たいへん懐かしいオペラ歌手のアンソロジー集が手に入りました。
ルチア・ポップがEMIに録音したオペラ録音からのアリアや歌曲など盛り沢山の内容で7枚組CDのセットが3227円で超お買い得でした。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=3646422
ルチア・ポップは1939年、スロヴァキア出身で主にウィーン国立歌劇場やバイエルン国立歌劇場で活躍していましたが1993年、病のため54歳の若さでなくなった名ソプラノです。もし、元気でしたら、今年はちょうど70歳ということになります。
彼女の魅力は、やはり癖の無い澄んだ情感のある清らかな声にあると思います。オペレッタの作品も収録されていますが、彼女の声には、よくオペレッタの歌唱にある一本調子で表情過多なゴテゴテしさが無いのでメロディの美しさをより楽しむことができます。
今日の朝、彼女の歌うモーツァルトのオペラ・アリアをたっぷりと聴きました。まだ7枚全てを聴き通していませんが、彼女の録音を聴いていて、何か目の前で、たった私一人の為に歌ってくれているような気がするくらいであります。
しかし、やはり圧巻だったのは指揮者のサヴァリッシュのピアノ伴奏によるR・シュトラウスの歌曲集でした。この録音は、まだレコードの時代、購入して私の愛聴盤でしたがCDでの買い直しはしていなかっので、久し振りに聴くことが出来ました。私の大好きな歌曲「万霊節」では、情感あふれる歌唱に言い知れぬ感動を憶えました。単に声の美しさだけでない奥深さと言うべきでしょうか。テンシュテット指揮による「四つの最後の歌」も聴きましたが、彼女の歌うR・シュトラウスの作品は、その澄んだ声が最大に生かされて、何度も聴き直してしまいました。彼女が歌劇「アラベラ」のアラベラ役や「ばらの騎士」のマルシャリン役の全曲録音を残さないで他界したことは、たいへん残念です。
なお、このアルバムのケースの表紙の写真はR・シュトラウスの歌劇「ダフネ」の写真と思われますが、あのチャーミングな舞台姿を彷彿させて感概深くなります。彼女の舞台姿に胸をときめかせた方も多いのでは?と思います。今、このアルバムは私のCD棚でケースを表にして、写真が見えるようにして飾っています。
最後にルチア・ポップの他のレーベルでお気に入りの録音を2つほど。
①ヤナーチェク 歌劇「利口な女狐の物語」(全曲) マッケラス指揮ウィーンフィル(デッカ)
②ドイツの子供の歌 (ORFEO)
②は「蝶々」や「霞か雲か」など、お馴染みの曲が収録されていますが、子供向けと言うのでなく、まさに大人のメルヘンの世界と言って良いでしょう。
シューベルトの歌曲集やスラブ・オペラ・アリア集など、まだこのアルバムに収録されているCDを、まだ全て聴いていないので、この名ソプラノの声に、今しばらく、どっぷりと浸かりそうです。