ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

セブンイレブンの今後

2016-04-25 09:17:29 | 経済

少し前の話であるが、セブンイレブンの鈴木敏文会長が引退することになった。社長を交代させようとして取締役会で否決されて、引退を決意したものである。裏にはどうも内部の勢力争いがあるらしい。

鈴木会長の引退の弁では現在の社長は事業執行は順調にこなしているものの、CEOとしては物足りない、ということで社長を交代させる、ということだった。これはいかにもありそうなことに思うし、多分鈴木会長の見方が正しいのではないかと私は考えている。その一方で交代して新社長案として出されていた古屋氏は66歳で現社長の井坂氏よりも8歳も年上で、鈴木氏退任報道以後、多くの報道がセブンイレブンに関して出された中にあって影は薄いと感じる。鈴木氏退任の意向を受けて井坂氏がセブン&アイホールディングの社長、古屋氏がセブンイレブンの社長になったことから見て、それなりに力のある人ではあるのだろうが、ぐいぐい引っ張る人という感じはしない。つまり、反対派の「社長交代案はおかしい」という意見も理屈に合っている感じがする。

どちらの意見にも良い点もあれば悪い点もあって決め難い状況ならば、結論を先延ばしにして、議論を継続するのが常道である。それをやらずに強行しようとしたのが鈴木会長で、反対派は創業家まで担ぎ出して阻止に回った結果、否決され、鈴木敏文氏が引退することになった。なぜ鈴木氏はこんなに急いだのだろう? 体調でも悪いのだろうか?と勘ぐってしまう。

今後、セブンイレブンがどうなっていくかであるが、私は次第に落ち目になっていくだろうと予想している。それは鈴木氏の手法がマイクロマネージメントだからだというのが私の考える理由である。報道などを見ると鈴木氏自身がお惣菜の味見をしてOKを出していたのだという。これがセブンイレブンのマイクロマネージメント体質を表していると思う。井坂氏や古屋氏も、味見をして判断する。売れ行きが良くなければ早めに切り替える、といった判断はできる人なのだろう。

しかし、「仮説と検証」をどれだけ幅広くやれるかが、CEOとしての力量だと私は思っている。特に鈴木氏が推進してきたオムニチャネル戦略による、ネット販売と宅配、店舗販売の一体化は今後の世の中の長期的トレンドとなるのは間違いないだろうが、ユーザがまだ十分になじんでいるとはいえず、一気に進むとは思えない。提供側が様々な成功と失敗を繰り返しながら、社会構造の変化に合わせて少しずつユーザの行動パタンを変えていくのをどううまくやるか、がセブン&アイホールディングのミッションだと思うのだが、鈴木会長抜きではこれをうまく進めるのは難しいだろうと私は思っている。

1年くらいは今の延長線上で殆ど影響は出ずに進むと思うが、2年目くらいから変調が見え始め、3年目には成長が止まるという感じになるのではないかと思っている。今後のセブンイレブンの業績に注目していきたい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿