾り。本当にカッコ良かった。その後、ウィーン国立歌劇場の音楽監督になるとは思いもよらなかった。
公演は現在では考えられないことですが日本語による公演だった、「戴冠式の場」で合唱がロシア語で「スラバー!スラバー!」と歌うところを日本語で「バンザイ!バンザイ!」と歌っていたことを今もはっきり憶えている。
全て昔の話である。

CDをのケースを数枚重ねて、私が「もっとCDを聴く時間が欲しいなあ~」とポロッと言ったら、財務大臣閣下、即いわく「時間が無いのならCDを買うのを止めなさい!」
恐れ入りました。

ウィーン国立歌劇場のガラ・コンサート

2010年11月05日 09時44分17秒 | オペラ
今日は公休日。ゆっくりと寝ていればよいのに、齢をとってきたためか、いつも通りに目が明いてしまう。
早朝より、この前の日曜、NHKのハイビジョンで放送されたウィーン国立歌劇場のガラ・コンサートの録画を見る。DVDが発売予定とのことだが予約しなくて本当に良かった!
このコンサートは、ウィーン国立歌劇場総監督を19年に渡って務めたイアン・ホーレンダーのお別れガラ・コンサートである。
たいへん豪華で贅沢な顔ぶれのガラ・コンサート。とても登場した歌手と指揮者の名前を書ききることが出来ない。
その中で現在、世界のオペラ界を代表するプリマドンナであるバルバラ・フリットリ、ナタリー・デセイ、アンナ・ネトレプコが登場。三者三様のプリマドンナ振りを大いに楽しむ。
フリットリのモーツァルト、良かったな!デセイは極めつきの「連隊の娘」。そしてネトレプコには見ていてクラクラする。
前半、見てR・シュトラウスの作品が登場しなかったので物足りなさを感じましたが、後半、いきなり登場、それも「影のない女」の第3幕フィナーレである。私の数多いR・シュトラウスの作品の中で大好きな作品である。このあと、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」より第2幕のトリスタンとイゾルデの2重唱である。さすがはウィーン国立歌劇場、ん~たまらん!
見ていて、オペラへの郷愁を強く感じ胸が一杯になる。オペラの持つ歌の数々のメロディで、音楽を聴く喜びが湧いてくる。オペラの名曲の数々に浸りきるばかり。


「あなたの声に心は開く」

2010年10月15日 10時19分46秒 | オペラ
サン・サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」より「あなたの声に心は開く」

マリア・カラス(ソプラノ)ジョルジュ・プレートル指揮フランス国立放送局管弦楽団

(国内盤)EMI 「パリのマリア・カラス」より 1961年録音

この曲はフィギュアスケートの昨シーズン、取り上げようと思いながら、まだだった。この前、「ジャパン・オープン」でのジョアニー・ロシェットの素晴らしい演技を見て急がねばと思ったしだい。
旧約聖書の物語を題材にしたオペラ。古代のパレスチナ。怪力の持ち主サムソンの怒りを恐れたフィリスティア人は、妖艶な美女デリラの魅力でサムソンを虜にしようと計る。
第2幕第3場でデリラによって歌われる「あなたの声に心は開く」は、このオペラの中でデリラによって歌われる3つのアリアの中で一番有名で最も官能的な美しさをもったアリアである。
ロシェットの演技では、競技会なので歌は入っていません。そして演技の後半は「パッカナーレ」へなだれ込みます。

「暁の口ずけに花が開くように
 私の心は、
 あなたのお声に響きます。
 でも、愛しい方、私の涙をすっかり乾かすには
 あなたのお声をもっとお聞かせ下さい!
 デリラの元へ、とこしえに帰ってきたのだとおっしゃってくださいませ!
 もう一度、昔の誓いを
 私の好きだったあの誓いを、私の愛に聞かせて下さい!(後略)」

さて、このアリアの私のベストワンはマリア・カラスである。
たいへん有名なアリアなので多くのオペラ歌手が歌っていますが、カラスほどデリラの持つ妖艶さ、そして、この曲のメロディの美しさを歌った歌手はいない。今後も出ないだろう。
マリア・カラスはオペラ全曲録音も多数ありますが、オペラ・アリア集も多数残しています。
ただ、現在、レコード会社が独自に編集したものが多く発売され、どれがオリジナルの形のものなのか、よほど詳しい者でないと、訳がわからない状態と言えるでしょう。
幸運にも私が所持しているCDは「パリのマリア・カラス」のタイトルで、オリジナルの形のものである。
グルックの「オルフェウスとエウリディース」より「我、エウリディースを失えり」から始まり、「カルメン」「サムソンとデリラ」「ミニヨン」等のアリアを経てシャルパンティエの「ルイーズ」より「その日から」で締めくくるアリア集で、LPレコード時代も、曲目はこの並びであった。
「カルメン」からは「ハバネラ」と「セギディリャ」の2曲が収録されています。たった2曲でカルメンというジプシー女の持つ奔放な性格と情熱的な魅力を声の力のみで表現した凄さには舌を巻きます。
さて「サムソンとデリラ」から3曲収録されていますがLPレコード時代は「あなたの声に心は開く」は含まれていなかった。CDとして初めて、このアリア集が発売された時、やっと日の目を見ました。
LPレコードの時代、同じデリラを歌うなら何で一番美しい「あなたの声に心は開く」が含まれないのだろうか不思議に思っていました。CDの時代になり、初めてこの曲がカラスの声により我が家のスピーカーから流れた時、本当に感激したものです。
聞くところによると、この曲のみ生前カラスが了解しなかったらしい。
こんな素晴らしい演奏を、カラス自身、何が不満だったのだろうか?
聴くたびに不思議に思います。

メトの歌劇「トゥーランドット」

2010年09月10日 10時18分26秒 | オペラ
今日は久し振りにオペラの話題。
先月「フレンズ・オン・アイス」を見るため、公演の前日、空路で東京入りしました。昨年は上野公園の美術館をハシゴしましたが、今年は、たいへんな猛暑で上野公園を歩きまわる気力がなかったので半日、クーラーがよく効いた映画館で過ごしました。
私は最近まで知らなかったのですが東銀座の東劇でメトロポリタン歌劇場の最新のオペラ公演の映像を「METライブビューイング」と銘打って上映しているとの事。
http://www.shochiku.co.jp/met/index.html
当日の演目は何とプッチー二の歌劇「トゥーランドット」だった。
荒川静香さんのアイスショーを見るため上京した時、映像とは言え、たまたま見たオペラが偶然にも「トゥーランドット」とは、物凄い因縁を感じました。
JR有楽町駅から汗を拭きながら歩いて東劇へ。途中、現在、解体中の歌舞伎座の横を歩く。
さて生ビールを飲みながら映画館の大きなスクリーンとダイナミックな音響で見るオペラは最高だった。都会のオペラファンは、こんな贅沢なことが出来るのか!と思うと本当にうらやましい。
昨年秋の公演の映像。
マリア・グレギーナ(トゥーランドット)、マリーナ・ポプラスカヤ(リュー)、マルチェロ・ジョルダーニ(カラフ)サミュエル・レイミー(ティムール)というキャスト。
アンドリス・ネルソンス指揮、そして、あのDVDで発売されている1987年の公演と同じゼフィレッリの演出である。
キャストは一新されているが、ゼフィレッリの豪華絢爛な舞台は健在である。映画館の大スクリーンで見るだけになおさらである。
1987年の公演から、かなりの年数が経っているので歌手の立ち位置が、かなり変わっているのが面白かった。またDVDの映像を見慣れているので、カメラの違ったアングルでの映像も見ることが出来て興味深かった。
歌手ではトゥーランドット役のグレギーナが素晴らしかった。トスカやマノン・レスコーのイメージが強いのでグレギーナがトゥーランドット?と初めは不安だったが見事だった。第2幕でのトゥーランドットの登場のとき歌われる「この宮殿で」では少し硬いかなと思ったが、オペラが進むにつれて、どんどん引き込まれていく。
また表情が素晴らしかった。第2幕、カラフに3つ目の謎を解き明かされた時の驚きの表情。そして第3幕、リューが自害した時のとまどいの表情などゾクゾクさせるものがありました。思いがけなく最高のトゥーランドットを見ることが出来て嬉しかった。
グレギーナのトゥーランドットはメトでの映像ではないがDVDがあるはず。現在、予約しているCDやDVDが一通り届いたら、すぐに予約をいれなくてはいけない。
今年の秋もフィギュアスケートのGPシリーズにオペラと忙しくなりそうである。



バイロイトへの憧れ、その3.

2010年08月24日 23時12分14秒 | オペラ
私が、社会人になって初めての給料で買ったレコードが、当時、発売直後のバーンスタイン指揮ウィーンフィルによるベートーヴェンの交響曲全集。
そして初めての冬のボーナスで買ったのがワーグナーの楽劇「ニーベルンクの指輪」の全曲盤。ショルティ指揮ウィーンフィルによるデッカ盤。3万円だった。自宅へ持って帰る時、たいへん重たかったことを、よく憶えています。レコード店を出る時、店の従業員全員、出口で見送ってくれたことをよく憶えています。そのレコード店も数年前、倒産しました。時代の流れを強く感じます。
ベートーヴェンの交響曲全集もワーグナーの「ニーベルンクの指輪」全曲盤も、CDの時代に入って、私の社会人1年生の頃では考えられない安価で手に入る時代になった。本当に驚きである。
さて私は「ニーベルンクの指輪」は、ショルティ指揮の全曲レコードを手にするまで、年末のラジオのFM放送でのバイロイト音楽祭の放送でしか全曲を聴くことが出来なかった。
対訳も持っていなかったので、たいへんでした。
「ジークフリート」を初めて聴いた時、第3幕の大詰め、ジークフリートとブリュンヒルデの2重唱で「ジークフリート牧歌」のメロディが流れた時、歌詞は解りませんでしたが、たいへんな感動を憶えました。今も、この部分になると、同じ感情になります。
「ニーベルンクの指輪」の中で「ジークフリート」第3幕のブリュンヒルデの目覚めから最後までが、私は一番好きです。
今は仕事の関係で「ニーベルンクの指輪」全曲を通して聴く時間はありませんが、そのような余裕を持ちたいものです。



バイロイトへの憧れ、その2.

2010年08月23日 23時38分36秒 | オペラ
今日は帰宅して、この前、NHKハイビジョンで放送された、今バイロイト音楽祭から楽劇「ワルキューレ」から、第3幕を録画で見る。
演出は・・・?どうも好きになれない演出のようだ。
ワーグナーの大きな音楽を小さな箱に押し込めているようで私には窮屈な演出である。
しかし演奏はいい!演出の不満を吹っ飛ばす演奏である。
やはりバイロイトの響きは特別である。
以前、本社勤務の頃、取引先のお偉いさんと食事をしていて、ふとワーグナーが話題になり、そのお偉いさんはバイロイトへ行った事があると聞いて、たいへん話が盛り上がりました。いろいろ聞いてみると実際のバイロイトの音響はCDやレコードでの録音で聴くような鮮明さは無いらしい。
それらの話からすると、今回の生中継の録音は見事と言えるでしょう。指揮のティレーマンの力も大きい。
第3幕の大詰め、「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」は圧倒される思いである。

大昔、レコードで戦後、長い間、バイロイト音楽祭の合唱指揮を務めたヴィルヘルム・ピッツがバイロイト祝祭管弦楽団と合唱団を指揮したワーグナーのオペラの合唱ナンバーを集めたレコード(ドイツ・グラモフォン)が手に入り、よく聴いていました。
この録音はCD化されているのだろうか?
CDで聴き直したい録音である。


バイロイトへの憧れ。

2010年08月22日 22時10分29秒 | オペラ
昨晩、NHKのハイビジョン放送でバイロイト音楽祭での楽劇「ワルキューレ」の公演の生放送がありました。翌日も仕事なので第1幕だけ見て寝ました。第2幕以降は休みの落ち着いた時に、ゆっくりと録画を見るつもりです。
それにしても、まさかハイビジョンでの素晴らしい映像と録音でバイロイトからの生放送が自宅で見ることが出来る時代が来るとは、私がワーグナーのオペラに興味を持った頃には考えもしないことでした。
まだ第1幕しか見ていないので演出や歌手の感想を述べることは早々なことと思うので省略しますが、ジークムント役のヨハン・ボーダの声がなかなか良かった。
それにまして、何と言ってもティーレマン指揮のバイロイト祝祭管弦楽団の響きの素晴らしさ!バイロイト祝祭劇場の音響は独特なものがあると聞いていますが、見事に、その響きを伝えてくれています。第2幕以降が楽しみです。

それにしてもワーグナーのオペラを聴いていると、どうしてもバイロイト音楽祭へ、一度でもいいから行ってみたいという気持ちが強くなってしまいます。あの独特な響きを生で聴いてみたい!
私はまだヨーロッパへ行った事がありません。仕事でアメリカや中国へは行きましたが、まだヨーロッパの地を踏んでいません。
訪れてみたい所がたくさんあります。
ウィーン、ザルツブルグ、ミラノ、ローマ、ミュンヘン、ドレスデン、そしてバイロイト。
おそらく一生行く事は出来ないと思われますが、ヨーロッパへの憧れはいつも持ち続けていたいと思っています。
大学生時代、アルバイトでお金を貯めてザルツブルグ音楽祭へ行こうと思った時があります。(当時はカラヤンとベームの時代)
しかし母親に「父親が死んで間もないのに、何がヨーロッパか!」と一喝され、諦めてしまいましたが、今となっては、一番身軽な時代だっただけに、たいへん後悔しています。

話が脱線しましたが、今回は「ワルキューレ」のみの生放送でしたが、今後はぜひとも「ニーベルンクの指輪」の全四夜、全曲生放送を見て見たいものです。

ブリュンヒルデ「この剣をつくり直す、その人の名前はジークフリート!勝利の人です」
ジークリンデ 「何という奇跡!輝かしい乙女よ!聖なる諌めに感謝します」

「ワルキューレ」第3幕の一節で、私が、このオペラで一番好きな部分です。
夏の暑い盛りの時は、どうしてもワーグナーに熱中してしまいます。

歌劇「仮面舞踏会」

2010年07月09日 10時30分18秒 | オペラ
ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」(全曲)

マリア・カラス(アメリア)ジュゼッペ・ディ・スティファノ(リカルド)エットーレ・バスティアニーニ(レナート)ジュリエッタ・シミオナート(ウルリカ)

ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団

1957年ミラノ・スカラ座でのライブ録音

久し振りにカラスがアメリア役を歌った歌劇「仮面舞踏会」の全曲CDを聴いて震えるほど深い感動を憶えました。
私はオペラが大好きです。当ブログ名からも分かると思います。地方在住の為、都会での海外のオペラハウスの引越し公演などは、ほとんど縁のない世界で暮らしていますが、それだけにNHKのBSなどで放送されるオペラの放送は極力、見逃さないようにしています。来月はバイロイト音楽祭の特集があるらしいので本当に楽しみにしています。
しかし、最近、放送されるオペラ公演の放送はゲッソリすることが多い。原因はやはり現在、演出の主流となった読みかえでしょう。中には面白いものもありますが、私には受け付けることが出来ないものが多い。それは、やはり音楽と演出・舞台装置が合致してなく私にとって居心地が非常に悪いからでしょう。例えばプッチーニの作品だったら、私はあの美しいメロディを満喫したい。演出に邪魔されたくない。サーカス小屋の「トゥーランドット」、摩天楼の「西部の娘」、下着姿の「蝶々夫人」・・・
演出の斬新さとは何だろう?時代設定や場所設定を変えることが現代のオペラ演出の斬新さ?
昔、ミラノ・スカラ座でストレーレルが演出したヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」の様な舞台は登場できない時代になったのだろうか?

こういう時代、CDはありがたい。オペラの持つ音楽の美しさをストレートに満喫できる。
さてヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」である。
私は数あるヴェルディのオペラの中で「仮面舞踏会」が一番好きである。ほとんどの方は、おそらく一番手に「アイーダ」や「オテロ」などを挙げられると思います。しかし私は「仮面舞踏会」である。変わり者と笑えば笑えである。
この全曲CDはカラスが1956年ヴォットー指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団によるスタジオ録音(EMI盤)を長年、愛聴していますが、今日は1957年のスカラ座でのライブ録音を聴いてみました。ライブだけにスタジオ録音と違った熱さがあり、こちらも熱くなります。またキャストも当時のスカラ座の最高の顔ぶれで聴き応え十分で、古いライブのモノラル録音ですが古さを感じさせない。
特にガヴァッツェーニ指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団の演奏は本当に素晴らしい。スタジオ録音のヴォットーの指揮も悪くないのですが、何かきちんとまとめているという感が強く、逆にガヴァッツェーニの指揮は歌と一緒に熱くなっていてスリリングである。
このオペラのヒロインのアメリアが初めて登場するのは第1幕第2場の中盤である。
「愛に呼び醒まされた秘めた、苦い苦しみが・・・」とカラスが歌い始めたとたんドラマがたいへんな緊張感に包まれます。
また、第2幕のリカルドとの2重唱。
「Ebben.si.t'amo・・・」(それならば、ええ、あなたを愛しています・・・)
このフレーズをカラスはどんな思いで歌っていたのだろうか?この一声を聴いただけで、物凄い緊張感で私は胸がつぶれそうな気持ちがします。多くのソプラノ歌手が歌っていますが他の歌手たちは単に美しい声で歌っているだけのようで物足りない。一度マリア・カラスの歌で聴くと、カラスの呪縛から逃れることが出来ません。
オペラはアリアの聴かせどころを美しく歌い上げるだけでなく、オペラの中のちょっとしたフレーズ、一言だけで、そのオペラの持つ凄み、魅力を伝えていると言うことをカラスの残したオペラの全曲録音から教えてくれます。
本当は大好きな第3幕第2場も語りたいのですが、長くなったので今日はこれまで。

歌劇「ヴォツェック」

2010年07月07日 14時47分36秒 | オペラ
先々週、NHKハイビジョンで放送されたベルクの歌劇「ヴォツェック」の録画を、やっと見ました。新国立劇場での公演である。
おもしろかった!テレビの画面に釘付けだった。
異常な世界。錯乱した世界。気が狂っている世界。
こんなまともではない世界を見事に舞台で表現している見事な公演。このオペラを我が国でこれだけの公演が上演されるとは本当に素晴らしいことと思います。
舞台の上に、箱のようなもう一つの舞台。何か隔離されたような世界。そして、その下で、よどんでいる水の扱い。何か満たされない心の世界の表現なのか?最後、ヴォツェックに殺されたマリーが沈む池につながるだけに、何かゾッとするものを感じがします。
大尉、医者、鼓手長。皆、異様ないでたち。しかし異常な世界だけに真に迫っている。
ヴォツェックを歌ったバリトン歌手も良かったが、マリーを歌ったソプラノ歌手(名前が長くて覚えられない)が特に素晴らしかった。歌ももちろんだが顔の表情が凄い!狂気と女性の色気を兼ね備えた見事なマリーだった。
そして何といってもベルクの音楽の素晴らしさ。
指揮者のカール・ベームの足跡をたどると必ず出てくるのがベルクの名前です。
いち早く、このオペラを自分のレパートリーにいれたベーム。
劇場音楽としての斬新さ、独特な美しさに惹かれたのだろうか。
それにしても、これだけの公演を生の舞台で見る事できる東京の音楽ファンは本当にうらやましい。
地方は本当につまらん!