ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

大分慣れてきた大学教員生活

2011-01-17 08:23:15 | 生活

大学に来るようになって半月、実働は一週間半くらいだが大分生活に慣れてきた感じがする。

最初は机だけしか無かった部屋にも、ハンガー掛や外付けのディスプレイを買って、カーディガンなども持ち込んで暮らしの雰囲気ができてきた。ポットや冷蔵庫は相部屋の連携教授が持っていたものを使わせてくれるので不自由しない。戸締りの方法や行き先表示版も作った。パソコンは買うつもりは無く、いつも持ち歩いているノートパソコンに大型の外付けのディスプレイを使って利用する、これが私のIT生活のスタイルである。ドコモの高速データサービスXiに申し込んだ。「ドコモの人も驚いていました。端末は品薄です」と言われたので、ドコモもまだあまり本気で売る気は無いらしい。

学生の顔も大分分かってきた。週に1回行われる輪講というのに出てそこで学生が色々発表をしているのを聞いて内容も少しずつ分かってきた。もっとも、出たのは私の世話をしてくれたアンテナや高周波デバイスの研究をしているグループなので若干私の専門と外れているのだが、何となくやり方は分かる。留学生は英語で発表し教授のコメントも英語なので、こういう雰囲気に居れば学生の英語力も多少は上がるだろうと思った。今度は私の専門分野に近い教授のこういった会合に出てみたいものだと思っている。

ある日、部屋の鍵を忘れてきたので学生のたまり場でしばらく仕事をしていた。私は昼食は殆どいつも食堂に行って食べているのだが、弁当を買ってきて部屋で食べる人が多い。中には野菜などを買ってきて簡単な調理をする人もいる。女子学生もたまにはいるが学生は大半が男子である。

昨年までの生活パタンなら今頃は出張でアメリカに居るか、飛行機の中か、という感じである。生活は結構大きく変わっているが、もうかなりこの生活パタンになじんできた感じである。

肝心の仕事のほう、特にスポンサーの期待していることがいまだに自分でピンと来ていない。これは同じ「鉄道技術のイノベーションと標準化」講座にもう一人の人が2月1日付で着任してくる予定で、その人は鉄道総研から来るので、その人と一緒にあいさつ回りをしてつかんでいこうと思っている。


「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」を読んだ

2011-01-14 08:17:42 | 生活

新潮文庫から出ている小説家の村上春樹と臨床心理学者の河合隼雄の対談集である。

村上春樹は「ノルウェイの森」とか「1Q84」などでいま最も有名と言える小説家なので知らない人はいないだろうが、河合隼雄のほうは知らない人のほうが多いくらいではないかと思う。しかし、私自身は河合隼雄の本は何冊か読んでいるが、村上春樹の本はこれが初めてである。

村上春樹の本は「あれだけ有名なのだから面白いに違いない」と思って何度か手に取ったことはあるのだがパラパラと見てどうもレジまで持っていく気にならず、書棚に戻していた。何となく自分と合わない感じがするのである。一方河合隼雄のほうは学生時代に授業を受けて私が心理学に興味を持つきっかけを作ってくれた人なのでその後も何冊か著作を読んでいる。自分にとって村上春樹入門はこれが良いのではないかと思って買った。

この本は文字通り京都在住の河合隼雄に村上春樹が新幹線に乗って会いに行き、2-3日かけて色々な事をじっくり話し合ったものを村上春樹がテープから起こして文章にし、後で二人がそれぞれコメントをつけたという形になっている。現代の日本人の心のさまよえる部分に関する二人の意見交換である。

読後感を言うと、「少し分かりにくい」感じである。特に河合隼雄に関しては「この人はこんなに含みのある言い方ではなく、もっと分かり易い言い方をするはずだが」という感じがする。内容は良いのだが言い回しがどうも気に入らない。村上春樹のほうは考え方に共鳴できる部分は多々あるが文体が気に入らない、という感じである。これが自分が村上春樹を敬遠していた理由か、と感じた。

対談は1995年に行われているのだが、今の日本人の心理状態はこの頃からまた変わっているのではないかという気がする。何となくノスタルジーを感じる内容だった。それでも、この本の中で何度も出てくる「ねじまき鳥クロニクル」という本は読んでみようかという気になった。いつのことにならか分からないが・・

なお、河合隼雄は2007年に没している。


中国の富豪が北海道の土地を買い占め

2011-01-13 08:46:22 | 社会

先日、NHKのクローズアップ現代で北海道の土地、それも広大な面積の山林が外国人に買い占められている、とい話題をやっていた。買主はバミューダ諸島にある会社でそこにはオフィスも何もなく私書箱のコインロッカーがあるだけ、という話である。怪しいと思って調べていくとその会社の実態は香港にある会社で、その香港の会社は中国人の富豪のお金を運用していることがわかった。

買われた山林は水源地であり北海道庁は水源を抑えられてしまうのではないかと心配しているとのことだった。しかし、買った本人がインタビューに応じて「すぐにどうこうしようと言うつもりはない。単なる投資の一環」と答えており、それは事実だと思う。中国では土地の私有権は認められておらず、土地は国家のものである。中国で買えるのは長期の借地権があるだけである。そこで私有権が認められてイメージの良い北海道の土地を買っておけば、余剰資産の活用方法の一つとしてあり得るのではないかという発想のようである。中国には現在は相続税は無いが、政府は相続税の導入を検討しているそうだから、相続税対策という意味もあるかもしれない。一般的には中国人が日本に投資することは歓迎すべきである、という意見も出ている。

すぐにどうこうする必要はないが、例えば北海道の面積の8割が中国人の所有になればどうなるか? 気にする必要はないという意見もあるだろうし、「北海道は中国のものだ」、と主張されるかも知れないという意見もあるだろう。政府としては一応シミュレーションしておく必要があると思う。ただし、外国人の日本に対する投資を排除するというイメージをもたれないように注意深く考える必要がある。

現在の日本経済にとっては外国人の投資を呼び込むことは重要である。しかし、その結果がどうなるかというイメージは持って、将来の問題に対策を考えておく必要があるだろう。投資を呼び込む方策は官僚が考えて、呼び込むことのメリット・デメリットを総合的に考えるのが政治家の役割、というような分業が必要だと思う。


スウェーデンへの興味

2011-01-12 13:21:05 | 昔話

1980年代から1990年代にかけて私はスウェーデンという国に興味を持った。そのきっかけは学会や標準化活動を通してスウェーデンを代表する通信機器メーカ、エリクソンの技術者の何人かと知り合ったからである。

エリクソンの技術者は一見柔和な感じだが芯が強く、戦うときは徹底的に戦う感じの人が多い。また仕事も非常に熱心で良く働く。日本人は良く働くと言われるが、エリクソンの社員には負けるのではないかと思うくらいである。

良く知られているようにスウェーデンは社会主義的で税金が高く、福祉もしっかりしている。従ってある程度以上になれば収入はそれほど伸びないし、給料自体もアメリカの会社などと比べれば安いのではないかと思う。そのような会社でどうして皆そんなに良く働くのか、これが私の疑問だった。スウェーデンに関する本を何冊か読んだが、なかなか分かる感じがしなかった。

スウェーデンに関する本で私にとって最も印象的だったのは子供向けの絵本だった。スウェーデン語で書いてあるので文字は読めないのだが、スウェーデンの四季の風景と人々の暮らし、それにお祭りなどのイベントが絵で描かれている。日本でも地方の風習などは消えつつあるがその消えつつある田舎の暮らしを絵にしたような本である。その本を見て私が感じたのはマンガのムーミンを連想させるものだということである。ムーミンはフィンランドの話だが、気質的につながっているところが多いのだろう。

自然を大切にして、恐れると同時に必要な時には敢然と戦う。個性を大切にしてできるだけ受け入れる中で生活につながる重要な部分での社会性は求めていく、という感じである。私は北海道生まれなのだが北海道の人にもある程度共通した部分があるように思う。寒い地方の特徴だろうか。

会社の運営に関しても何人かに話を聞いてみたのだが、一番「なるほど」と感じたのは以下のような話だった。

「うちの会社の特徴というとキャリア面接に非常に時間をかけることだろう。自分は何をしたいのか、人生観から会社での処遇までいろいろ話し合う。そしてその人の成長に役立つと思われる仕事にできるだけつけるように配慮する。その結果、各人がその仕事に対してコミットする気分になる。これは会社のためだけでなく、自分のためにもなるんだ、という強い気持ちが仕事の動力源になっている気がする。」これが答えだった。

同じようなことは日本の会社でもやっている。しかし、おそらく徹底の仕方が違うのだろうな、と感じたものである。


デジタルテレビ到着

2011-01-11 13:07:07 | 生活

昨年の11月30日に買ったデジタルテレビが1月8日にやっと到着した。

8日は私は囲碁の合宿で出かけていたのだが、テレビを買ったときにもらったはずの「古いテレビの引き取り券」が見つからないと家では大騒ぎしたようである。買ってすぐに納入されればこういうことは無いのだが一月以上空くと整理の悪い我が家ではこういうことが良く起こる。結局探して見つかったので、古いテレビは引き取ってもらった。

日曜日に帰ったときには新しいテレビが居間に置いてあった。前にも書いたが42型のプラズマテレビで3D対応である。申込書を書いて送ると無料で3DのメガネとアバターのDVDがもらえる。3Dの映画は海猿を見たのだがそれほど感動するものでもなく、大きな期待を寄せているわけではないが、アバターはいかにも3Dに適した絵作りをしている印象があって、これには期待している。

画面は大きく解像度も良くなった気がする。気のせいかもしれないがアナログからの買い替えを促進するためにアナログテレビの品質を少し落としていたのではないか、とさえ思える。まだハイビジョン番組は見ていないがハイビジョンを見ると一層きれいさが際立つのだろうか。

買う前は、今までと同じ場所に置くと画面が大きすぎて違和感があるのではないかと少し心配していたが買ってみると特に何とも思わない。これからしばらくはテレビを楽しみにできるのではないかと思う。

 


大学囲碁部の合宿OB会

2011-01-10 08:48:18 | 囲碁

土曜、日曜と熱海で泊まりがけで行われた大学の囲碁部のOB会に出席してきた。

一応対局時計を使って試合形式で対局したが、親善試合なのでそれほどの緊迫感は無く、かといって雑に打つでもなく、久しぶりにじっくり囲碁を堪能できたと思う。26人集まっていたが今年60歳になる私がちょうど真ん中くらいの年齢ということで、結構平均年齢の高い集まりであることは想像していただけるだろう。普段私は囲碁は打っておらず、NHKの囲碁番組を見たり、新聞の囲碁欄を読んだり、ネットで名人戦などを観戦したりする程度だが、相手も似たような状況なのでそれほど実線不足を感じることは無かった。

この合宿OB会はこれで4回目だが、今までは1月中旬に海外出張が入っていたので参加できなかった。これからは毎年参加しようと思う。囲碁は別名「手談」と呼ばれるが打っていると相手の気持ちが伝わってくるような気がする。勝利を求めて全力を尽くしながらも相手の上品な気持ちが伝わってくるようで気持ちが良かった。

場所は熱海のニューフジヤホテルというところで、ここは従来にない経営方針で、私はこういう種類のホテルに泊まったのは初めてだった。ホテルは11階建てのビルで最上階に露天風呂やカラオケ設備、囲碁室、マージャン室などがある。これらの設備は無料で利用できる。囲碁室に関して言うと30面くらいの碁盤が置いてあり中規模の碁会所並みである。その他にダンスホールや卓球台、カローリングといってカーリングを床の上でやるような部屋もありこれらも皆無料で利用できる。マッサージなどはさすがに有料である。朝食、夕食ともにバイキング形式でアルコールも付いている。内容は夕食は普通の旅館に比べて見劣りする感じだったが、朝食は立派だった。それで1泊2食で1万円。熱海という場所を考えると割安だろう。

要するに、立派な設備投資をして様々な遊戯施設を無料で開放することで割安感を出す。その一方で人件費は極力削って運営コストを下げる、という戦略である。会社の部内旅行や家族連れ、若い人の団体旅行などに適しているようでそういう感じの人がたくさん来ていた。我々のような平均年齢の高い人が集まるのはまれだと思うが、我々は碁を打つという特殊な目的がありそれには合致したものだった。11階の露天風呂は風が強くて寒かったがその分長湯ができた。

部屋は5人相部屋だったが、そのうちの二人が蝶々の収集家だった。日本全国の全ての蝶を収集して標本にしているような人たちなので結構山奥に採集に入る。二人とも私の先輩である。良く体力が保つものだと感心している。

楽しい週末を過ごしてきた。

 


大学での仕事始め

2011-01-07 08:40:04 | 生活

2011年の社会も動き始め、私も大学に通い始めた。

1月5日に辞令を受け取った。学長の代理で工学部長から辞令をいただいたのだが、工学部長室が立派なのには驚いた。正式名称は「東京工業大学大学院理工学研究科電気電子工学専攻鉄道技術のイノベーションと標準化(JR東日本)寄付講座特任教授」である。長い名前で驚いてしまう。名詞にどう書こうかと悩んでいる。

部屋も暫定的ではあるが与えられた。他の連携教授との二人部屋である。部屋の相棒は東京電力から来ておられる方で、仕事上は直接関係は無い。この寄付講座の特任教授は2名予定されており、もう一人の方は2月に着任予定であるが、当面は別の部屋になる。昨日、一連の人事関係の書類を提出したところなので、まだ身分証明書が発行されておらず、ネットアクセスなども限定的ではあるが、大学からのインターネットアクセスはできるようになっており、基本的な仕事は大学でできるようになった。

私が一番気がかりなのはスポンサーの意向である。寄付講座の場合には特任教授の活動は大学に任せるスポンサーが多いらしいが、今回のスポンサーはかなり期待するところがあるらしく、上層部の力が入っているそうである。それはそれだけやりがいがあることで好ましいことなのだが、まだ私自身どう動くのが良いのかつかみ切れていない面がある。昨日、短時間ではあるが挨拶をして、ある程度イメージは持てるようになったが別途こちらから訪問して期待するところをじっくり聞いてみたいと思っている。

昨日は電気電子工学専攻の新年会が大学内であって、若い人やスタッフを含めて70人くらいが参加していたので結構な人数に顔を知ってもらったと思う。立食パーティだったが元々知り合いだった方も10人位はいるので違和感なく溶け込めたと思う。

新しい環境に入ると、細かいことを含めて日々新しいことを覚え、自分が環境になじんでいく。旅行で初めての国を訪問した時の感触と似ていて、自分のできることが増えていく実感があり、こういう感じは私は好きである。


日本に必要なのは若返り

2011-01-05 08:33:08 | 社会

この正月休みに日本の現状を様々な人が分析して、問題点を指摘していた。しかし言われていたのは問題点を指摘するか、「外交をしっかりやるべきだ」といったどうすれば実現できるか分からないような要求、良いものでも「こういう観点からみるべきだ」という視点の提言に留まっていて、「なるほど」と思うような話は無かったと思う。

国家予算は最大の赤字を出した昨年と同じレベルで、しかも費用を捻出するために様々な点で国民生活を締めつけ始めている。日本の国際競争力は昨年よりもさらに下がっただろう。このような状況下でどうすれば良いのか、私にも特に案があるわけではない。しかし、一つ言えることはお隣の勧告はそう悪くない、ということである。

韓国も女性が子供を産む率は日本よりも低いくらいで人口減少に向かっている。儒教の国で年長者を敬うしきたりは日本より強い。そんな韓国がIMFの管理下に置かれて以降、経済復活が著しい。文化的にもアジアではAKB48よりも少女時代のほうが勢いがあるそうである。どうやって復活を遂げたのか、それは大胆な若返りだと思う。韓国企業全体かどうかは分からないが、日本企業から次々とシェアトップの分野を奪っているSamsungは50歳くらいで役員に残れないと定年になってしまうそうである。その人たちはどうするのか、と韓国人の友人に聞いたらば、能力のある人は外資系企業に勤めるか、外国への移住、能力の無い人は焼鳥屋のおやじ、と言っていた。

50歳と言えばまだまだ働ける年齢だし、能力もそう落ちてはこないはずである。企業にとっては経験豊かな人を失うことに対して「もったいない」という意識は強いはずである。それをあえてそのようにして、しかも企業として成功しているのは、若い人の勤労意欲が大きく違ってくるからだろう。社会的にも問題を生じそうに思うが、大きな問題にはなっていない。

要するに社会全体の新陳代謝を高めるが大切だと思う。若い人に活躍の場を与えるのもその一つで、業績の悪い企業は退出するし、仕事のできない人は収入が下がる。できる人は若くても頭角を現すといった、入れ替わりをどんどん行う社会にする必要があるだろう。もちろん失敗した人に再チャレンジの場を与えることも大切である。本来はこれは能力に応じてやれば良いことなので、年齢で定年を決めるなどは逆差別ということもできる。しかし、日本や韓国のような風土では、こうでもしないとなかなか変わらないのかとも思う。

世界の人と付き合っていて日本特有(アジア的性格かとも思うが)と感じる点は会社内での上下関係が人生全体の上下関係のように日本では受け止められているという感じである。日本では部長と平社員は仕事を離れても上下関係があるようなイメージが強い。それがよその部の部長で、自分の業績査定には影響が無いような人でも、仕事を離れたら対等とはなかなかいかないように思う。こういった社会で新陳代謝を高めるために、定年を早める、というのは有力な方法かもしれないと感じている。

50歳で定年になればその後悠々自適とはいかないのが普通だから第2の仕事人生を探すことになる。それはそれで社会を活性化するかもしれないと思う。


日本経済の再発展のために -グローバル対応-

2011-01-03 08:22:26 | 経済

今回で、日本経済に関して論じるのは一旦終わりにしたい。

前にも書いたがグローバル化を避けて通ることができないだろう。国内市場が拡大することはほとんど期待できないので化粧品とか、小売とかいった内需型産業も海外に出る動きを始めた。メーカは最初から世界出ることを検討する必要があるだろう。特に日本が強い分野は部品、素材などになってきているのでグローバル市場を目指して商品企画を立てざるを得ないし、実際のところ既にかなりそうなっていると思う。そうした分野では投資の判断力と日本国内のコスト高、関税などが問題になるだろう。トップに胆力のある人がいれば戦えると思う。

部品の分野には中小企業で強い会社が多い。こうした会社も強い所は既にグローバル化していると思うがまだまだ海外市場に出て行けば戦える余地はあるのではないかと思う。ただし、人材も資金も不足しているところが多い。技術力はあるので、こういう会社をサポートする仕組みが必要なのではないかと思う。今でも仕組みはあるのだろうが、私が不足していると思うのは強い企業が周囲の企業を飲み込んで大きくなっていくプロセスである。もっと積極的にM&Aを行って中小企業にとどまらない会社が出るような仕組みが必要なのではないかと思っている。

問題は家電、パソコン、自動車、食品、薬といった最終消費者につながる分野である。これは需要予測だけではなく、文化的な面も考慮する必要がある。会社の構成自体をグローバル化して取締役レベルにも外国人を入れるし、執行役員にも世界から人を入れるようにする必要があると思う。以前にも書いたが、そうなると自然に外国人社長が増えてくるのではないかと思う。そして本社を海外に移す会社も出てくるのではないかと思う。

最後に、昨年11月にEconomistが分析していた日本経済特集を紹介しておこう。Economistでは日本経済の課題を色々な側面から分析しているが、結論的には、人口減少で必然的に日本国内市場が縮小するのが課題だとしている。人口が減少するので国内市場は縮小する。企業は設備投資をできない、といった循環に入ってしまう。そのためにやるべきことは労働人口を増やすことだとしている。具体的には女性の活用、特に子供ができても会社を辞めなくても良い仕組みをつくることである。もう一つは移民の受け入れである。こうして内需拡大をすることが重要だとしている。

しかし、景気が上向いている時ならばともかく、デフレ下で労働人口を増やすのは現実的ではないと思う。給与水準の引き下げとセットにせざるを得ないだろう。最低賃金を上げる方向の現在の政策とは逆方向である。移民の受け入れはこういったことを少ない反発で実現するには効果があるかもしれないと思う。


日本経済の再発展のために -ソフトウェア対策-

2011-01-02 08:01:40 | 経済

2011年も元旦を終えて2日になったので、通常のブログを再開しよう。普通はこの時期に私個人の1年の計を書くのだが今年は今週末にしたいと思う。それは昨年末に報告した大学の様子がまだきちんとつかめていないからである。

昨年から続けてきた日本経済について、私なりの意見を続けよう。今回はソフトウェア対策である。これについては何度か書いているが、日本は大規模ソフトが苦手というのは、おそらくぬぐいきれないだろうと思う。改善するには何十年もかかるだろう。対策は二つ、大規模ソフトが勝負のポイントにならない分野に注力することと、外国人、特にインドのソフトハウスなどをうまく使うことだろう。

大規模ソフトでの勝負を避ける点については、ネットの発達と、クラウドの進展でやりやすくなってきていると思う。ソフトウェアプラットフォームの発展により、使いこなせれば良い、という状況になってきている。したがってWebのコンテンツで勝負すれば戦える感じがする。それも、コンテンツのプラットフォームで大きな利益を狙うのではなく、凝ったコンテンツを作る方が良いだろう。

もうひとつが海外のソフト開発能力を使いこなすことである。それも世界最先端を走るなどは難しく、ある程度できている内容を日本国内向けにチューニングするような作業が中心になるだろう。戦いの場は世界ではなく国内になるので、大きな発展は見込めない。国内の戦いで勝ち抜く戦略である。したがって以前にも書いたが国内のソフトウェア人材の雇用が数年後には大きな問題となると思っている。

今はハードウェア中心だが徐々にソフトウェアの比重が増してくる産業には注意が必要である。自動車や部品産業である。できるだけ大規模ソフトにならないような工夫をすると同時に、世界で存在感があるうちにソフトウェアのグローバル開発体制を整えることが極めて重要だと思っている。