ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本と中国の都市鉱山争い

2011-01-19 08:59:12 | 社会

昨日のクローズアップ現代で日本の都市鉱山の現状を取り上げていた。都市鉱山とは廃棄物の中から金属を回収しようという動きで、循環型社会の実現の一部としても注目されている。レアメタルやレアアースと言った希少物質を取り出すには有力な手法と言われている。

昨年話題になったように中国は世界のレアアースの90%以上を生産している。それでもこのように貪欲に資源を集めている。中国はアフリカなどとも資源外交をやっていて補助金を出す代わりに資源の権益を集めるという動きを熱心に進めている。おそらく10年、20年先にアメリカよりもGDPが大きくなったときのことを想定して、そのとき必ず資源不足になる、という判断から動いているのだろう。

昨日話題になっていたのはこの日本の都市鉱山市場に中国が進出してきている、という話である。日本のごみ回収業者のところに中国人がやってきて高値で買い取っていくということである。日本の市場価格より高い(はるかに高いらしい)価格で買い取って中国まで運んで行くのだからコストはかなり高くつくはずである。それでもこういう行動に出る企業が出てくるのは、家電製品のリサイクル法ができて、家電製品をリサイクル義務がメーカ側に生じる。それに対しては補助金が出る。そこで多くの企業がリサイクルの工場を作る。そうすると工場の稼働率を上げて採算性を高めるために廃棄物市場ができる、ということらしい。

日本の活動も紹介していた。日本の場合は、廃棄物から効率良くレアアースを回収する技術を開発した、という話である。ここにも中国企業が来ていて共同事業やライセンスを求めている。日本の技術は現在の廃棄物の集まり具合ではなかなか採算が取れないらしく軌道に乗っていない。

技術開発をする日本と制度設計をする中国、それぞれの国の特徴が出ている感じがする。どちらが国の将来にうまく働くか、明確な気がする。両者の差がはっきり浮き彫りにされた番組だったと思う。