夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

お盆休みの時節、私は『故郷(ふるさと)』の歌を心の中で唄い・・。

2013-08-12 12:06:59 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活の68歳の身であるが、
過ぎし10の土曜日の朝、ぼんやりとNHKのテレビのニュースを視聴していたら、
《・・お盆をふるさとや行楽地で過ごす人たちの帰省ラッシュは10日がピークとなり、
   各地の高速道路は、朝早くから渋滞が始まっています。
   また新幹線と国内の空の便も午前中から混み合う見通しです。・・》
確かこのようなことを麗(うるわ)しき若き女性のキャスターが報じていたので、
お盆休みが始まった、と私は教えられた・・。

私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住んでいるが、
私の故郷(ふるさと)の生家は、私が今住んでいる近くであり、お盆は8月1日の変則地域で、
私たち夫婦は実家の長兄宅を訪れ、長兄夫婦、親戚の方たちと談笑した後、お墓参りをしてきた。

家内の実家は、千葉県の近郊都市の八千代市なので、
これといって遠い故郷は、私たち夫婦は無縁となっている。

その上、私の両親も亡くなり、家内の父も死去し、天上の人となり、
家内の母は私より14歳の齢上で、身体は衰えあるが心は溌剌で独り住まいとなっている。

このような状況となっているので、帰省ラッシュは私たち夫婦にとっては、
遠い世界の出来事と感じたりした・・。
          

しかしながら私は、サラリーマンの現役時代に於いて、
友人、知人たちが会社の夏期休暇を利用して、故郷(ふるさと)の生家に帰省するのを、
羨(うら)やんだりしていたこともあった。

この根底のひとつとして、夏季、年末年始に帰省するたびに、
自分の過ぎた半年を回顧したり、今後の心の整理に良いのではないか、と想像を重ねたりしていた。

こうした中で、生家のご両親に逢われ、或いは兄弟の親睦、友人、知人たちの再会、
と良い環境と思ったりしていたが、ある一面は何かと大変な面も教えられた・・。
しかし、良きことが多い、と感じたりしている。

いずれにしても、せっかくの貴重なお盆休みの休暇の時、往還の交通は混雑でお気の毒であるが、
ご無事で帰京されること祈願したりしていた。

このように心情を思い馳せると、私は毎年ひとつの歌を心の中で思い浮かべてしまう。

文部省唱歌となっている『故郷(ふるさと)』であり、遊歩道を散策して、
人影のない所で、時折かぼそい声で唄ったり、或いは心の中で呟(つぶや)くように唄ったりしている。
          

私は1944(昭和19)年に農家の三男坊として生を受けた。
私が地元の小学校に入学した1951〈昭和26〉年の春の当時は、
祖父、父が中心となって、小作人だった人たちの手助けを借りて、程ほど広い田畑を耕していた。

そして田んぼの中核に湧き水もあり、この周囲にミソハギの朱紅色の花が咲き、
          
この湧き水からは小さな川に注(そそ)ぎ、この川から長兄、次兄は鰻(うなぎ)をときおり獲ったりした。
この近くに蓮(ハス)専用の半反(約150坪)ぐらいの田んぼがあり、この時節は純白の蓮の花が咲いていた。

母屋の周囲には蔵、納戸小屋が二つばかりあり、周辺に竹林、雑木林があり、
この当時の北多摩郡神代村(現・調布市の一部)の地域の旧家は、このような情景が、多かった・・。
少し離れた周辺はゆるやかな丘陵であり、国分寺崖と小学校の先生たちは称していた。

この頃の生家から徒歩15分ぐらいに最寄りの駅があり、
駅に接近した商店街を5分ばかり離れると、周辺は平坦な田畑が拡がる中、雑木林、竹林も多く、
のどかな田園地帯であった。

このような心情を秘めている私は、
高度成長期の頃から、地方出身の方たちが、大都市で勤務し、近くに生活されている方の中で、
多くの方たちが夏のお盆に帰省され、心を癒す、ことに思いを重ねてしまうのである。

もとより時代は激しく変貌し、私の住む周辺でも田園地帯から住宅街に
1955(昭和30)年頃から急激に変貌し、この当時の私は少年期であったので、
この地域の余りの急速な変貌に驚いたり、ときには悲しみを覚(おぼ)えたりした。

このような思いも重ねれば、そりぞれの地方出身の方たちも、
生家の周辺の大きく変貌し、帰省するたびに驚きを隠せない、と私は想像したりする。
                                
このような思いをしていた私は、失われた故郷(ふるさと)の情景、
そして過ぎ去った自身の60年近くの時の流れに愛惜を重ね、

♪兎(うさぎ)追いし かの山
 小鮒(こぶな)釣りし かの川
 夢は今も めぐりて、
 忘れがたき 故郷(ふるさと)
 ・・(略)・・

♪山は青き 故郷
 水は清き 故郷
【『故郷(ふるさと)』・・作詞・高野辰之、作曲・岡野貞一作曲 文部省唱歌(六年)】

この時節になると、『故郷(ふるさと)』の歌が想いだされてしまい、心の中で呟(つぶや)くように唄ったりしている。

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