真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「アラブの春」のチョムスキーの考察とウクライナ戦争

2022年05月09日 | 国際・政治

       知らないのか、知らないふりか、それとも意図的に隠蔽しようということか。 

 
 先だって、ウクライナのゼレンスキー大統領が、演説で、”ロシアの侵略はウクライナだけにとどまらず、欧州全域が標的だと指摘、西側諸国にロシア産エネルギーの完全輸入禁止とウクライナへの武器供与拡大を求めた”と述べたという報道記事を取り上げました。その内容が、ロシアを屈服させ、弱体化させようとするバイデン政権の方針をそのものだと思ったからでした。
 また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問が”東部でロシアが敗北するまでロシアとの首脳会談は行われない”と述べたという記事も、取り上げました。ミンスク合意をもとに、話し合いで解決しようとしてはいないと思ったからでした。
 それは、ウクライナを支えるアメリカが、自らの利益のためには戦争することを厭わない国であることを示しているのだと思います。そして、それを正当化する考え方の背景に、やはり反共思想があるのではないか、と私は想像します。バイデン大統領が、”彼らには自身のお金に指一本触れさせやしない。ビジネスもこの国では一切やらせない”などと、声を張り上げてアピールしたと言われていることに、そうした考え方を感じるのです。
 
 だから私は、ベトナム戦争を思い出しました。なぜなら、ベトナム戦争当時のアメリカは、軍事介入を正当化するために「ドミノ理論」を主張していたからです。その内容の一部は、先だって取り上げました。
 当時の国防長官、ロバート・マクナマラは、ベトナムとの非公開討議(1997年6月、ハノイ対話)で、”我々自由主義社会が、統一的な意志のもとに組織された共産主義勢力によって、世界中で脅威にさらされていると感じていたのです。つまり簡単に言えば、我々の当時の情勢判断を支配していたものは、いわゆる「ドミノ倒し」の恐怖だったのです。ケネディ、ジョンソン両政権を通じて我々は、南ベトナムを北ベトナムに譲り渡すのは、東南アジア全体を共産主義者に与えることになると考えていました。そして東南アジア全体を失うことは、アメリカ合衆国やその他の自由主義社会の安全保障体制を大きく揺るがすと判断していたのです。”ということを語っているのです。<「我々はなぜ戦争をしたのか 米国・ベトナム 敵との対話」東大作(岩波書店)
 現在もなお、アメリカにはこうした反共思想があり、ロシアのヨーロッパ諸国に対する影響力の拡大が、アメリカの利益を損なうのみならず、自由主義社会に取り返しのつかないダメージを与えると考えてのではないかと思います。さまざまな中国に対する政策にも、そうした考え方があるように思います。
 前稿で取り上げた、チョムスキーは、ベトナム戦争の「マクナマラ回想録」について、”タカ派の人々は、マクナマラを裏切り者と批判した。 ハト派の知識人たちは、喝采した。なぜならマクナマラが最終的に、ハト派の正統性を認めた、といっているからです。しかし、ハト派が自らの正しさを認めてもらえた、と感じたその本に、マクナマラはいったい何を書いていたのか。彼はアメリカの人民に対して謝罪しました。だが、ヴェトナム人民にたいしては? 何もなしです。彼はアメリカ国民に謝罪した。それはあれが多大な犠牲を払う戦争になることを、然るべき段階で発表せず、そのために国民に苦痛をもたらしたからです。……しかしおもしろいことに、ハト派の知識人たちはこれで自分たちの正統性が証明されたと感じた。ハト派の知識人たちというのがどういう者たちだったかこれでよくわかるでしょう。彼らは決して戦争そのものに反対していたわけではなかった。戦争の進め方に、コストの面で異論を唱えていただけなのです。まさに衝撃的ですよ。民衆は(知識人と考えが)違っていたのです。”と日本の作家、辺見庸氏のロング・インタビューで語っています。
 確かに、賠償はもちろん、戦争犯罪に対する謝罪もしてはいないのです。マクナマラはベトナム側との対話のなかで、”……誤まった判断だったかも知れません。しかし私は、ここにいる皆さんに、なぜ我々が誤った判断をするに到ったのか、その原因を理解してもらうことから、この対話を始めたいと思っているわけです。……”などと、一方的な軍事介入の責任を、ベトナム側に押し付けるようなことを言っているのです。ベトナム戦争敗北後も、アメリカは、根本的には変わっていないということだと思います。

 関連して、チョムスキーの「アラブの春」についての考え方は、アメリカの対外政策の本質を知るために欠かせないと思います。チョムスキーは、アラブの春が起きる直前の2010年末に西側の調査機関がおこなったアラブ世界、とくにエジプトでの大規模な世論調査をもとに、
”……たとえばいちばん重要な国であるエジプトでは、八割かそれ以上の人々がアメリカ合衆国とイスラエルを最大の脅威と見なしている。イランが脅威と答えたのは一割だけ。事実、アメリカ合衆国の政策に対する敵意はとても強いので、この地域の過半数の人たちが、イランが核兵器を持ってアメリカとその属国イスラエルの力を削いでくれたほうがいいと考えている。アラブ世界全体でもだいたい似たような結果です。民主主義が機能すれば、こうした一般大衆の意見が国の政策に影響を及ぼすようになる。だから、ロンドンやパリ、ワシントンが、できればこうしたことが起こらないようにしようとするのは当然です。彼らはアラブの春の民主主義的な要素をなんとしても掘り崩さなくてはならないし、事実それが現在おこなわれていることだ。
というような、一般的な認識とはかけ離れたことを言っています。
 そして、現実にアメリカや西側諸国が深く関わった国々は、決してその後も「」を迎えてはいないと思います。
 だから、ウクライナにおける戦争に関しても、私は、かなり捏造に近いものや自作自演的な報道が、アメリカやウクライナによって世界中に広められているのではないかと疑わざるを得ないのです。「大本営発表」のように…。 

 
 下記は、「チョムスキーが語る戦争のからくり ヒロシマからドローン兵器の時代まで」(ノーム・チョムスキー、アンドレ・ヴルチェク:本橋哲也訳)から抜萃しました。
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                第七章 中東とアラブの春
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A・V(アンドレ・ヴルチェク)
 アラブの春はじつに複雑で論争の多い問題ですが、エジプトやチュニジアでの動きをどうご覧になりますか?

N・C(ノーム・チョムスキー)
 まず第一に言えるのは、これらの出来事が歴史的に大変意味のあることだということでしょう。問題も多くありましたが、すでに成し遂げられたことはそれだけでも大きな意味のあることだった。当然イスラーム主義者たちがほぼ議会制度を掌握しましたが、それは彼らが何十年も組織を固めてきたからです。彼らを支援しているのはサウジアラビアからの資金ですが、サウジにはほかのどこにもないような反動的なイスラーム主義者が顕在化している。アメリカ合衆国、イギリス、フランスはイスラーム主義のムスリム同胞団を容認するつもりだろう。それは彼らが基本的には新自由主義者だから。
 チュニジアではそれよりも穏健なイスラーム主義の党であるアンナハダが政権を掌握しましたが、エジプトでは事態はまだ流動的です。しかし注意すべきことは、エジプトとチュニジアといういちばん事態が進展している二国には以前から強力な労働運動が存在していて、労働者の権利のために長年闘ってきたことでしょう。エジプトのタハリール広場でのデモを主導したのは「四月六日運動」と呼ばれた若い専門職の人たちの運動だった。なぜ四月六日かというと、2008年の4月6日にマハッラの工業団地で大きな労働争議があって、ほかの場所にも広がったのですが、それを独裁政権が潰した。専門職につく若い人たちが集まってこの名の下にその闘争を引き継ぎ、それが2011年1月の蜂起、エジプトのアラブの春となったわけです。
 エジプトのアラブの春が達成したことの一つには、労働運動を組織することに対する制約を減らした、というか撤廃したことがある。初めて独立した労働組合を組織することができたわけで、これは以前にはまったく不可能だったし、より独立した社会への動きと言えると思う。労働者が工場を占拠することは前にもあって、それはそれで建設的でしたが、議会政治のなかで勢力を獲得していくのはこれからでしょう。
 エジプトとチュニジアでの達成としては、ほかにも表現の自由への制約が大幅に緩められたことがある。いまでは新聞もメディアもかなり自由でオープンになったし、議論も自由におこなわれるようになった。こうしたすべては重要な展開です。軍隊はまだあって、チュニジアよりもエジプトのほうが強力ですが、これまでの運動は進められていくと思いますね。まだまだ初期の段階ですが。
 アメリカ合衆国と西側諸国にとっては、この地域で民主主義が機能してしまうことは許しがたい。なぜかを知るのは難しいことではなくて、アラブの春が起きる前におこなわれた世論調査を見ればいい。アラブの春が起きる直前の2010年末に西側の調査機関がおこなったアラブ世界、とくにエジプトでの大規模な世論調査があって、そのあとの調査でもだいたい似たような結果が出ています。たとえばいちばん重要な国であるエジプトでは、八割かそれ以上の人々がアメリカ合衆国とイスラエルを最大の脅威と見なしている。イランが脅威と答えたのは一割だけ。事実、アメリカ合衆国の政策に対する敵意はとても強いので、この地域の過半数の人たちが、イランが核兵器を持ってアメリカとその属国イスラエルの力を削いでくれたほうがいいと考えている。アラブ世界全体でもだいたい似たような結果です。
 民主主義が機能すれば、こうした一般大衆の意見が国の政策に影響を及ぼすようになる。だから、ロンドンやパリ、ワシントンが、できればこうしたことが起こらないようにしようとするのは当然です。彼らはアラブの春の民主主義的な要素をなんとしても掘り崩さなくてはならないし、事実それが現在おこなわれていることだ。これは過去の行状から一貫していて、しかもこの地域にかぎらない。西側諸国が大事にする国々は石油のある独裁政権であり、そこではほとんど何も変わっていない。人々の蜂起は素早く鎮圧されてしまったから。バーレーンとサウジアラビアでは軍隊が動員されて、王族が抗議運動を暴力的に弾圧し、病院に押し入ったり拷問をおこなったりした。西側諸国からはおざなりな批判があっただけ。とくにサウジアラビア東部のシーア派は残酷に押さえつけられている。ここには多くの原油があるから放っておけない。
 エジプトとチュニジアではアメリカ合衆国とその同盟国が伝統的な作戦に従って、これまで何度もおこなわれてきたように軍隊が叛乱して西洋お気に入りの独裁者が見捨てられた。ソモサ、マルコス、デュヴァリエ、スハルト、モブツといった支配者たちですね。彼らを最後まで支援しながらそれができなくなるとどこかに追放して、古い秩序を維持しようとする。もちろん民主主義をいかに愛しているかとか言いながら。いつものことだ。それを見ないようにするには相当な才能がいる。
 実際、東ヨーロッパでも興味深いことがあったね。共産主義の独裁者としては最悪だったけれど西側諸国には可愛がられていたルーマニアのチャウシェスクは、レーガンにもサッチャーにも気に入られていた。最後の瞬間まで支援されていたのが、それが不可能となると(事実、政府は顛覆されて殺された)いつもの計画がふたたび導入された。まったく同じことがエジプトでもチュニジアでもおこなわれたのですが、そうした実態は見えなくされてしまっている。これも内国植民地化の一例ですね。何度起きても見えなくされている。目に見えるのは西側諸国がいかに民主主義を愛しているかということだけ。

A・V(アンドレ・ヴルチェク)
 私がアラブの春について欠如していると感じるのは、アラブ諸国の連帯です。反乱がかなり分断されているように見える。民衆の進歩的な蜂起も断片的ではありませんか。

N・C(ノーム・チョムスキー)
 アラブの春はまだ初期の段階だと思う。ラテンアメリカがヨーロッパによる征服以来、初めて本物の統合と独立に向ったのはここ十年のことでしょう。国内の膨大な社会問題に対してもやっと対処を始めたばかり。これは歴史的に見てきわめて重要な動きであって、もしアラブの春が同じ方向に進むなら、世界の秩序は劇的に変わるだろう。だから西側諸国はなんとしても止めたがっている。
 私の予想ではアラブ諸国の政府はほどなく信用を失い、民衆蜂起の原因であるネオリベラリズムとその影響という根本の問題に対処できなくなるのではないか。そうした政策を容認することしかできないから。そうなると害悪が続くだけで、限定付きとはいえ現実に成功を収めてきたここ数年の経験が生きて、新たな蜂起が起きるのではないかな?

A・V(アンドレ・ヴルチェク) 
 西側諸国が国連にシリアに対する制裁措置を通そうとしてロシアと中国が反対しましたね。これはロシアと中国という二大国が西側の命令に従わず、西側諸国の帝国主義に反対するために協力するという明らかな兆候でしょう。とても重要な展開だと思いますが、主流メディアでは相当な反感をもって受け取られていますね。

N・C(ノーム・チョムスキー)
 ロシアと中国だけではなく、BRICS諸国──ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ──は、すべてシリアへの武力攻撃に反対したのですが、ロシアと中国だけを非難しておけばより好都合です。公式敵国としてプロパガンダのイメージにふさわしいから。私の想像では、もし内部資料があるならはっきりしますが、アメリカ国務省とオバマ政権はロシアと中国が国連決議を拒否してくれてありがたかったと思いますよ。おかげで何もしなくてよくなったし、「なんてこった。介入して助けたかったのだけど、何もできないじゃないか」と言えるわけですから。
 つまりアメリカが介入したければ、安全保障理事会の決議があろうがなかろうが関係ない。事実、何度もそれは無視されてきたわけだし、たんに便利な口実を与えるだけ。シリア情勢に直接巻き込まれたくないのは明らかだとしても、誰を支援したらいいのか、いったいどういう結果になるのかがアメリカにもわかっていない。アサドの過去をどう考えるにしろ、彼がアメリカ合衆国とイスラエルの利害に沿って行動してきたのは明らかで、地域の安定を保持してきた。実業界にとっては、アサド以降の政権が自分たちの利益に沿ってくれるかどうかがきわめて疑わしい。だから放っておいてロシアと中国を非難しておき、BRICS諸国の役割については沈黙を守って、実際に何か事を起こそうとすれば何の遠慮もしないとは言わないでおこうということなのです。

A・V(アンドレ・ヴルチェク)
 ボリビアのようにラテンアメリカ諸国でも国連決議に反対した国がありますね。しかしラテンアメリカの革命政権は世界中で人気があるから敵に回さないほうがいいし、おっしゃられたことに賛成です。つまり西側諸国は中国とロシアという二国に責任を押し付けておいたほうがずっと簡単で、それに努めていればいいというわけでしょう。

N・C(ノーム・チョムスキー)
 ほとんどの問題について同様のことが言えますね。たとえばリビアもそう。リビアの空爆についてはイギリス、フランス、アメリカが合衆国という伝統的帝国主義国のほかに、それを支援する国はほとんどなかった。アフリカ連合は交渉と外交を呼びかけたし、BRICS諸国もそうだった。非政府機関である「国際危機グループ」も同様の態度をとったし、ラテンアメリカも非同盟諸国も、トルコやドイツさえも同様だった。空爆に対する支持はほとんどなかったんですね。例によって「国際社会」
とか言われたわけですが、その内実は無きに等しい。ほとんど支持がなかったのには理由があります。2011年3月に採択された国連決議が「飛行禁止区域」を求めていて、それによって一般市民の保護と停戦、交渉を可能にしようとした。でも帝国主義勢力にとってそんなものはお呼びじゃない。戦争に介入して自分たちの望む政府を押し付けたいから。でも世界の大勢がそれに反対するのは、そんなことになれば戦争が拡大して多くの人に災禍がもたらされることを恐れるからです。結局そうなってしまったけれどもね。だからいまは誰もこのことについて語ろうとはしない。リビアはきわめて深刻な状況にある。リビア空爆の最後にはスルト近郊に対してでしたが、ここはリビアでも最大の部族民居住地です。彼らがいったいどうなったか? 結果は恐るべきもので、グロズヌイ(ロシア南西部、北カフカス、チェチェン共和国の首都)を思わせる被害だという報告もある。
 実際のところ、イランも同じです。アメリカ合衆国とヨーロッパは、世界平和に対する最大の脅威はイランだと言う。非同盟諸国はイランにはウラニウムを精製する権利があると長年にわたって主張してきたし、BRICS諸国も西側には従っていない。インドもそうでイランとの貿易を拡大しているし、トルコも同様です。
 いちばん興味深いのはアラブ世界の対応ですね。米国内の報道によれば、アラブはアメリカのイラン政策を支持しているという。独裁政権に関する報道には注意が必要です。独裁者が政策を支持していても国民はそうではないことが多いから。世論調査によれば一貫してアラブ諸国の民衆はイランが好きではないけれども、とくに脅威とはみなしていない。脅威はアメリカ合衆国とイスラエルだと。それで前にも言ったように、アラブの春の直前にはエジプト国民の大半がイランを好きではないし、できれば核兵器も持ってほしくないが、持ったほうがましかもしれないとまで言っている。

A・V(アンドレ・ヴルチェク)
 核兵器開発──それがイランが生き延びるための唯一の方策かもしれない。

N・C(ノーム・チョムスキー)
 エジプトにとってタハリール広場での蜂起以前は、核兵器がアメリカ合衆国とイスラエルという主要敵国に対する唯一の防禦だった。ここでもイラン攻撃への支持がないことになる。すでに西側諸国とイランは戦争状態です。サイバー攻撃も戦争だし、経済制裁は封鎖と同じだからこれも戦争行為になる。それをおこなっているのはアメリカとヨーロッパで、世界全体ではない。問題なのはこのことに対処するのに明らかな方策があるのに誰も真面目に取り上げようとしないこと。それはこの地域を非核地帯とする段階を踏むことであり、世界には非核化に対する圧倒的な支持があって、エジプトが長年それを主導している。アメリカ合衆国は良い考えだと表明はしているけれど、いまはイスラエル情勢から駄目だと言う。しかしこの地域における核兵器の問題について真面目に取り組もうとするなら、これこそ進むべき道でしょう。
 一方でアメリカ合衆国の諜報機関は、イランには核兵器計画はないと主張し続けており、あったとしても何らかの効果をもたらすには数年かかると言っている。だから脅威があると考えるにしてもそれは緊急のことではない。実際、いちばん興味深い問いは「どんな脅威なのか?」というものだ。イランが世界平和に対する最悪の脅威だというけれど、正確にはどんな脅威なのか?これには確たる答えが「あるのですが、それは報道されない。米国諜報部とペンタゴンが毎年議会に提出している世界の安全保障に関する分析があって、これはただ一般に報道されないだけで誰でも読める。読めば軍事的脅威はないと書いてある。イランの軍事支出は中東地域でもきわめて少ないほうで、分析によればイランの戦略は防禦が主である、と。核兵器については、「たしかに核兵器開発プログラムはあるにはあるが、抑止戦略の一環にすぎない」と言っている。つまり、イランはアメリカとイスラエルからの攻撃を抑えるためにやっている。、というわけ。ということは本当の脅威は抑止戦略があるということ。また、それにはイラクやアフガニスタンのような近隣諸国を不安定化させる狙いもあると言っている。自国の影響をこれらの国に拡大しようということですね。アメリカがイラクやアフガニスタンに侵攻して破壊すれば、それは「安定化」、アメリカの敵が商業・政治関係を強化すれば、それは「不安定化」。これがイランの脅威というわけです。

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