ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

名局だった本因坊挑戦手合い第2局

2016-05-25 09:47:55 | 囲碁

5月23,24日と井山7冠に高尾九段が挑戦する本因坊戦の挑戦手合い第2局が行われた。第1局目は序盤で高尾九段が優位に立ち、そのまま押し切った感じだったが、この2局目は序盤から激しい戦いが続き大きな変化を繰り返しながらもどちらが優勢か分からないような状況が続いていた。後半、井山名人がやや有利の感じになったがその後も難しい戦いが続き、最後は井山名人が鮮やかに決めた、という印象だった。

私は23日はウィトラのオフィスでネット中継を見ながら仕事をしていた。囲碁は長考するときは30分以上局面が動かないときがあり、その間に仕事をして時々局面を見に行く。「自分だったらどう打つか」を考えながら見ていて、外れるとどうして外れたのかを考える、これが参考になる。1日目の序盤から激しい戦いで私の予想はなかなか当たらなかった。大きな石を捨てたりする大胆な戦い方を繰り返しながら、どちらが優勢か分からないような均衡状態が続いていた。

24日は一日外出していたのでネット中継を見ることはできなかったが夜、帰宅してから棋譜を見て、激しい戦いが最後までずっと継続していて、最後に井山名人が押し切った感じだった。囲碁では根を詰めて先を読まないと一気に負けになってしまう緊迫した局面と、大体このあたりが相場で、アマチュアが打ってもプロが打ってもあまり差が出ない局面がある。昔の碁はプロ同士の対局でも勝負どころは1回か2回くらいが普通だったのだが、この碁は勝負どころがずっと続いてきた感じだった。そうなると常に緊迫した状況で読み続けなくてはならず、体力が問題になってくる。若い井山名人が体力的に勝ったということではないかと思っている。

私は中国、韓国の碁をそれほど見ているわけではないが、中国や韓国ではこのような「疲れる」碁が多いので、若い人が勝つことが多いのだと思っている。戦いを仕掛けるには戦いを仕掛けるテクニックがあって、うまく仕掛けないとたちまち不利になってしまう。日本の歴代の第1人者はこの戦いを仕掛けるテクニックが優れている人が多く、形勢が不利な時は次々と戦いを仕掛けてチャンスをつかんでで逆転する、逆に自分が有利な時には戦いを仕掛けないでさらさらと打って終わらせてしまう。従って見るほうとしては、第1人者が負けた碁や負けそうになった碁が面白い、というのが従来のパタンだった。

今、中国では戦いを仕掛けるテクニックを身に着けた人が多く戦いの連続になって、日本のプロ棋士は勝てなくなっていると私は思っている。日本でも若い人で戦いを仕掛けるテクニックを身に着けた人が増えているので、今回のような面白い碁ができる。挑戦者の高尾九段は戦い続けて勝ちきるにはやや年齢が高い(39歳)が戦い続けているのは立派だと思った。


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