真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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日本軍の南京空襲

2014年12月29日 | 国際・政治

 確定の難しい虐殺人数を別にすれば、国際的に、はほぼ議論の余地のない「南京大虐殺」が「日本を悪にしたい」中国やアメリカが仕組んだ「でっちあげ」だった、というような主張がネットに溢れ、日本国内でくり返されている。その中には、「虐殺を命令した命令書も、実行に当たったものも、それを裏付ける史料も、なにひとつ存在していないという」などと、日本の若者を惑わすようなものもある。歴史を偽って溝を深めるような、そんな動きを何とかしたいと思う。南京事件に関しては、日中以外の国にも多くの資料があるのである。下記は、「南京事件資料集」南京事件調査研究会編・訳(青木書店)から、南京大虐殺を暗示するような強引な南京空襲に関わる資料のごく一部を抜粋したものである。

 北京(北平)西南方向の盧溝橋で日本軍と中国国民革命軍第二十九軍との衝突事件・盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)が起きたのは、1937年(昭和12年)7月7日である。驚くのは、その翌月に、勅命に基づいて、軍令部総長から長谷川第三艦隊司令長官に「上海確保ニ関スル第三艦隊ヘノ指示」が発せられ、昭和12年8月14日午後7時には、長谷川第三艦隊司令長官が南京等空襲命令を発していることである。
 その「第三艦隊機密第607番電」には、

一、明朝黎明以後成ルヘク速ニ当方面ニ於テ使用得ル全航空兵力ヲ挙ゲテ敵空軍ヲ急襲ス。
二 攻撃目標
 第二空襲部隊               南京・廣徳・蘇州
 第三空襲部隊               南昌(臺北部隊)
 第四空襲部隊(第12戦隊・第22航空隊) 杭州            
 第8戦隊・第10戦隊・第1水雷戦隊航空機 虹橋

 とある。そして、1937年8月15日には、日本本土から海を越えた攻撃、「渡洋爆撃」が敢行されているのである。それは、7月12日軍令部策定の「作戦指導方針」・「時局局限の方針に則り差当り平津地域に陸軍兵力を進出迅速に第二十九軍の膺懲の目的を達す」という内容を「第三艦隊司令長官ノ意見具申」に沿う形で変更し、「支那第二十九軍ノ膺懲ナル第1目的ヲ削除シ、支那膺懲ナル第2目的ヲ作戦ノ単一目的トシ」た結果であった。
 あっという間の戦線の拡大である。それも、日本側の外交交渉軽視による戦線の拡大だったのではないかと思う。当初の「第二十九軍ノ膺懲」が、なぜ「支那膺懲」になるのかも考えさせられるのである。

 資料1は、そうした日本の爆撃に対する在南京五ヶ国外交代表による停止要求であるが、その中に、

”…いかなる国の政治的首都、とりわけ戦争状態にない国の首都に対する爆撃に対して、人間性と国際的礼譲についての配慮を必要とするような抑制について日本側当局に適当な配慮を促すべきである”

というような重要な指摘がなされていることを見逃すことができない。

 資料2は、日本側が「軍事目的物以外には爆撃するつもりはない」といいながら、「日本軍の爆撃作戦は南京だけでなく、広州、漢口でも、その他の中国の都市において、非戦闘員を殺害する結果をもたらしていて、そのことはアメリカおよび他の国に、最も遺憾な印象をうみださざるをえないという事実は残る」との、ワシントンと南京アメリカ大使館のやりとりが示すような実態であった。

 資料3は「都市爆撃に対する国際連盟の対日非難決議」であるが、「無防備都市の空中爆撃」と表現されていること、また「全会一致で採択」されたことを忘れてはならないと思う。

 資料4は、爆撃の危険を感じて、あらゆるルートを通じて国際法遵守を懸命に働きかけ、努力したにもかかわらず、日本軍爆撃機によって撃沈された米国アジア艦隊揚子江警備船「パナイ号」からの電報である。

 資料5は、日本軍が外国船をも見境なく爆撃していたと考えざるを得ない、英国砲艦クリケット号とスカラブ号爆撃に関するやりとりである。
 これらは、いずれも東京裁判以前の文書であり、でっち上げなどできる文書ではないことは明らかだと思う。日本の戦争がどういうものであったのか、これらごく一部の資料からも窺えるのであり、直視する必要があるのではなかと思うのである。
 
資1ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      1D<在南京五ヶ国外交代表による爆撃行為の停止要求>
                               1937年8月29日

1、8月29日の午前中、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの外交代表から、私が東京のアメリカ大使へ以下のことを電報し、我々にかわって行動して欲しいという要請を在京の各国代表に伝えるよう求めてきた。 

2、在南京の五ヶ国の外交代表は、日本に対し、爆撃にさいしては、市中のおけるこれらの国民の居留区域や船舶停泊地は避けるようにすでに申し入れた。彼らはしかし別の側面からも同様な配慮が必要だと考えている。たとえば、8月26日夜、南京市の地域に行われた大規模
な爆撃は、明らかに非戦闘員である外国人および中国人の生命や財産に対する危険を無視したものであった。それにともない、当外交代表は、いかなる国の政治的首都、とりわけ戦争状態にない国の首都に対する爆撃に対して、人間性と国際的礼譲についての配慮を必要とするような抑制について日本側当局に適当な配慮を促すべきである。

 ちょうど指定した限定区域の安全を保障して欲しいという早期の申し入れを行った直前と直後に南京市が爆撃を受け、広い地域の建物が被害を受け、国立中央大学の職員が殺された。さらに平和な生活をいとなんでいた中国人の貧民街の一角を炎上させ、さらに多数の焼死者を出した。
 こうした破壊と殺戮の現場は、外交官が直接行って見たものである。上記の外交代表の政府および国民は、日本と同様に中国とも友好関係にある。
 自分たちの公務を妨害を受けることなく遂行できる疑う余地のない権利、通常の人間の諸権利、およびこれらの友好関係にかんがみて、五ヶ国代表は爆撃行為の停止を要求する。爆撃は、かかげられた軍事目標にもかかわらず、現実的には教育や財産の無差別の破壊、および
民間人の死傷、苦痛に満ちた死につながる。

資2ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       4D 南京の爆撃について
          ──日本大使館参事官の国務省訪問

           海軍電報
           発信:ワシントン
           受信:南京 1937年9月28日午後7時30分
           グレイ電
           南京アメリカ大使館宛
           第269電 9月27日午後7時
 9月25日に日本大使館の参事官が他の用件で国務省の係官を訪れた際、むこうから進んで、南京爆撃のもくろみに関する日本海軍司令長官(在上海)の通告に言及した。その参事官がいうことには、「日本の海軍および陸軍当局は、軍事目的物以外には爆撃するつもりはない」とのことだった。

 これに対して、当方から次のようなコメントを行った。
「我々は日本政府から、その種の保証をを何度も受け取っているが、実際には、日本軍の爆撃作戦は南京だけでなく、広州、漢口でも、その他の中国の都市において、非戦闘員を殺害する結果をもたらしていて、そのことはアメリカおよび他の国に、最も遺憾な印象をうみださざるをえないという事実は残る。」
 
 いっぽう、参事官は「いうまでもなく、南京には城壁の内外に、多数の中国軍要塞や兵団があるからである」と言った。これに対して、「その場合でも、南京には性格上非軍事的な区域が広大にあり、日本軍の空襲は、そうした区域の非戦闘員を殺害している」と、さらにコメントを与えた。そしてもう一度、「非戦闘員に対する爆撃の事実は、遺憾であり、最も不幸な印象をもたらしている」と警告を繰り返した。
                                     ハル(Cordell Hull)
資3ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       6 都市爆撃に対する国際連盟の対日非難決議
           (国際連盟・日中問題諮問委員会で採択された対日非難決議案を、
            1937年9月28日の国際連盟総会において全会一致で採択)
 諮問委員会は、日本航空機に依る支那に於ける無防備都市の空中爆撃の問題を緊急考慮し、かかる爆撃の結果として多数の子女を含む無辜の人民に与えられたる生命の損害に対し深甚なる弔意を表し、世界を通じて恐怖と義憤との念を生ぜしめたるかかる行動に対しては何ら弁明の余地なきことを宣言し、ここに右行動を厳粛に非難す。
・本資料に限り、外務省編纂『日本外交年表並主要文書  下』(1955年)、370ページから引用した。
資4ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       9D <日本軍へパナイ号の位置を報せたし>
              MEO    平文電報   
              発信:南京 海軍無線局経由
              受信:1937年12月12日午前4時00分
  ワシントン国務長官宛
  第1040号、12月12日午前7時(電文からすると午前9時以降になるはず、誤記か─訳者)
  大使館電報第1035号(12月11日午後5時発信)参照
 1、本日午前9時の砲火のため、パナイ号はさらに上流への移動を余儀なくされ、同艦は現在、南京上流27マイル、呉淞から上流221マイル地点に投錨している。付近にはスタンダード石油会社のタンカー美平(メイピン)、美安(メイアン)、美峡(メイシア)号も投錨している。
 
 2、当大使館からとして、どうか日本の大使館に対してパナイ号とアメリカ商船の現在位置を知らせ、日本部隊に適切な訓令がでるように要請してほしい。飛行機および本艦の直面するかもしれない状況のため、パナイ号はふたたび上流へ移動せざるをえなくなるだろう。しかし、南京に残っているアメリカ人との連絡を回復するため、また当大使館が早急に地上での業務を回復するために、パナイ号はできるだけ早く下流へ、あるいは南京へ戻ることを考えている。

 アメリカ大使館は、関係当局すべてがこの計画を促進するために適切な措置を講じてくれることを望んでいると述べてほしい。

 3、上海へ送信、漢口、北平は在東京大使館が日本の外務省へ伝達するようにとの要請を付して東京へ転電してほしい。
                                   大使に代わって   アチソン
資料5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       10D <クリケット号とスカラブ号爆撃される>

              発信:揚子江警備隊司令官
              受信:1937年12月12日午後5時54分

  sms…本電報は他に伝達する前に言い方を変えよ。
  作戦:CINCAF(中国駐留米軍総司令官)
 第0013号、護衛船をともなった英国砲艦クリケット号とスカラブ号は、南京上流12マイルの地点で午後3回にわたって空襲される。18発の爆弾が落とされる。1発が商船に命中したほかは命中弾なし。2隻の砲艦とも攻撃してくる飛行機に対して発砲した。2112。   

            
   
 


 

 

 

コメント (2)
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