ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

地方分権は準備が整っていないと思う

2011-01-27 09:10:46 | 社会

菅総理も所信表明演説で述べているが、ここ数年、地方分権の議論がかなり強く言われている。

私はこれまでこうした意見に漠然とした拒否感を持っていた。その理由は優秀な中央官僚でもダメなのに、質の下がる地方官僚に権力を持たせればもっとだめになるのではないか、という感じからきていた。

ここ数日、テレビや雑誌で片山総務大臣の意見を聞いてそのあたりの感じが大分確認されてきた感じがする。地方は知事や市長と言った首長と議会の2元連立性になっていてそれぞれ独立して選出される。片山総務大臣の話によれば、実権を持っているのは議会のほうだが、議会では殆ど実質的審議が行われず、殆どが根回しで決まっていて、議会は原稿棒読みと反対なしで決まってしまうのが殆どらしい。

そういう状況を熟知している知事たちが、橋下大阪府知事をはじめとして中央政府に地方分権を求めているのは、中央が地方に対して理不尽な締め付けを行っているからだということがやっと最近私にもわかってきた。その例が子供手当である。賛否両論ある子供手当を中央が勝手にやると決めて、その一部を地方で負担しろという。今いくつかの自治体が支払い拒否を表明しているが、こういうことができるようなルールになっているのが問題で国は国、地方は地方で責任を持つべきだというのが理屈のようである。

しかし、民主党政権発足当時にあった政治主導と同様に今の地方分権の流れは大きな危険性をはらんでいると思う。政治主導は官僚が狭い視野で国を動かすことの問題を指摘し、国民の代表である政治家が決断するべきだ、という意見で、一見もっともで今でも賛成意見は多い。しかし実態ではこの機会に乗じて全て自分の言うことを聞く官僚にして君臨しようという政治家が出るリスクもある。実態を知らない政治家が勝手なことをやろうとしてさっぱりうまくいかなかったというのが鳩山政権の総括と言えるだろう。

今の地方分権の話にも同様な問題を感じる。地方分権は権力の移行なので、「自分が権力を手にしたい」という人が、現状の問題点を理由にしているという側面がかなりあるように感じられて権限を移行すると却って大きな問題が出るような感じがしている。

地方分権は時間をかけてゆっくり進めるべきだと思う。