ウィトラのつぶやき

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囲碁界の注目すべき話題

2017-10-20 07:44:22 | 囲碁

囲碁ファンでない方は殆ど気にしないかもしれないが、最近気になる囲碁の話題が3つほどあった。

一つ目はグーグルのアルファ碁に関するもので、これまでアルファ碁は世界最強プロ棋士たちを圧倒的に打ち負かしていたのだが、グーグル内の新規開発で過去の人間の棋譜を学習させたバージョンが、予備知識なしで自己対局のみで学習させたバージョンに100連敗した、という話である。これは、これまで人間が延々と積み上げてきた知識は正しくない、少なくとも最善ではない、ということを意味するのだろうか? アルファ碁はいわゆるシンギュラリティの領域に近づいたということかと私は受け止めている。

二つ目は名人戦で挑戦者の井山九段が高尾名人に勝って7冠の全冠制覇したということである。井山氏は昨年7冠持っていたのを高尾氏に敗れて6冠に後退していたのだが、この1年間に6冠すべて防衛して、名人戦でも挑戦者になり再び7冠になったというニュースである。すべてのタイトルを取るということは相当の力の差がないとできないことで、2番手以降とはかなりの差があるとみてよいだろう。私は井山7冠の戦いの仕掛け方が好きで、応援している。

三つ目は18歳の六浦三段が、早碁ではあるが全棋士が参加する棋戦で優勝して一気に7段になったというニュースである。井山氏も同じ棋戦で優勝して四段から七段に上がったのだが、この頃このような飛び越し昇段が多いと思う。井山氏のようなめったに出ない特別な人は良いが、最近はこのような例が続出している。それは、大きな棋戦の挑戦者を争うリーグ戦に入れば七段にするという規定があるからなのだが、入団して3年くらいの若者が三段から七段に上がる例が続出している。これは昇段規定が甘すぎるのだと思う。

囲碁界では段位が下がることはなく、弱くなっても九段を続けられる。将棋界では段位が下がることは無いのだが、順位戦というリーグ戦で負け続けるとどんどん下位リーグに落ちていき、一番下位のリーグでも負け続けると引退を余儀なくされる。テレビによく出る加藤一二三九段がこのシステムで引退を余儀なくされた。囲碁界にはこのような仕組みもないので弱い九段がたくさんいて、九段と三段が戦って三段が勝つ方が普通という状態になると段位の権威が失われる感じがするので飛び越し昇段するのだろう。実際、飛び越し七段が年配の九段に負けることは殆ど無い。規定を見直す必要がある気がする。

若者がすぐに強くなるようになったのは囲碁AIの影響が大きいと私は考えている。人間が強くなるのは自分より強い人と戦って相手の打ち方から学ぶのが基本である。アルファ碁が出てきて自分より強い相手と戦う機会が増えてきて、若者がそれを吸収し強くなるのが早くなったと私は考えている。従って年配者が引退しないとすぐに皆が九段になってしまい、大部分が九段ということになってしまうと思う(今でも九段が一番多い)。若者が強くなるのは良いことだが、日本棋院の体質は改めるべき点が多いと思う。




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