ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

スウェーデンへの興味

2011-01-12 13:21:05 | 昔話

1980年代から1990年代にかけて私はスウェーデンという国に興味を持った。そのきっかけは学会や標準化活動を通してスウェーデンを代表する通信機器メーカ、エリクソンの技術者の何人かと知り合ったからである。

エリクソンの技術者は一見柔和な感じだが芯が強く、戦うときは徹底的に戦う感じの人が多い。また仕事も非常に熱心で良く働く。日本人は良く働くと言われるが、エリクソンの社員には負けるのではないかと思うくらいである。

良く知られているようにスウェーデンは社会主義的で税金が高く、福祉もしっかりしている。従ってある程度以上になれば収入はそれほど伸びないし、給料自体もアメリカの会社などと比べれば安いのではないかと思う。そのような会社でどうして皆そんなに良く働くのか、これが私の疑問だった。スウェーデンに関する本を何冊か読んだが、なかなか分かる感じがしなかった。

スウェーデンに関する本で私にとって最も印象的だったのは子供向けの絵本だった。スウェーデン語で書いてあるので文字は読めないのだが、スウェーデンの四季の風景と人々の暮らし、それにお祭りなどのイベントが絵で描かれている。日本でも地方の風習などは消えつつあるがその消えつつある田舎の暮らしを絵にしたような本である。その本を見て私が感じたのはマンガのムーミンを連想させるものだということである。ムーミンはフィンランドの話だが、気質的につながっているところが多いのだろう。

自然を大切にして、恐れると同時に必要な時には敢然と戦う。個性を大切にしてできるだけ受け入れる中で生活につながる重要な部分での社会性は求めていく、という感じである。私は北海道生まれなのだが北海道の人にもある程度共通した部分があるように思う。寒い地方の特徴だろうか。

会社の運営に関しても何人かに話を聞いてみたのだが、一番「なるほど」と感じたのは以下のような話だった。

「うちの会社の特徴というとキャリア面接に非常に時間をかけることだろう。自分は何をしたいのか、人生観から会社での処遇までいろいろ話し合う。そしてその人の成長に役立つと思われる仕事にできるだけつけるように配慮する。その結果、各人がその仕事に対してコミットする気分になる。これは会社のためだけでなく、自分のためにもなるんだ、という強い気持ちが仕事の動力源になっている気がする。」これが答えだった。

同じようなことは日本の会社でもやっている。しかし、おそらく徹底の仕方が違うのだろうな、と感じたものである。